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仲間として出来る事を探す為に


 調整カプセルに入り治療を受けているクアンのデータをテイルとユキは見ていた。

 トゥイリーズミントの放った黒い謎ビームのダメージは甚大で、直撃してから今まで意識が一度も目覚めていない。

 それくらい傷は深いのだが、クアンは人ではなく怪人である。

 生きてさえいれば何とでもなるし、治療もあと二時間あれば余裕で終わる事が出来る。

 重症ではあるのだが、日常茶飯事で特に問題はなかった。


「……ん? どうしたユキ?」

 テイルはしかめっ面を浮かべているユキを見てそう尋ねた。

「いや……うん。なんだろう。何だがこう……こみ上げる怒りと不愉快さで地団駄を踏みたくなる気持ちが……」

「ふむ。トゥイリーズの二人に怒ってるのか?」

 その言葉をユキは明確に否定した。

「――まさか。あの二人は友達よ? それにルールの範囲内だもの。恨みや怒りが湧き出るわけないじゃない」

 それもまた正直な気持ちだった。

 流石に、クアンが生きて帰ってこなかったら恨み言の一つでも言っただろうが、それでも全てルールの範囲内で、そしてクアンも納得した上で行動しているのだ。

 そこに対しては外部であるユキは何かいちゃもんを付けようなど思う訳がなかった。

 だからこそ、ユキはこの不可解な気持ちがどうして湧き上がってくるのか自分でもわからなかった。


「……なるほどな。ユキ、それはな……悔しさという気持ちだ」

 そう言われ、ユキは首を傾げた。

「でも、私はテイルに負けた時はこんな感情にならなかったわよ? あの時は明確に悔しいってわかってたし」

 本当は……自分を見てくれたんだという嬉しさの方が強かったという事をユキは黙ったまま、そう言葉を返した。

「だろうな。だがな、単純に違うんだよ。自分が負けた悔しさってのはある程度納得出来るが、仲間が……組織の一員が負けた時はまた違う悔しさで納得するのは非常に難しいんだ」

 その言葉にユキは、胸にすとんと落ちるような感覚を味わった。


「……ああ。そうか。確かにこれは悔しさね。身内が負けたという理不尽さと何も出来なかった事による無力感。うん。確かに悔しいわ。どうして助けられなかったんだろう、どうして勝たせてあげられなかったんだろう……」

 そのボクシングのセコンドが味わうような悔しさは、ユキが今まで味わう事の出来なかった友達を思う事が出来る故の悔しさだった。

「それだけクアンに親身になってくれて嬉しいぞ。これからも仲良くしてやってくれ」

 そう言って微笑むテイルに、ユキは首を傾げた。

「テイル。貴方は悔しくないの?」

 自分がこれだけ悔しいのに、生みの親であり誰が見ても家族同然として大切にしているテイルが平然としていられる。

 その事に違和感を覚えたユキはそう尋ね、テイルは悲しそうに微笑んだ。


「悔しくないわけではないぞ。だがな……残念ながら俺は戦いに関しては無能でな、負け慣れているんだ。とにかくクアンが戻ってきてくれた事。それで満足できる程度には俺は無力なんだ」

