第97話・とりとめのない話
身体のすごくやわらかい人はスプリッツの上半身、背中を後ろの足にくっつけられます。はじめてみたときは驚きました。この人きっと上手だわっと思ってレッスン中も鏡通してガン見。
二重関節っていうんですか、すっと足を上げられる人は例外なく上手です。身体が柔らかい上に軸足がしっかりしてると怖いもんなんかない。
何を踊れって言われてもすっと顔色1つ変えないでこなす。余裕のほほ笑みつきで。
「涼しい顔」っていうのはああいうのをいうのでしょう。
毎日の努力もあるでしょうが、うらやましい…。足が上にすっとのびて膝は中に入る、そして腕も筋肉だけでできていて、ついでに顔が綺麗な卵型だとほんとにバレリーナ。
何回でも書くけどう、うらやましい…。
旧日本人型の体型の私はため息をついて見ています。でも平成生まれの子供たちってほんとこんなんですよ。8頭身の人も普通にいますし、日本人も変わりましたね。
まあ、そういう恵まれ気質の方々は舞台で観賞用にとっておこう。
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そして私たちプロには決してなれないババア・リーナの世界もまた奥深い。
そういう恵まれた体型を持たなくてもバレエ愛好家はへたなりにも「ああ、楽しんでいらっしゃるな、楽しそうにおどってらっしゃるな」 と思わせる表情で踊る人もいます。多少恰好がつかなくても平気!
それも見てて楽しいし、やっぱり、バレエは楽しんで踊るべきだよと思います。
大人バレエのレッスンはまずは自分が楽しまないと踊れませんもんね。
やせたいから、
チュチュ着たいから、
トウシューズ履きたい、
華やかな世界に身をおいてみたい、
現実逃避、
ようはなんでもいい。
どういう理由でもバレエをやるには立派な理由だ。よこしまな感情なんか入る余地なんかない。
楽しければいいってのが1番。そしてその上にできるならばスタイル=体型もよくしないといけない、バレエは見た目も大事、なのは本当だと思う。
だから発表会の写真をみるたびにがっくりとして、足もっと細くしなきゃ、とか思います。プロならオーディションの書類審査で確実に落選でしょう。
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ああ、いけない。
ネガティブなこと考えてはいけない。
そう、アクティブな方向へ考えてみよう。
また勝手なことをこれから書きますけど、いいですか?
さあ、ある革命的な振り付けを考案します。そしてバレエのイメージを打破するために一部をとっても肥った人に重要な役をふって踊らせます。
それが大成功っ!
とか。
男子×男子のパ・ド・ドゥ、ええ、ゲイでもなんとでもいってください。女子×女子のパ・ド・ドゥでもいいや。愛し合う同性愛? そんなのでもどうでしょう。難しいかな。
アラベスクの連続技で大勢の少女たちが舞台で青春してるのもいいな。踊りながら勉強したり泣いたり笑ったり。
空を飛んだり海の中で暮らしたり。舞台はなんでもありなので踊る方も見る方もきっと楽しいはず。
振り付けが優秀で役柄をきちっと飲みこんで踊ってくれるダンサーならやってくれるだろう。
それもストーリーは単純な方がいい、ウルトラマンや水戸黄門様のような勧善懲悪でもいい。
とにかく創作はテーマが込み入りすぎてわかりにくくて共感しにくいのが多くて、時間無駄にした…とか思ったりするのも困るしね。
(いや、私の理解度が不足しているのだけど、でも創作で2時間の舞台をバレエでもたせるってのは至難の業だと思います…何してるのか、わかりにくいものが多い。創作? いやー古典の白鳥や眠りだったら行くけど? になっちゃいますね。)




