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12 RPG

この話でようやくタイトルフラグの回収ができました。

本当はこの話をもっと早めに、ミサーナと出会った後に入れたかったのですが……。


少し長めですが、読んで貰えると嬉しいです。

「追い出された」

「追い出されたな」

「追い出されましたね~」

 

 扉の締められた病院を見ながら一様に口にした。


「追い出された追い出された追い出された!」

「何度も言わなくても分かってるよ」

「もう終わった事ですし~、気にしていても仕方ないのでは~?」


 俺たちのその言葉に、ミサーナは睨めつけるように鋭い視線を向けた。

 目の端には若干、涙も浮かんでいる。


「何度でもいうし、気にもするわよ! もう私、この病院に行けない……。これまでお世話になってきたのに」

「あー、そう言えばミサーナ、爆弾魔なんだっけ」

「爆弾魔⁉」

「爆弾魔なんですか~。人は見かけによりませんね~」

「違うわよ! いい加減な事言わないで!」


 爆弾魔発言に、リリスは何故か嬉しそうにし、ミサーナはさっきの涙は何処へやら、怒りながら食い下がった。


「違ったか? あー、自爆魔だ。魔法暴走させて、自爆するのが趣味なんだろ。それで何度も病院にお世話になっていると」

「……言ったのはクソ神父ね。絶対に許さないんだから」


 神父の知らないところでミサーナが殺意に燃えてしまったが、通常営業なので忘れることにした。


「事実なんですね~。流石ミサです~」

「どこが流石なのよ」

「そういえば爆発した割に元気だな。怪我とかは大丈夫なのか?」

「もう忘れたの? どんな魔法使っても、私じゃかすり傷一つ負わせられないのよ」


 今度は呆れた顔された。さっきから恥ずかしがったり、泣いたり、怒ったり、短時間で百面相とは器用な奴だ。


「それで私は怪我して無かったんですね~」

「じゃー病院行かなくていいじゃん」

「魔法の作用で状態異常になったのよ。無意識で発動させた魔法には、ランダムで色々付くのよ。今回は麻痺。それでいつも動けなくなるから、周りの人が気を利かせて運んでくれるの」

「あーそれで」


 なるほど、ミサーナの魔法じゃ誰も怪我しないから、神父たちは何も心配してなかったのか。

 状態異常をまき散らしているんだから、もう少し心配した方が良いと思うけど。


「何が?」

「いや、何でもない。冒険の時は、魔法が暴走しないように気を付けろよ」

「安心して。暴走はさせないわ。最大限の怒りを込めてぶつけてあげる」

「ははは、麻痺薬買おう」


 色々な状態異常って言ったし、全状態異常回復薬とかないのか? 

 普通の回復も、薬草じゃなくて、飲む系の簡単なもの探さないと。


「その冒険の旅なんけど~、私も一緒に行くことになりました~」

「そうなんですか⁉ 俺は構いません。大歓迎です」


 ミサーナという美少女(巨乳)、リリスという美女(爆乳)。

 俺に断る理由はない。


 ハーレムも百合も期待できる。

 

 まさに2粒(おっぱい)で2度おいしい。

 いや4粒(おっぱい×2)で2度おいしいか? 

 下がってるじゃん。


「いやよ。ただでさえカムイっていう変態がいるのに、これ以上の変態はごめんよ!」

「と、言ってますが?」

「ですが~、ミサが一緒に来る? って誘ってくれたんですよ~」

「ッ!」


 あー言ったんだな。分かりやすいリアクションをどうも。


「言ったのか?」


 分かってて追撃することにした。

 リリスが一緒の方がエロいし。


「言ってない!」「言いました~」


 重なった。


「一緒に来るくらいなら良くないか? 二人より三人の方が出来ることも増えるし」

「リリスはね、そもそも人間じゃないのよ。サキュバスなの!」

「へー。リリスさんって、サキュバスなんですか?」

「リアクションが薄い! もっと驚いたり、抵抗しなさいよ」


(そんなこと言われても)