 その言葉に、選択肢の多い天才であるユキが何もいう事は出来なかった。

 確かにテイルも、怪人製造という分野だけで見れば天才である。

 怪人の肉体ベースの調整や修理という初歩ですら、いずれは理解出来るだろうが今のユキにはさっぱり理解出来ない。

 逆に言えば、テイルに出来てユキに出来ない事はその辺りと後一つ、二つ程度だろう。


「……それでもやっぱり悔しいわね。どうすれば良いの?」

 そんなユキの言葉に、テイルは腕を組んで考える。

「うーん。そうだな。とりあえず、持て余す感情なんて慣れるしかないんじゃないか? 悔しさと折り合いをつけていくしかないし」

「――ううん。感情の事はどうでも良いの。そうじゃなくて……クアンの為に何かしてあげたいの。何をしてあげたらあの子の為になるのか、どうすれば良いのか教えてテイル」


 ユキはこの正義と悪の戦いを陳腐と思っており、更に言えば天才故に凡人の常識という意味がほとんど理解出来ない。

 だからこそ、ユキは自分が必ずやりすぎると理解し、実行してしまえばクアンやトゥイリーズだけでなく自分の所属する全員に迷惑が掛かる事もまた同時に理解していた。

 今回だって、トゥイリーズ二人の事を気にしなければクアンを勝たせる方法などそれこそ無数に思いつく。

 もう二度と負けないようにすることもそれほど難しくないだろう。

 しかし、友達であるトゥイリーズの事も考慮してそしてクアンを勝たせるのではなく喜ばせるとなれば、逆にユキは何一つ思い浮かばなかった。

 それは単純に、ユキが正義と悪の戦いについて全く理解していないからだ。


「……ユキの為に、悪の組織ARバレットとして何かしてあげたいという事か」

「うん。友達だし、それにクアンはあんなに頑張ってるんだもの。何かしてあげたくなるよ……」

 ユキはクアンが毎日トレーニングを頑張り、ファントムや雅人にボコボコにされながら一生懸命になっているのを知っていた。

 一生懸命になる事など何もなく、何でもこなせたからこそ、ユキはクアンのその行動が尊く、そして美しく見えていた。


「……そうか。わかった。ただし俺も怪人製造以外は非才の身だ。直接の協力は出来ん。それでも……俺にもユキの気持ちに応える為出来る事はあるな」

「ありがとうテイル。それで、私は何をすれば良いの?」

 テイルは少し考え、そして名案が浮かんだかのように表情を明るくさせる。

「うむ! 始めるなら早い方が良いよな。――今夜、俺の部屋に来い」

「ええ。わかった……ん? へ? え……ええ!?」

 予想の範囲外というか斜め上な事態となったユキは混乱するが、そんなユキをテイルは見ていなかった。

「クアンの調子も問題ないし夕食までにはカプセルから出せるだろう。じゃ、俺は夕食の準備に行ってくる。また後で」

 そう言い残しテイルは部屋を出て行いった。

 残されたのは、脳の処理が限界を超えて悲鳴を上げ、真っ赤になっているユキとカプセルですやすや眠っているクアンだけだった。


 その日の夕食、クアンも復帰していたがユキの脳内はそれどころではなく、何を食べたのか何を話したのかすら覚えていなかった。




「わかってる。わかってるわよ。私だって馬鹿じゃない。テイルがそういう人じゃないって知ってるもん。だから……そんなわけないじゃない」

 そう言いながらも、ユキは自室の姿見で何度も服をチェックする。

 ただの誤解であると理解していても、それでもやはりもしかしてと思わずにはいられなかった。

 姿見をじーっと見つめてみて……くるくると回ってみて。

 服は変じゃないだろうか、似合わないって言われないだろうか。

 少しでも幼く見られないように出来るだけ大人っぽくなるようにして、化粧もいつもより強めにして少しでも幼稚さを消して。

 ついでに言えば下着も上下揃えて出来るだけ新しい物を選んで……。

 誰がどう見ても思いっきり意識しているのだが、ユキはそれを認めてはいなかった。

 自分は良くわからない感情に振り回されている。

 そうとしか思わないようにしていた。


 そんなどこかディナーに行くような正装に近い恰好をばっちりと決め、小さなバッグを持ってユキはテイルの部屋の前まで移動した。

 こんこんこん。

 緊張しながらの三回ノックの後、ユキは声を出す。

「テイル……いる?」

「ああ、ちょっと待ってくれ」

 そう言った後、足音が徐々に近づきどこかから大きな叩く音が聞こえる。

 それが自分の心臓だと知ったユキは苦笑いを浮かべる事しか出来なかった。


 ガチャ。

「待たせたなユキ。……んー、もう少し楽な恰好で来ても良かったんだぞ? 立場上は上司だが対等な関係なんだしそんな俺に気を使わなくても」

 そんなテイルの何気ない言葉にユキは落胆せずにはいられなかった。

「わかってたわよ! ええわかってたわよこうなる事くらい!」

 そう言いながらユキは持っていたバッグを八つ当たりの為地面に叩きつけた。


「お、おう。良くわからんがすまん。んで、どうする? 時間はあるし堅苦しくない恰好で良いぞ。楽であればあるほど良い。ただ、一応俺も男だからあまり薄着だとちょっと目のやり場に困るが」

