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幕間その6 『連盟』

推敲が足りていないのですが、あまり間が空くのもどうかと思いますので更新します。

「それで、『連盟』は何と言ってきたのですか」


 カレロミムは父親である皇帝に尋ねた。


「やはり『勇者召喚』の件であった」


「しかしあれは半年も前のことですよね? なぜ今頃になって、しかも我が国にいってくるのですか」


「お前にはまだ詳しく語っていなかったか。『連盟』への加入条件の一つに、『一つの惑星が単独の国家、もしくは連合体で結びついている』ことがある。我が国があくまでも準加盟国扱いなのは、その条件を満たさないからだ」


「つまり、現状でこの星の『連盟』の窓口は我が国となっているがゆえに我が国に行ってきたということですか」


「そういうことだ。

 そして今頃になった理由としては、『連盟』側でも件の召喚の件を調査していたためらしい」


「そのためにこちらへの連絡が今頃になったということですか」


「そういう意味だ

 で、結果として今回の召喚に置いて『連盟』へ加入している国の被害はなかったそうだ。ただ、非加盟の世界では最低でも4つの世界に影響が出たことが確認され、特に中心となった世界では実際に召喚された33人以外にも少なくとも300人以上の死者・行方不明者が出ているらしい」


 その数にカレロミムは絶句した。


「それ以外の世界でも召喚の影響と思われる死者・行方不明者が確認できただけでも二桁以上に上るようだ。

 で、これまでこの世界では我が国が独占していたはずの多元世界との接続技術がこうした形で用いられ、非加盟世界とはいえ多大な被害が出たことを、『連盟』加盟国も重視したらしい。

 そこで我が国に対して、『連盟』の援助による統一国家成立を目指すよう迫ってきた」


「それを断るとどうなるのですか」


「『連盟共同軍』にる直接介入によりまずはこの星すべてを占領、その後『連盟』指導の下に新政権が樹立されてその新政権が『連盟条約』を批准することになるそうだ」


「そ、そんな無茶な話!」


「大声を出すな。わしとてはらわたが煮えくり返る思いだったわ。だが彼らがそこまで強硬な態度をとることにも理由がないではない。

 例えばだ、どこかの国が大規模な攻撃魔法……そうだな、たとえば一都市を吹き飛ばせるほどの魔法を開発したとする。おまえはその国がそれを使わないと信頼できるか」


「いえ、簡単には信頼できないでしょう」


「例えば複数の国がその攻撃魔法の使い手を雇っていた場合、どこかの国がその魔法を敵国に使うと、相手国も報復でその魔法を使いかねない、そういう状況になったなら、お前ならどうする」