「はい~。実は私~、サキュバス、悪魔なんです~」

「へーそうなんですか」


 悪魔なんだ。魔族との違いがよく分からんけど、サキュバスって響きがそそられる。


「だからリアクションが薄い!」

「悪魔って言われても良く知らないし」

「ちなみに~、ミサは~『サキュバスでも良いから一緒に来て、リリスの為なら私の純潔をあげてもいい』って~、言ってくれたんですよ~」


 腕を抱いて体をくねらせて、リリスはもじもじしていた。


 揺れるたびに不規則に揺れるおっぱい。

 加えてミサーナの処女発言。

 男って、女の人が処女だと謎の幸福感あるよね。


 そんなわけでムラムラする。


「そんなこと言ってない! ただ一緒に来る? って聞いただけよ」

「ならいいじゃん」

「良くないー!」

「純潔を貰う時は、俺も見学させてください」

「はい~、良いですよ~。見られながらっていうのも~、私は興奮するので~」

「だからそんなこと、言ってないって言ってるでしょ!」


 もう話が進まないので、ミサーナは置いといて、リリスと話しながら、泊っている宿に戻ることにした。


「これからよろしくお願いしますね。もう呼んでますけど、リリスさんって呼んでいいですか?」

「リリスでいいですよ~。私もカムイって呼ばせていただきますね~。それか~、カー君♪って呼んでもいいですか~?」

「カー君は勘弁して下さい」


 年上のお姉さんからカー君呼びは、おねショタ的ですんごく良いけど。この年でカー君に耐えられる、精神力は持ち合わせていない。


「ふふふ~、分かりました~。よろしくお願いしますね~。カムイ」

「よろしく、リリス」

「あんた達、話聞きなさいよ!」


 俺たちはその後も、簡単な自己紹介をしながら宿に戻った。


 後ろでミサーナが何か言っていた気がしたが、気のせいに違いない。



・  ・  ・

「一緒に冒険するにあたって、もう少しお互いのことを知っていた方が良いと思うんだ」


 成り行きで、この三人で冒険に出ることは決まったが、ミサーナと知り合ってまだ一日、リリスとは今朝会ったばかりなので、半日も経っていない。


 そんな関係性で旅をするのもどうかと思い、今はベッドの上に座って、ミーティング中なのだ。


 ちなみにミサーナが、リリスを自分のベッドに乗せるのを嫌がったので、リリスは俺のベッドに居る。


 俺は何処にいるのかって?


 決まっているだろう。


 さっき無視したことへの仕返しとして、床に正座ですが何か?


「お互いの身体のことを~、とか言うんだったら、カムイ今日は廊下で寝なさい」


 信用ねー。

 これまでの俺を見てたら、言いかねないの分かるけど。


(……あれ?)


『今日は廊下で寝なさい』を言い換えると、『私と同じ部屋で寝てもいいわよ』という事では?

 ヤバい、興奮してきた。


 待て、気取れられるな。冷静になるんだ。

 そうすれば今夜は、夢のパラダイスが待っている。


「ち、違うから。単純に剣が得意とか、魔法が苦手とかそんな感じの事を話そうと思っていただけで、他に意味なんて一切ないから」

「ふーん。なんか怪しいけど、良いんじゃない。カムイにしてはまともなこと言ってるし」

「私もいいですよ~。互いの身体のことを~、じっくりねっとり確かめ合う方でも良かったですけれどね~」


 良いんかい。


「最初は俺から言うな。今のところは剣を使ってるから、前衛ってことになるな。職業は……、言いたくないけど【無職】。レベルは42だ。だから大した技は使えない」

「?」

「~?」


 ミサーナとリリスが顔を見合わせていた。


「どうかしたのか?」

「別に何でもないわ?」

「私も何でもないです~?」


(何で疑問形?)