 無垢なまでに純粋に、ユキの事を気遣いそう言うテイル。

 それがわかるからこそ、ユキは何とも言えない落胆した感情を持たざるを得なかった。

 ――ここまで意識されていないと流石に悲しくなるわね。

 ユキは盛大に溜息を吐いた。


「ん。じゃあ寝間着に着替えてくるわ。もちろん薄着じゃない奴。私だって男の人の前で薄着になるのは羞恥を覚えるわよ」

「ああ。そうしてくれ。こっちはお菓子とジュースを用意しておこう」

「友達会か」

「見たようなものだ」

 最初にがっかりはしたが……それはそれで楽しそうだと思ったユキは少しだけ笑みを浮かべ、自室に戻って化粧を落として着替えを探した。

「……さすがにジャージはまずいわよね……」

 ちなみにテイルの恰好は下ジャージに上は『夏休み』と書かれてるのに桜の木が描いてあるという面白Tシャツだったのでジャージでも別に何の問題もない。


 ユキは、持ち前の天才らしい合理的な発想に少しでも良く見られたいという感情を加え、更にパジャマ会という楽しい行事を前にしたワクワク気分で頭脳を限界まで回転させ、斜め上の回答を選択した。

「ああ。そう言えば……ナナと十和子と一緒に出掛けた時買った服があったわね。あれならテイルも何か反応を示してくれるでしょう」

 場の流れで買ってしまった絶対に着ないだろうと思っていた服を取り出し、ユキはにやりとほくそ笑みその服に着替えた。




 こん、こん、こん。

 丁寧なノックを聞き、テイルがそっと自室のドアを開けると、大きな黄色い物体が立っていた。

 全身一色まっ黄色のその物体は――ひよこだった。

 やたら丁寧な作りのひよこのきぐるみを着たユキは、羽となった手をぱたぱた降って謎のアピ―ルをしてドヤ顔を浮かべていた。

 舞い上がっているからかかなりの奇行を行い、後日枕に顔をうずめるような事になっているが本人は楽しそうである。

「どう? 面白い?」

 その言葉に、テイルは満面の笑みで親指を立てた。

「良いじゃないか! 面白可愛いぞ」

 完全に違う意味の可愛さで、自分が最も嫌う幼稚さも混ざっているが、ユキはそんな感情ぽいーして可愛いと言われた事に対し喜ぶを覚えていた。

「えへへ。んじゃ中入って良い?」

「ああ。ようこそ我が城へ!」

「いや、このアジト全部貴方の城じゃない」

「男にとって自分の部屋ってのは城なんだよ。好きな物を好きなだけ集めて置けるって意味でな」

 そう言いながら、テイルは自分の部屋の奥にユキを案内した。


 玄関を通り、テレビが置かれた部屋までユキを案内するテイル。

 それをきょろきょろとしながら興味津々といった様子で見るユキだが、少しだけ残念そうな表情を浮かべた。

「うーん。城って割には、普通」

 テイルのイメージからとんでもない部屋に案内されると思ったが、玄関からこの部屋まで見る限り、ごく普通の何の変哲もない無趣味の部屋でしかなかった。

 女の子フィギュアどころか玩具の一つも置かれていなかった。


「ふむ……。それはこういう物があると思っていたのか?」

 そう言ってテイルが隣へのふすまを開けた。

 そこには……見渡すばかりに広がる戦隊物グッズとフィギュア。

 壁には写真や色紙、ポスターがびっしりと貼られ、部屋の中央にはバトルホビー関連グッズがこれでもかと置かれていた。

「そうそうこんな感じ! というか凄いわね」

「うむ。興味ない人が見てもつらいかと思って専用の部屋に置くようにしている。だから俺の部屋はやたら部屋数が多いぞ」

「どのくらい?」

「三十部屋。そして二十後は趣味部屋で部屋数はまだまだ増やす予定だ」

「……そか」

 流石について行けずユキは適当な返事を返した。




「ほれ、座れ」

