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短編集。『五分間の奇跡』  作者: 鴉野 兄貴


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少女小説あらすじったー(ファンタジー編)

(お題)

 王城で女騎士隊長として暮らす主人公は、仕事の手伝いから王付きの使用人と恋に落ちる。惹かれ合う2人。それは前世からの因縁だった──。 恋と冒険のロマン、ここに開幕!

 Twitterの『少女小説あらすじったー(ファンタジー編)』によってランダム作成されたお題より。

 女で騎士隊長。はっきり言って楽ではない。


 まぁ当たり前だが部下どもは臭い。

 笑ってしまうだろう? 臭いのだから仕方ない。


 我々の任務中は一枚の鎧下と鎧のみで過ごす。下着の替えなどない。水虫にもなるし、その、あの……言わせるなッ?! 汗疹あせもにもインキンとかタムシとかにもなる。ああっ 言ってしまった?! 嫁に行けない!

 鎧下は着脱が極めて面倒で、戦闘行為中は垂れ流しだ。そうでなくとも失禁はよくある。新米の時は特にだ。尿や糞便がたっぷりつくことは少なからずあるのだ。部下もそうだが。

 華やかな騎士団だが、少し辺境任務につけば現実を思い知ることになる。頼むから餓鬼族ゴブリン如きで呼び出さないでほしい。冒険者を雇ってくれ……などというのは本末転倒かつ騎士の義務を放棄する願いなので口には出せないけど。

 ああ。王城勤めに再配属されて良かった。


 話を戻そう。まぁ嫁にいけないのは間違いない。

 まだ私は王城勤めだから良いが、憧れの騎士団に入っての真っ先の仕事は同僚の鼻を折ることだった。


 別に出世したとか、傲慢な同僚がいたとかどうとかいう問題ではない。


 物 理 的 に 折 っ た 。


 あと隊長の鼻も折った。ついつい勢いついて殴ってしまい、当時の隊長が崖から転落したのは仕方ないことだ。

 お蔭で彼の跡を継いで隊長になってしまったが暗殺ではない。たぶん。一応生きていたし。やっぱり死ね。


 簡潔に述べよう。

 世の汚れを知らぬ私が配属されたその隊には慰安婦がいなかった。わたしはそのために配属されたのである。

 全 員 返 り 討 ち に し て し ま っ た が 。


 貧乏男爵の娘に生まれた私の実家は当然ながら貴族位を維持することは叶わない。そもそも男爵というものには一応この王国の法では一代限りなのだ。

 ほとんどの男爵家は実力で世襲を認めさせるが我が実家には傭兵団を維持する金子が無い。全くない。

 かといって乱暴者のお転婆娘で通っていた私では他の貴族の殿方の声はかからず、実家は取り潰しと相成った。

 父上には申し訳ないとしか言いようがない。


 唯一の救いは父母の伝手で騎士になれたということだが、私の騎士としての初任務は幸か不幸か見事に『失敗』となった。

 乙女としてはとても喜ばしいことではあるが、男よりずっと強いという事実はある意味悲しい事実である。



 父は優秀な魔導士、母は優秀な剣士。

 両方に才を発揮した私に対して調子に乗った二人は愛娘を鍛えすぎたのだ。

 修羅だの羅刹だの同僚は好き放題に私を評するが、こう見えても花も好きだし刺繍をするのも好きなのだ。

 本当だ。嘘ではない。


 そんな私だが、恥ずかしながら恋をした。


 相手は王つきの使用人である。

 私より小柄だ。

 別に私が化け物のようにデカいわけでもゴツイわけでもない。

 彼が小さすぎるのだ。


 ま、まぁ私が平均よりは『少々』背が高いことは認める。

 一般の王城勤めの女性よりは筋肉も……あるかもしれない。

 完全武装で三時間走り回る程度には体力も……ある。

 い、いや、奴が貧相なだけだ。

 私に責はない。


 何処が良いかだと。

 そうだな。あの貧弱でどうしようもない見た目と弱弱しさの割に勇気がある。

 ゴキブリから私をかばってくれたしな。

 あとネズミも。

 ……なんだその眼は。泣くぞ。



 他にも教養がある。

 私も魔導士の端くれ、語学も物語も学問も納めている。彼よりは上だと思っていたが教えるのが楽しくて気が付いたら師匠越えされていた。

 そういうこともある。

 私は剣を振る時間が長いしな。


 べ、別に悔しいわけではない。

 負け惜しみでもないぞっ?!


 そ、そうだな。占い師が言うには我々は前世からの恋人だという。妄言であろうが、ちょっとホントだったら嬉しいなとか……思っていない。間違いなく思っていない。

 この幸せが続けばいいと思っていたが、そうはいかず、男どもの数々の恨みを買っていた私はやっぱり左遷されることと相成った。


 彼ともこれっきりだと思いながら任地に向かおうとしたところ、彼はついてきてくれるという。

 海を越え、知らぬ国に物見に向かう私の隣には大量の本を抱えた彼がいる。


 空を見上げると青い空。


 白い雲を大きく動かす風にあおられ、頬が緩む。

 帆は大きく開き、カモメが飛ぶ船の上で私たちは結婚式を上げた。



 神父代わりを務めた船乗りたちが彼を花嫁と誤解し、彼にドレスを渡そうとしたのは今では笑い話だ。

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