 無職なのが可哀そ過ぎて、言葉も出ないとか。


「じゃー次、ミサーナで」

「これって実際にやってみると、大したこと言ってないわよね。まあいいけど。私は攻撃以外なら、基本的に何でも出来るわ。次はリリスね」

「確かに一行で終わりますね~。私ですが~……」

「ちょっと待って。ミサーナの職業とレベルは?」


 まあ無理に聞いてる訳じゃないけど、ミサーナのレベルは知りたい。


「?」

「~?」


 またミサーナとリリスが顔を見合わせていた。


「なんだよさっきから」

「ねえカムイ。さっきから何言ってるの? 職業とレベルって何? まあ私はもうシスターじゃないから、無職みたいなものだけど」

「は?」


 職業とレベルを知らない?


 俺はリリスの方にも顔を向けた。


「はい~。私も分かりません~。仕事は私もしてないっていうか~、放棄しちゃったので無職ですけど~」

「はい?」


 ミサーナを見る。

 頷かれた。


 リリスを見る。

 頷かれた。


「魔物倒したら、経験値貰えるじゃん?」

「経験は出来るわね」


「経験値貰えたら、職業のレベル上がって武技とか覚えられるじゃん?」

「夜の経験値を積めば~、性技なら覚えられますけどね~」


「まじか……」

「リリスは理解できた?」

「全く~」


 もしかして、この世界で俺だけRPG仕様?


 よく考えれば、ミサーナの魔法は何でもアリなチート。

 あんな職業があるわけがない。


 魔物の大群を倒した時も、既にレベルが高いからかと思っていたが、ミサーナのレベルが上がっていた様には見えなかった。

 その魔物だって、最初のゲーム画面のウルフにはレベル2の表示があったけど、この世界に来てから魔物のレベルは見てない。



 魔王が討伐されて100年。


 プレーヤーが居なくなって、レベルや職業のシステムがおかしくなったのか? 

 だから魔物を倒しても、お金が増えなかったり、死体がそのままだったり、色々おかしくなっているのかも?


 上手く纏まらない。


「勇者には勇者特有のシステムが、あるのかもしれない」


 説明する必要もあるし、話を聞いてもらいながら、自分の中で整理したい。


 この世界がゲームの中ということは言わずに、職業やレベル、パラメーター、装備などのことを話した。


 この世界が偽物なんて話をされても、良い気はしないだろうし。




「……っていう事だ」

「なるほどね。だから老人は技や魔法が強いのね」


 ミサーナの中で何か発見があったのか、そう話した。


「どういうことだ?」

「私たちの使っている魔法や技は、元々先代の勇者が使っていた技術を、模倣したものってことよ」

「私も聞いたことあります~。現在主流になっている剣術や魔法は~、昔のものよりもずっと威力が弱いらしいんです~」


 職業とレベルが、システム崩壊と共に無くなった影響だな。


「魔王と勇者が居なくなった後に生まれた人は、職業とレベルが無かったから、それまで使えていた技が使えなかったって事か?」

「そういう事」

「魔王が討伐されたころに子どもだった人には、職業とレベルが残っていた。だから武技と魔法が使えた。現在の技はその人たちが使っていたものを、見よう見まねで再現しているのか」

「ですが~、どうして職業やレベルのことが伝わっていないのでしょう~? たった100年前の事ですよ~?」

「恐らくだけど、職業やレベルを確認できなかったからだ。魔物を倒したら、急に技が使えるようになっていたのかも」


 俺も【メニュー】を開かなければ、ステータスの確認は出来ない。NPCに【メニュー】なんてあるはずがない。


 だから何故か、昔の人の技は強いみたいな、噂程度でしか伝わっていないのだろう。


「一ついいですか~。実は魔族にもそういった噂話があるんです~」


 少し俯き、暗くなった雰囲気でリリスが声を上げた。


「魔族の中で伝わっている話~。その中に~、魔王を含め幹部、先代の勇者がいた時代からの魔族には~、新たに生まれたどれだけ強大な魔族であっても~、絶対に勝てないというものがあるんです~」