 テイルはソファに座ったまま、さも当たり前かのように自分の隣をぽんぽんと叩いた。

「……テイル。貴方やっぱりモテないでしょ?」

「……ユキと接している行動でマズイ行動をした覚えはないんだが……何があかんかった?」

「一言ではとても言えないわね」

「――そうか。俺に恋人とか嫁は無理そうだ」

「作る気はあったの?」

「いや、ぶっちゃけそんなに、というか半ば諦めてる。だが、怪人達が俺の相手を心配するからなぁ。あんま心配かけたくないんだが……。俺にとって恋愛は空を飛ぶ事よりも難しいんだよ」

 そう言ってテイルは盛大に溜息を吐き、ユキはそれを微笑んで見た。

「ま、いんじゃない? うまくいく時はうまく行くんだし無理な時は無理よ。それでどうしても無理だったら……」

「無理だったら?」

「んーん。何でもない! それで、何を教えてくれるの?」

 満面の笑みを浮かべながら自分の隣に座るユキに対し、テイルは首を傾げながらテレビのリモコンを操作した。


 そして付けられたテレビから流れてきたのは、少々古臭い特撮だった。

『光神サンブレイブ』

 そんなタイトルが出て来た後、軽快な音楽と共に三人のヒーローがスーツ姿でポーズを取りオープニングが始まった。

「……何これ?」


「今より三十年ほど前に始まった太陽をモチーフにした特撮、光神サンブレイブ。地球滅亡を目論む悪の帝国ビャクガロンとの戦いをテーマにした王道の特撮だ。ちなみに、実在の人物はいない上にCG合成をガンガン使った作り物の所謂正しい意味での特撮でもある」

「……うん。百歩譲って正義と悪を知る為にこういった物を見るのは理解出来るわ。でも、どうしてわざわざ作り物の方を? 本物の方がごろごろ転がってるでしょ?」

「うむ。その理屈は良くわかる。だが、一応理由はあるぞ。こっちの方がイメージしやすいとかわかりやすいとか、だが、一番の理由は違うな」

「んじゃその理由は?」

「俺が好きだからだ! まあ見てろ。三話まで見て駄目だったら別のにする。ほれポップコーン。お手拭きはテーブルの上な」

 そう言ってポップコーンと蓋とストローのついた飲み物を手渡し、テイルはテレビの方に集中した。

 同じようにユキもテレビに集中するが……正直溜息が出そうなほどつまらなかった。


 中身が悪いわけではなく、これはただ感性の問題である。

 オーバー過ぎてわかりやすいダイコンに近い演技と作り物だと一目でわかるしょっぱい合成。

 どうしてもそれらが必要に目についてしまい、作り物であるだけでなくチープすぎて退屈に感じていた。

 ――はぁ。どうしてテイルってこんなのが好きなのかしら?

 それでも、三話まではがんばれと言われたのでユキは我慢して画面に集中した。




 そして、一話が終わった時……ユキの死んだような目は見事なまでに輝いていた。

 自分がチョロい人間であると、ユキは未だに理解出来ていなかった。


「どうだ? 面白いだろう」

 その言葉にユキは素直に頷いた。

「うん。正直最初は本当に苦痛しかなかったわ。演技は下手だし合成は微妙だし敵はダサいし」

「うむ。古いからな。演技は声を張り上げるスタイルで、合成に関しては仕方ない。……敵ださいかなぁ俺は恰好良いと思うのだが……」

 テイルはしょんぼりしながらそう呟いた。


 最初はつまらなさ過ぎて苦痛だった。

 それでも、十分を超えた辺りでユキは退屈を忘れてみる事が出来ていた。

「うん。やっぱりノリと勢い、そして音楽って偉大ね」

 その言葉にテイルも頷いた。

「ああ。陰鬱な音楽が流れながら一般人である主人公がピンチに陥る。そしてそれを助けに来るヒーロー。更に! そのヒーローがピンチとなり、ヒーローを助ける為に、ヒーローの意思を継ぐために変身をする主人公! 正に王道で正道である!」

