戦闘~4~
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ディランの合図をもと、一斉に矢が放たれる。
短剣の石は魔法を防ぐことはできても、それ以外の攻撃を防ぐことはできない。まずい、矢が向かって来る。どうすれば……。
避けるしかないのかと考えている間にも、次々矢は放たれる。
慌てて団員が風の矢を放てば、一部の弓はこちらに到達することなく、落とされた。
それでも多くの矢が降ってくる。幸い相手の腕がよくなく、直撃せず体をかすめていくだけ。誰もが痛みに顔を歪ませるが、立ち止まろうとしない。
「馬を落とせ!」
ディランが向かってくるセドナーたちに近い位置に居る部下に、大きな声で指示を出す。
「セドナー! 迂回して!」
負けじと私も大きな声で指示を出せば、セドナーはすぐに方向を変える。他の馬もそれに倣うよう、後に続いていく。
それから私はすかさず土の矢を放ち、セドナーたちへ向かう敵の足留めを企む。
動き始めた地面には、さすがに成す術がないのだろう。敵は盛り上がった土の上から落とされ、腰や背を打っていく。
「ちょうどいい! あそこに壁ができた! 背中を守れるぞ!」
だがその前には、落とされた敵が三人待ち構えている。
また足の速い団員が、真っ先に飛びこんでいく。
「今だ!」
ディランの合図により、再度一斉に矢が放たれる。矢が向かうのは、一人で飛び出した団員の向かう先!
どすどす!
敵味方関係なく、四人に矢は刺さり、全員崩れた。
「あいつら……。自分の味方も……?」
ロッシさんが信じられないと、呟く。
「はは……っ。さすが帝国ってところか?」
新しく矢を構えられる前に、力なく笑った団員が敵の弓部隊に向け、普通の矢を放つ。
それは見事、敵の心臓に刺さった。
「皆、目を閉じて……っ」
周囲の三人にしか聞こえないほどの声で言うと、私は自分たちの足元に光の矢を放つ。
やがて眩い光が放たれ、敵が目をくらませている間に私たちは、死体を乗り越え、壁の後ろへ向かう。
そこから団員が、再度光の矢を放つ。
アコッセさんは昔、光を生み出す魔法は、昼間の野外では使い道がないと言っていたけれど、十分めくらましとして使えている。再会できたら、伝えよう。
だが光が消えると、数人の敵が、すぐ間近に迫っていた。降って湧いたように現れたことに、驚く。こちらの視界も効かないと、足音を潜めて、近づいて来ていたのだ。
矢の光を、敵にも利用されてしまった!
「もらったあ!」
内心悔しがっていると、横から剣が振られてくる。刃は躊躇なく私に向かってくるが、難なく短剣で受け止める。
「遅いのよ!」
刃をはね飛ばすように押せば、遠心がかかったように、敵の剣を持つ右腕も振られる。すかさず動いた私は、体勢を戻される前に敵の懐へ入り、腹部を斬る。さらに援護に来たロッシさんが、敵の胸を剣で貫き、止めを刺した。
全て終え辺りを見合せば、他の近づいて来ていた敵は、すでに団員たちの手により倒されていた。
「なにをしている! 相手はたかが四人だぞ!」
「たかが?」
ディランの言葉を受け、ロッシさんが笑う。
「はっ。俺たち全員、日々鬼団長から訓練を受けているんでね。それもフレイブ王国、歴代最強の団員と評される、アローン団長にだ! お前らのように鈍く弱い剣に、あの人に教わっている俺たちは、負けない! いいか、ディラン」
ロッシさんは腕を伸ばし、剣先をディランに向ける。
「戦いに勝つために必要なのは、人数じゃないんだよ」
挑発するような物言いに、ディランの顔が赤く染まる。
「なにを……っ。人数の多い方が有利で、勝つに決まっている!」
「状況を見ろ。俺たちは一人失っただけなのに、お前たちはどうだ? 何人倒れた?」
ディランがなにか答える前に、大きな足音が聞こえてくる。音のする方を見れば、迂回していたセドナーたちが右側にいる敵の背後から、猛スピードで向かって来ていた。
「うわあ⁉」
「殺される!」
三頭の巨大な馬が踏むように前足をあげれば、私でも怯える。もちろんそれは、敵も同じだった。
そんな敵の慌てふためく姿を見て、これは好機だと、すぐに私たちは普通の矢を使い、乱れた敵を倒していく。
左側の敵の後ろには、団員の二頭の馬。
それに気がついたディランが、赤色の矢尻を取り出し、構える。私はすぐに水色の矢を取り、ディランが放つと同時に弓を引く。
炎と水。二つの魔法はぶつかると、互いを打ち消し消滅した。
その間にセドナーたちが私たちのもとへ来たので、すぐに飛び乗る。
無言でロッシさんと頷き合うと、私はアコッセさんの向かう逆方向へ向け、セドナーで走り出す。
私は囮。必ずフェーデを助けるために、逃げ続けてみせる!
「追え! あの娘を生かすな! なんとしても殺せ!」
背後からディランの怒鳴り声が聞こえた。
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