水上の人魚姫
後少しで妹さんが登場します。もう少しお待ちください。
次の日。
AQUA・WORLD内水泳大会の日である。
で、俺はと言うと……。
「おにいちゃん、おにいちゃん。あっちいこっ?」
「分かったから引っ張らないで……」
別の露店へ俺を引っ張っていこうとする女の子と、それに抵抗する俺。
なぜこうなった……。
~数分前~
会場まで目の前と言うところでどこかで見たような女の子がやってきた。
「あ、おじさんだ~」
と、トコトコとこちらに来るのはアストライアで出会った少女。あの時NPCだと思っていた子だ。
「なんで君がここにいるんだ?」
と最初に思った疑問を少女にぶつけてみる。俺だってここに来るのは苦労したのだ、この少女はどうやってここに来たのだろうか?
「おじさんたちが乗った船についてきたの。おじさん、あそんでー」
「おじさんじゃなくてお兄さんな」
「うん、分かった。お兄ちゃん、あそんで? やくそくしたよ?」
確かに約束はした。だが、まさかここまで来るとは思っていなかったのだ。
「ごめんな。お兄ちゃん、今日は用事があるから遊べないんだ。また後で遊ぼう」
「おにいちゃん。用事、私もいっしょにいきたい。だめ?」
少女は上目遣いで訊いてくる。そう言われてしまうと断りにくい……。
「分かった。でも、おとなしくしてなよ」
折れた。
「うん! お兄ちゃんありがとう」
そう微笑んだ顔がどこか昔の妹と似ていて、断ることができなかった。
結論として、少女は全くおとなしくなかった。
「おにいちゃん、あっちのおみせいこうよー」
「おーい、おとなしくするっていっただろー?」
今も少女は興味を持った露店に俺を引っ張っていこうとした。
「行ってあげたいけど、お兄さんの用事が終わってからなー!」
「……うん」
少女は少し残念そうな顔をしてうなずく。懐かれているのは悪い気はしないんだが、そんな顔をされたらこっちが困るな……。
俺は周りを見回す。どうやら誰も特にこちらを気にしてはいないようだ。おそらく何らかのイベントに巻き込まれていると思われているらしい。
そんなこんなでなんとか会場に着いた時には大会はすでに始まっていた。
「もう始まっている……。急ぐぞ」
「うん!」