「自国でもその魔法の使い手を雇いますね。その上で互いにその魔法を使わないよう条約を結ぶでしょうか……。

 なるほど召喚魔法がそれほどの技術に当たると」


「実際のところ、敵の首脳陣を一気に召喚したり、召喚術を逆に使い、相手側中枢に自国の兵を送り込んだりなど、やりようによっては何でもできてしまうからな。

 そこで様々な技術に基づく召喚術……あちらでは時空間移動技術というそうだが、これに制限をかける条約を締結し、批准しているのが『連盟』というわけだ。

 ところが当然条約を批准しようとしない国も存在し、それらは技術の利用に制限をかけないことから、条約批准国との間に軋轢が起きた。

 『連盟』の中枢国としては、それら時空間移動技術を所持しながら条約を批准しようとしない国々は信頼できないだけでなく危険な存在だったのだよ。

 それでどうしたと思う」


「どうもしようがない気がしますが……」


「本来ならそうだろう。だが彼らはそれら非批准国家をテロ支援国家と決めつけ、連盟軍を派遣して潰して回ったそうだ」


「なっ……」


「強引だと思うだろう。だがもしもその存在を許容するなら、今回起きたような事件が発生する可能性があると言われれば、完全な否定もできん。

 本来であれば初代が召喚魔法を改良して異世界との交信実験を行った時点で、我らの世界もいわばそうした多次元世界のルールに巻き込まれてしまったのだ。

 いくらこちらが文句を言おうと、国力も技術力もあちらが上だ。そのことを理解していた初代は大陸統一を推し進め、さらに世界統一を行い正式な連盟への加盟を目指した。

 そうすれば連盟加入の国々とも正式に国交を結んで相手からの技術導入なども可能になるからな。

 だが大陸統一の時点で我が国は疲弊しきっており、さらなる戦の継続は困難だった。

 結局、初代は我ら自身で封印され、その後は国力回復という大義名分の元、モラトリアム期間を過ごしてきたわけだが、それも本日をもって終わりを告げたということだ」


「では、世界統一を目指すと?」


「いきなりは行わん。まずは各国に対して今回の件を包み隠さず通達し、連合体となることを目指すことにする」


「時間がかかると思いますが、『連盟』は待ってくれるのですか」


「実際のところ『連盟』はそこまで強引な組織ではない。我々が自ら統一組織を作れるなら、それを待つことはできるといっている。

 おそらくは『連盟』内でも、武力行使に対する反対勢力があるのであろう。なにしろ戦争には金がかかる上に、彼らにとってこの世界を『連盟』に組み込むこと自体は特に利益があるわけではないようだからな。

 あくまでも安全上の問題として、そういう圧力をかけてきているというわけだ」


「では一、二年で『連盟』が動くことはないと?」


「我が国が動かなければその限りではないが、積極的に動く姿勢を示せば観察期間を設けることに理解は示してくれている。

 そもそも統一国家設立が数年で終わるわけはないことは相手も理解しているからな」


「では最初の数年は連合体を目指し、反対もしくは無視する国を攻めるという手順になりますか」


「そうなるな。できれば勇者召喚をしたミルコルド王国を早めに叩きたいところだ」


「我が国を攻めるために勇者召喚をしたようですから、我らの呼びかけには答えないでしょう。

 それまでに軍の再整備と訓練、それに物資の備蓄を進める必要がありますね。

 そういえばシーベルが言っていたジャナハン男爵家との婚姻の件ですが、今日のパーティーで本人に会いました。なかなか面白い娘でしたが、ナーシェフ大沼沢の干拓をジャナハン家で引き受けるといっております。なんでも旧ナーシェフ王家傍流の末裔だとか」


「ほう、先祖の無念を晴らしたいというわけか」


「そのようです。簡単にできるものではありませんが、国家事業として金と人手を取られるよりもやる気のあるものに任せるほうがよろしいかと」


「ふむ、確かにすぐに成果が上がるものではないとはいえ、逆に言えば今のうちから始めないと戦後の食糧難を招く恐れがあるか」


「彼らはシーベルを婿に迎えることで、他の貴族からの横やりを排除することも考えているようです。

 事業にかける意気込みは本物と思われます」


「なるほど。確かにナーシェフ大沼沢の干拓事業を成功させれば伯爵にもなれる。その当主がシーベルであれば周りの者もおいそれと口出しできないな。

 ではシーベルは本人の希望通りジャナハン家への婿入りさせるのが妥当か」


「はい。メイリン・パッテナの婿についてはハーマインを推していますが、寄り親のステイン伯爵が息子の一人を推していることもあり、しばらくは検討ということになりました」


「できれば皇家と縁を結ばせたいが、強引な手は逆効果か。

 まずはハーマインが候補に残っているだけでも今は良しとしよう。

 それよりもメイリン嬢にはさっそく他の転移者と思われる白い魔獣の探索をしてもらわねばならんな」


「何かありましたか」


「実は『連盟』から、もしも勇者召喚に巻き込まれた転移者がいたなら保護するよういわれているのだが、その際にもしも姿かたちが変わっていたならどう判別するかを尋ねたところ、ふつうは元の姿のまま転移するとの返答だった」


「つまり魔獣に変わることはない?」


「そのようだ。

 だが実際に我が国では姿が変わった転移者が見つかっている。勇者召喚とは別の要因で姿が変わった可能性もある」


「『連盟』には、魔獣となった転移者が見つかったことは伝えたのですか」


「まだ伝えてはおらん。

 実を言えば、相手はうまく隠したつもりだろうがこちらの質問に微妙な動揺を見せた。

 あるいは交渉材料とできるネタが隠されているかもしれん」


「わかりました。駐在員にも探るよう伝えておきましょう」


次も一か月以内には更新できれば……。

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