序章~堕天使を知る子供たち~
この宇宙では色んな世界がある。それは並行世界であったり、本当に別の種族が住んでいる世界もある。そのような様々な世界を作り出しているのが、創造神と呼ばれるアウラスだ。アウラスの元には多くの天使がついており、7人の天使が特に力を持っているとされている。その天使たちは「七大聖大天使」と呼ばれ他の天使たちの憧れであり、最大の壁であった。
その天使たちには後の世界の元となる属性が刻まれている。海、太陽、植物、星、光、妖、時空の7つ。この基本の属性の事を「七大基本属性」と呼ばれることになる。
様々な世界がある宇宙の中の一つであり、まだ歴史が浅い、人間の様に言うと若いというべきか。人類が繁栄し、地球の日本で言う平成という時期だろう。昭和で戦争が終わり、復興も進んでいく中で子供という未来の希望の学力を伸ばすため学校という設備が増えてきている時代である。
そんな学校の一つ「長山市立青桜小学校」と呼ばれる小学校が存在した。この星では学校に「神話」の授業があり、天使や神アウラスの勉強をする時間である。いわゆる「歴史」の授業だ。
10歳になると教会で祈りを捧げ、天使の加護を受け取る。契約というものだ。どの属性の天使がつくかは性格などを元に相性で決められる。周りから慕われるほど上位の天使の加護を受けることができると言われている。
いつも通りの平和な学校に、変化があった。6年3組の「神話」の授業で教師が特別講師を呼んだのだ。
「皆さん、席についてください!今日は特別課外講師の方を呼んでいます。今日はその方に授業をしてもらいます。失礼のないようにしましょうね」教師が言い終わるにつれ生徒たちの返事が聞こえてくる。
「それでは自己紹介をお願いします」扉が開き高身長の男性が入ってくる。女生徒から黄色い声が上がる。
「誰、あの人」「滅茶苦茶イケメンじゃん!」隣の子と興奮が抑えられないのか教室が賑わう。
「皆さん、こんにちは!僕の名前はルカと言います。今日は課外講師として呼ばれてきました。よろしくお願いします」
澄んだ声にキリっとした青い目に眼鏡をしている。これこそ容姿端麗というものだろう。
整った容姿に女子の目が釘付けになる。教師も少々よろめいていた。
「自己紹介という事で、何か質問があれば答えようと思います。何か質問がある人はいませんか?」
女子たちが一斉に手を挙げた。教師も一瞬上げそうになるのを必死にこらえていた。
「じゃあ、そこの23番の子」当てられた少女が緊張しながら質問をする。
「今日は、えっと、神話の授業をしに来てもらったって聞いたんですけど、詳しくはどういう話をするんですか?」純粋な質問で、全員気になっていたが、講師の容姿に釘付けで本題が疎かになっていた。
「良い質問をありがとう!」ルカが拍手をする事によりクラス全員が拍手を送る。
「そうだね、今回僕が教えに来たものはこういう存在を伝えるためさ」黒板に何かを書き始めた。後ろの席の子が見えないのか首を伸ばそうと必死になっている。
黒板に書かれた文字は「堕天使」という一単語、だがそれだけでも、教師の顔色が変わった。
「それは禁忌の存在で、大人以外には教えてはならないものです!打ち合わせと違います!」教師が焦ったように止めに入るが、ルカは気にする様子もない。
「そりゃ打ち合わせで言ったら、貴方方に止められるから言えるわけないでしょう?はい、皆さんは天使の存在は知っていますね。では堕天使という存在は知っていますか?」返事はない。子供の中で知る者はいない。それ程までに堕天使の存在は禁忌に触れるのだから。
「まあ、いないですよね。当然です、教えてもらっていないのですから。知らなくても良いのですよ。知らない事を教えるために僕がいるんだから」子供たちは教師の反応を見て、驚きと不安の両方の感情が頭の中を行き来していることだろう。
「では、堕天使について簡単に説明しましょう。その前に、天使のおさらいからしましょうか。今回の話とも無関係じゃありませんしね。じゃあ、そこの19番の男の子!七大聖大天使の属性と名前をそれぞれ知ってることだけ教えてくれるかい?」
手も上げていない男子生徒はさすがに驚いたが、落ち着きを取り戻しゆっくり正確に喋っていく。
「は、はい!えっと、海の天使「ジュラ」、星の天使「ルア」、太陽の天使「ファウラ」、植物の天使「サッフォー」、時空の天使「アイオン」、光の天使「アウラ」、妖の天使「ユラ」この7人です!」
「上出来だね!じゃあこの中で兄妹の天使の名前を教えてもらえるかな?そこの11番の子!」今度は少しの驚きで済んだ。手を上げなくても当てられることが分かっているからだ。
「はい!えっと、確か「ジュラ」、「ファウラ」、「アウラ」、「ユラ」の4人が兄妹で、共通点として全員の名前の最後に「ラ」の文字が入っています」
「正解!教科書でよく勉強しているね。二人とも大正解だ!」
少し間が空いて
「この中には約50000年前に神アウラスによって堕とされた堕天使がいるんだ。歴史に興味がある子は読んだ事があるかもしれないね。その天使の名前は「アイオン」七大聖大天使の中で唯一、堕天使として堕とされた経験を持っている。」子供たちの中で驚きの声が次々に上がる。無理もないだろう。アイオンは聖典の中では、七大聖大天使の中で一番真面目だと言われるほどの性格をする天使だ。
「堕天使は堕とされたら無理やり転生するんだ。どっかの知らない世界にね。今日は、その転生したアイオンの生活を見ていきたいと思うよ!」
子供たちは純粋に目をキラキラさせている。それを見たルカは軽く笑う。予想では反発があるとも思っていたようだ。嬉しい方向に向かったことに安どの気持ちを隠しきれないのだろう。
「この物語は僕の一族にしか伝えられていない話なんだ!アイオンがどんな生活をして、どんな仲間に恵まれ、天使や神アウラスとの付き合いがどんな物になってるか一緒に見よう!」
教師は何も言わなかった。ここまで言われては批判されるのは自分だとわかっているからだ。ルカにテレビの使用許可を求められても素直に応じるだけであった。
「ビデオテープに音声と映像を入れてるから、分かりやすいと思うよ。途中で休憩もはさむから、リラックスして聞いてね。途中で体制を崩してもいいよ」
ちなみにという顔で「アイオンは堕天使としての生活の方が充実していたと語り継がれているんだ。どうしてだろうね?その謎を解くためにも僕と一緒に神話の世界にダイブしよう!」
一枚のビデオテープ、たったそれだけに子供たちの興味がMAXになっている。
約50000年間隠され、虐げられてきた物語のすべてが幕を開ける!




