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AQUA・WORLD  作者: あすぎめむい
アクエリア編
15/34

アクエリア都市へ その5

 というわけでレベル上げだ。


 俺は相当レベルが低い。なのでPOPしてきた敵の攻撃をひたすら避け続けて、隙を見てダメージを与えるという持久戦を取る羽目になる。


 1回戦うだけでものすごく消耗するわけだが、その分見返りも大きい。レベル差が激しいのでもらえる経験値も多いのだ。


 俺はヒトデ(アストライアの時とは色違い)の攻撃を紙一重で避け、顔と思われる部分を殴りつけた。ダメージは無いに等しいが、一瞬の隙と十分な間合いの二つを同時に作りだす。後はそこに剣で攻撃をたたきこみ、すぐに相手の間合いから離脱すればいい。俺はこれをすでに20回以上繰り返していた。


「俺のやっていることって、周りからは異常に見えるんだろうなあ」


 ちゃんとパーティを組んでいるなら前線にタンクを立てて、武器や技術魔法ギミックでたたけばいいだけらしいからなあ。


 遠くから接近してくる敵に補助装備からハンドガンを抜き、発砲。勢いづいている敵はいったん止まると、立て直すのは難しい。そのまま相手に肉薄し、すれ違いざまに片手剣でダメージを与える。


 2体のヒトデのHP残量が1割の半分を切ったので、そのまま突撃剣で2体を吹き飛ばした。


「こんなものかな」


 次の敵が出現する前で腰を降ろして休む。俺は決して大きなダメージを与えられるようなタイプのビルドにはなっていない。ソロプレイをすると相当疲労するのだ。


 暇なので周りを見渡してみる、このフィールドにプレイヤーはそこそこいた。その中に俺と同じソロプレイをしている男がいる。


 その男性は一つも武器を持っていなかった。


「あれ、まずくねえか?」


 俺が体験してみて、拳や体術はあまり相手にダメージを与えられないと知っていた。それでも彼が武器を使わないで戦うのはなぜだろう。技術魔法ギミック? いや、それなら杖やローブなどを使うはずだ。


 助けに行くべきか、とも思ったが彼なりの意味があるんだろう。


 その男はヒトデの攻撃を荒い動作で避け続ける、見ているだけで危なっかしい。


 そしてヒトデの攻撃が男をとらえた――と思った瞬間、男はヒトデの背後に回り込んでいた。そしてヒトデの腰と思われる部分に手をまわした。クラッチをかける。


「あれは……」


 男は人手にクラッチをかけたまま後方に反り投げる。だが、地面に激突するのはヒトデの頭部だけだ。これはまさに……。


「『ジャーマンス―プレックス』!!……」




 地面に激突するのとほぼ同時にヒトデのHPが吹き飛び、ポリゴンとなって四散した。


「ふぅ……」


 男は体勢を直して、無いはずの汗をぬぐう。


 俺は、無意識に手を叩いていた。


 ゲームアシスト有りではあるが、鮮やかなジャーマンス―プレックスだった。


「ん、どうもどうも」


 どうやら、拍手をしていたのは俺だけでは無かった。男は拍手に応じ、手を振っていた。


 男は突然こちらを向き、俺に近づいてきた。


「俺の名前はユウキだ、よろしく。あんたの名前は?」


「俺はセイ。よろしく、と言いたいがなんで俺に話しかけてきたんだ?」


 俺がそう言うと、ユウキは頭の後ろをかいて。


「たぶんセイはソロだろ? ……正直、超近距離型の俺としては近寄るためのサポートが欲しいんだ。だから一撃で勝つのは苦手でも連携ができそうな近距離型の人と、中か遠距離型のプレイヤーを探していたんだ」


 俺がユウキのことを見ていたように、勇気も俺の戦闘を見ていたわけか。


「あー、俺一応近距離も中距離もできるんだが……」


「本当か!?」


 そう言うとユウキはメニューを呼びだした。俺の目の前にもメニューが表示される。


『ユウキのパーティに参加しますか? はい/いいえ』


「俺とPTを組んでくれないか?」


 ユウキの提案に、少し自分を振り返ってみる。最初、いきなりの敗北。今、敵を倒すのにどれだけの時間がかかっただろうか。俺はダメージを与えることには適していないが、ターゲットをこちらに向けたり、敵をけん制するのに向いている、……と思う。対してユウキは避けたり、敵をかく乱するのは苦手だが一撃非札の威力のある、ダメージディーラーに見えた。相性は決して悪くない。


 俺ははいを押した。


「これからよろしくな、ユウキ」

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