「しかもその時に流れるのがオープニング曲! これがテイルの言う燃えるって感情ね!」

「うむ」

 テイルはユキの言葉に満足そうに頷いた。


「テイル。続きはよ。夜は意外と短いのよ」

「うむ。ま、少し待て」

 そしてテイルはリモコンを操作し続きを流し始めユキは夢中になって画面を見ていた。


 元々のヒーローは主人公を助ける為に負傷して引退。

 意思を継ぐ主人公。

 一人では決して立ち向かえない事を知っている元ヒーローは主人公の為に仲間を用意する。

 そして揃う三人だが、意見が食い違いてんでバラバラだった。

 お互いぶつかり合い、時に仲違いを起こしながらも徐々三人は絆を結んでいく。


 それとは別に裏で暗躍する帝国ビャクガロン。

 帝王ビャクガロンは極悪非道だが、幹部は少々違う。

 欲望に忠実ながら少々間抜けでユーモラスに描かれ、どことなく憎めないようなキャラクターになっていた。


 そんな彼らの戦いは時に熾烈に、時にゆるく、時にスポーツ対決をしたり不思議な関係性を築いていた。


 そしてフィナーレが近づくと……コミカルな要素が抜け後半一気に怒涛の展開が巻き起こる。

 恩人である元ヒーローが死に、帝国の幹部が何人か裏切るが見せしめに殺されたりと残忍さが表に出て恐怖で人を縛り付けようとする帝国。

 そんな帝国に対し怨みの心を持つ三人が、元ヒーローの教えである『人々の為に立ち上がれ』という気持ちを思い出し、恨みの為ではなく正義の為に戦うと決意する。

 恩人と友と呼び合った敵幹部達という失った者達の気持ちを胸に、最終決戦を挑みビャクガロンを倒し平和となった地球を見て、物語は終わりを迎えた。


 そんなシンプルなストーリーだったが……ユキは飽きる事なくそれを見続けた。

 テイルに至っては、既に二桁見ているのに未だ飽きずに見る事が出来ていた。


「……うん。テイルの気持ちが、悪の組織を作った気持ちが良く理解出来たわ」

「だろう? 俺としてはこの幹部達みたいにもう少しコミカルに行きたいんだが……なかなかに難しいんだよなぁ」

「そうね。どうしてもお互いの関係性があるもんね」

 そう言いながら立ち上がろうとするユキだが、足をふらつかせソファに腰を落とした。


「っと。大丈夫かユキ?」

「ええ。流石に一度に見すぎたわね。一気に疲れが出たわ」

 全二十五話でCMと一度見たOPEDを飛ばしたとは言え、八時間は軽く経過していた。

 ついでに言えば時間は既に夜を終え、早朝と呼ばれるべき時間となっていた。


「ああ。今日は休みだしゆっくり休むと良い。……俺もちょっと疲れたし皆の朝食を準備したらそのまま寝るわ」

「ん。流石に悪いし手伝うわ」

 そう言って二人はうつろな眼差しのまま温め直しやすい朝食を怪人達の分を用意し、書置きを残して歯磨き等寝る前の準備をし、二人でテイルの部屋に戻ってそのままベッドの中に入って眠った。

「おやすみ」

「うん。おやすみテイル」

 隣り合ったまま、二人はすやぁと安らかな寝息を立てだした。


 二人は自分達が寝ぼけている事に気づいていなかった。


ありがとうございました。

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