休み時間
調理…
女の子を調理なんかしたことない。
でも、アドバイスならできそうだ。
「じゃあ、まず調味料を用意しようか」
「ええっ⁉︎それって…塩コショウ⁇もしかして、ほんとうにわたしを調理するつもり⁉︎」
「違うよ。美に大切なもの」
「あぁ、高級な化粧品とかね」
「ううん。水からはじめよう」
「水⁉︎」
「そうだよ、一日にどれくらい水飲む?」
「え、飲まない。飲むのはジュース一択」
「不合格にするよ?賞味期限切れにしてゴミ箱いきになりたいの?」
「それは…イヤです。てか…あ、ううん…続けて。」
「とりあえず、一日一リットル水を飲むってことからはじめようか。」
「それって…わたし見放された?」
「なんで?水は、大切だよ?」
いまいち納得のいっていないような表情だったけど、とりあえず実践してみるとのことだった。
この話をしたのは、金曜日。
そして、土日あけの月曜日。
田口さんをみて驚いた。
あ、田口さんとは隣の席の人なんだけど…
あれ?
もしかして、違う人が座ってるだけ?と、顔を覗き込んだ。
⁉︎
「えっ、田口さん髪の毛ストレートにかえたんだ?」
「それが違うのっ‼︎水よ水‼︎水をたくさん飲んだら、枯れた植木が生き返ったみたいに、なんとわたしの髪も潤いが戻ったの‼︎すごいよ‼︎ほんとすごい‼︎ありがとう‼︎で、次のアドバイスお願いします。」
一気にテンションがガラッとかわり、いきなり手帳とペンを取り出した田口さん。
「あー、じゃあ…」
ぼくは、バッグを机の横にかけて、田口さんをじっとみた。
「水の次は、食べ物かな。あ、その前に白湯もいいよ」
「白湯は、朝やろうと思って忘れた。やるね!あと食べ物か。お菓子なら詳しいの。どの、なんのお菓子食べたらいい?」
…
「えっと…お菓子とかじゃなくて、果物がいいかな。手軽に食べられる冷凍のフルーツって結構あるんだよ。あとは、野菜」
「あー、普通のことばっかりなんだね。水とか果物、野菜とかさ」
「うん、そうかもしれないね。でも、普通が意外と難しいもんなんだよ。野菜から食べる方法がいいって言われても、好きなものから手をつけたりしがちだったりね」
「わかるわー。わたしいつも揚げものから食べる」
「じゃあ、一番最初に食べるのは、野菜からにかえてみてよ?よく噛んでね?」
「えー、子ども扱いじゃん。あたち、まだ歯が生えてないでしゅ」
「めっちゃ歯見えてるよ?」
「「あはは」」
田口さんが、こんなに話しやすい人だとは思わなかった。
田口さんは、どうやら頑張り屋さんみたいで、ぼくのアドバイスのほかにもなにかやっているみたいだ。
「ねぇ田口さん。そのさ、自分の手を握り合っているのは、右手と左手の再会を祝しているの?」
「あはっ、そんなわけないでしょ。これは、手のツボ押ししてるの。わたし、運動ってきらいだし、ストレッチも面倒なわけよ。だから、座ったままで楽にスイッチ押ししてるの」
「それいいね!ぼくにも教えてほしい」
「おっ、立場逆転!では、まず自分の気になることを携帯で調べるの。眠りを良くしたいなら、快眠ツボとか、便秘ツボとかね。そうすると、めっちゃ出てくるわけ。あと、簡単リラックス顔とか調べると、もうわんさかいいのが出てきて、とりあえずわたしは、いろんな人のやつをとりあえずやってみて、この教えがわたしにあってるかもってなった人を参考に続けたりしてるの。」
「おお、いいね!なんか癒し曲とかもあったりするよね」
「そうなのよ。だから、眠くないなぁってときに流して目をつぶると、意外と朝まで寝てるんだよね」
「いつのまに⁉︎ってやつか」
「そう、恋と同じよね」
…
「え?」
「だって、そうでしょ?恋っていつのまにかおちてるじゃない?まぁ、一目惚れとかもあるけど、恋って…なんか赤い糸探しでしょ?ゆっくりゆっくりなんかその人にひっぱられてるみたいなさ。で、手繰りして寄せてみたら、その人とはただ絡みあっていただけで、よくよくみたら、ほどけちゃった⁉︎あれ⁉︎絡んでただけで、この糸…まだどこかに繋がってるくない⁉︎みたいなね」
「複雑ー…」
「ほんとそう。複雑骨折の骨折りボキボキのくたびれへべれけよ」
「おう…そう…ね。田口さんって面白いね」
「えー、そうかなぁ?てか、面白いより、肌白いって言われたい」
「あー、うん。そうね…白いのもいいけど、やっぱり肌艶がいいと清潔感でていいよね」
「そうだよね!綺麗なテーブルと汚いテーブルじゃ、全然違うものね」
「…顔をテーブルに例えるなんて斬新だね」
「ねー」
田口さんのおかげで、休み時間に退屈しないようになってきた。
続く。