「それって」

「人間よりも長命。寿命が無い魔族には~、未だに職業とレベルがあるという事です~」


 ……少し違うかもしれない。


 運営だって、魔族に職業なんて与えたりはしない。

 与えても、亜人までだろう。

 

 つまり魔族の種類による種族レベルとかが残っていて、その技が使えるという事か。

 訂正したところで、何の意味もないから言わないけど。


 重要なのは。


「職業とレベルが無い今の人間では、魔族相手に太刀打ちできない」

「ということです~」


「ねえ、リリス」

「はいなんでしょう~」


 真剣な表情で、ミサーナはリリスに問いかけた。


「魔王は復活しているのね?」

「そうですね……。10年くらい前でしたか~、何の前触れもなく~、唐突に復活しました~」


 何となく復活している予感はあったけど、これで確信に変わったな。


「10年……」


 ポツリとミサーナは呟いた。


「10年がどうかしたのか?」

「いや何でもいないわ。そこまで自意識過剰じゃないわ」

「意味わからん」

「何でもいないって言ってるでしょ」


 急にどうしたんだ? 

 魔王が復活したことがショックなのか?


「……」

「……」


 急に空気が重くなった。


 魔王が既に復活している。そして今の人類じゃそれに対抗することが出来ない。

 暗くなるなという方が無理があるか。


「あー、まあ、魔王が復活してても俺たちのすることは変わらない。とりあえず俺は転職するために【ヴァルセイユライト皇国 パレスティア神殿】に行こうと思う。魔王がいるなら、なおさら無職のままじゃ不味い」

「そうですね~。それまでに少しでも強くなればいいんですよね~」


 リリスも明るい声を上げて、前向きの姿勢を見せた。


「……」

「……そうよね」


 ミサーナはまだその空気を引きずったまま。


「ミサーナ大丈夫か?」

「え? ええ大丈夫よ。それより次はリリスの番でしょ」


 ミサーナがリリスに笑いかけた。

 短い付き合いではあるが、その笑い方は明らかに無理をしていた。


「無理には聞かない。だけど困ったことになったら言えよ。会ったばかりだけど、俺たちはミサーナのパーティメンバーなんだから」

「そうですよ~。私たちは仲間なんですから~。無理しないで~、何かあったら言ってくださいね~」

「二人ともありがとう」


 ミサーナはまた笑った。

 完全に元通りの笑顔ではない。それでも確実に本物の笑顔だった。


「じゃー今度こそ、リリスの番ね」


 少し明るくなったミサーナに応えるように、リリスも笑顔を見せた。


「はい~。私ですね~。私の得意なことは~……」


 しかしその笑顔が一瞬で凍り付いた。


 続きの言葉を発することなく、冷や汗を掻いている。

 今度はリリスがおかしくなった。


「リリス?」

「どうしたのよ?」

「い、いえ~。私の得意なことですよね~。得意なことは~」


 もう笑顔は消えて、顔が引きつっていた。

 初めて見せたリリスの余裕のない表情が、何か深刻な事態の前触れを予期させた。


「お、おい。どうした! 何があった」

「その~、実は~」

「「実は?」」

『『ゴクリ』』


 息を飲んだ。ミサーナも俺を同じように。


「すみません~。得意な事はありません~」

「「え?」」

「得意なことがないんです~。だって私サキュバスですよ~! 武器で攻撃したこともありませんし~、攻撃魔法も使えません~」

「「……はあ~」」


 張り詰めた緊張の糸が切れ、安堵の息が重なった。


 そっか。得意なことが無いだけかー。

 そんなことだったら……。


「出来ないの! 本当に何も? 悪魔なんだし、闇魔法みたいな魔法なら使えるんじゃないの?」

「そうよ! リリスは前まで、暗殺がメインだったって言ってたじゃない。凄い魔法使ったり、羽があるなら空飛んだりできるんじゃ?」

「あっ! 空は飛べますよ~。ですけど暗殺と言われても~、闇に紛れて後ろからとかではなく~、ベッドの上で刺し殺すのがメインなので~、殺傷力のある魔法はあんまり~」

「お、おう」


 ベッドの上って、昨日俺危なかったんじゃない?


