幕間 ~女神のお仕事~ その3
足元には、どこまでも続く蒼天。無数に存在する世界の一つ、地球に繋がっている。
頭上にも、天井のない、無限に続く青い空。無数にある世界の一つ、テラスペラズに繋がっている。
その間、水溜りの地域。
世界の狭間。
女神・セイクリッドチカはというと。映画館を創り、とある映画を見ていた。
どうやら十分間の休憩のようだ。
金色の瞳から涙を流しながら、拍手喝采。羽根をまき散らしながら翼を広げる。
……劇場には、勿論一人。
「素晴らしい。仲間から知見を得て、自らのものに昇華させる事が出来ましたね。これで第三段階、『第三の試練』は完全攻略です」
羽衣の袖で、涙を拭って。
艶やかな瑠璃色の髪を手で梳いて立ち上がる。
飲み物を置くところからマーカーペンを取った。
「さぁ、次で最後の試練です。基礎、応用、継承。これまで培ってきた全てを解き放つだけ」
隣の座席を占拠するホワイトボードに書き込み。
残りの空欄は最後の行のみ。
「きっと、どん底にまで追い込まれるでしょう。ですが、決して諦めてはなりません。どうか魅せてください。貴女の固有技術、その真価を」
チカは画面をじっと見つめて。
「……上手くいけば、百年間続いた勇者と魔王の争いが終わるきっかけになるかもしれませんね」
そして目を瞑る。
どこか遠くに想いを馳せるようにして呟いた。
「魔王と異界魔導衆」
テラスペラズに生きる者にとっても未だに謎の多い存在、魔王。そして異界魔導衆。
女神である彼女だけが、真実を知っている。
「わたくしと対を成す存在、ですか」
そうして目を開けた。
どこか儚げな、微笑みを浮かべて。
「わたくしが現世に干渉する時が、いつか来るかもしれませんね」
「さて」と。ペンを投げ捨て、ドカッ、と音がする勢いで再び着席。
ブーツを脱いで「マジねむみ」と前の座席に足を上げる。
「ま、ユキならここまで来たんだからへこたれないっしょ! アーシの書いた本も読んでるし! じゃ、最後のデカ仕事が嫌すぎてつらたんだから休むわ! ノシ」
どこに向けてか、手を振った。
虚空から現れたポップコーン。それを豊かな胸をギュッと押さえつけるように抱えて。
口に放り込む。ボロボロと零れ、羽衣と床がとんでもない事になっているが彼女は気にしないだろう。
休憩が終わり、映画の続きが始まる。
……この映画のタイトルは、『転生したら勇者パーティーの道具袋になったんだが、どうやら万能らしいので一緒に世界を救いに行ってみます』。