 リリスが裏切ったから良かったけど、下手したら今頃、棺桶の中じゃん。

 生き返れるけど。


「精神系の魔法なら使えるんですよ~。相手を興奮させるとか~、性器を敏感にさせるとか~。あとは抵抗力次第ではレジストされますけど~、催眠と睡眠の魔法も使えますよ~。少しの衝撃で解除されてしまうんですけどね~」

「前半はともかく、催眠と睡眠魔法は凄いじゃん」

「そうね。眠らせるのは私でも出来るけど、催眠は私じゃ多分出来ないから十分使えるわ。それに空も飛べるし」


 あれだけ深刻な雰囲気だったから、本当に何も出来ないのかと思った。


 ところで、興奮させるのと性器の感度を上げる魔法は、機会があれば是非使って貰いたい。


「何であんなに言いずらそうにしていたんだ? 得意な事の範疇だと思うけど」

「あの重い空気の後で言えるわけ無いじゃないですか~! 催眠も睡眠の魔法も、本当の使用目的はエッチなことをする為のものですからね~」


 それは確かに。


 あの重い空気を取り払い、良い感じの雰囲気の中で、『得意な魔法はエッチな魔法です~☆』とは言えない。


「まあそうだよな」

「なんか私の所為でごめんね」


 催眠と睡眠魔法。使い方次第では十分に戦えるし、空を飛べるのはそれだけで大きなアドバンテージ。


「催眠魔法なんだけど、魔物には効くのか?」

「効きますけど~、動きを止めるくらいです~。知能が高ければ、複雑な命令も可能なんですけど~、肩を叩かれる位の衝撃で元通りです~」

「まあ戦うだけなら十分だって。一切戦いに参加できないのかって、心配になったよ」

「そうね。それだけ出来れば、無職のカムイより使えるわ」

「ミサーナも今は無職だろうが」

「うるさいから、一生黙ってなさい」

「ありがとうございます~」


 リリスは安心し、ミサーナもその表情を見て嬉しそうだ。


 とは言ったものの、魔法の精度次第ではミサーナの下位互換でしかないんだよな。

 勇者パーティとしてはどうかと思うけど、リリスは暗殺がメインになりそう。

 しかもハニートラップ。

 そして最初の犠牲者は俺で、依頼者はミサーナなんだろうなー、分かります。


「とりあえず何とかなりそうだな。ミサーナとリリスが敵の動きを止めてデバフを掛ける。そして俺がトドメを刺すって感じか」

「これまで通りって事ね」

「よろしくお願いします~」


 妨害担当が2人に、攻撃担当が1人。

 バランスが良いとは言えないけど、現状では仕方ないか。


「なるべく早めに転職したいから、出発は早い方が良いんだけど、一週間後でも大丈夫か? 準備もあるから伸ばしてもいいけど」

「別にいいわ」

「私も大丈夫です~」

「じゃー出発は一週間後。目的地は【ヴァルセイユライト皇国】」



 一週間後、俺たちの冒険が始まる。



・  ・  ・

「つまらん存在だ」

「仰る通りでございます。いかがいたしましょうか?」

「奴らはヴァルセイユライト皇国に向かう途中には、ダークエルフどもの国、深淵の森がある。そこで仕掛ける」

「承知いたしました。それではどのように致しましょう」

「手始めにダークエルフを攫って、それを擦り付けろ」

「はっ、承知いたしました。それにしても、どの様な虫けらであっても使い道はあるものですね」

「言ってやるな。寄生虫の方がお前よりも役に立っておるぞ」

「これは失礼いたしました」

「冗談だ」


 暗闇に二つの笑い声が木霊する。


 僅かな光源が、球体の水晶玉をぼんやりと照らした。



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