第17冊 薬師寺、石井棟梁からの学び
書こう書こうと思いつつ、1週間が経ってしまった。それは忙しいのもあったけど、ここで得たものをどう記すか考え込んでしまったから。それ程得るものが多かった。
ここでは薬師寺東塔を解体修理した石井棟梁のお話しを聞くことができた。(プロジェクトXにも御出演された方)
法隆寺や唐招提寺と違い、この薬師寺は非常にカラフル。それもそのはず、この薬師寺さん、飛鳥の建物は東塔しかなく、あとは近世になってからの再建になるからだ。
それでも創建当時の木工の心を再現する為に、正倉院にあった「槍鉋」という道具まで復活させている。室町時代に途絶えた道具なので、使い方やら鉄の素材やらまで大変だったらしい。
国宝である仏像さんも見事な物だが、それよりも凄いなと思ったのは、再建に際しての「木組み」の考え方。
「1000年生きてきた木は、1000年生きるように使ってやらなきゃいかん」
「今の図面は木の変化まで考えていない」
「鉄やコンクリは保って50年から100年。そんなもん使ったらそっから腐食する」
この辺りの話は、西岡常一棟梁の本を読んでいて知っていたものの、実際に目にすると説得力が違う。薬師寺講堂の大柱なんてヒビが入っているけど、全く石井棟梁は動じてる風もなく、むしろ「こんなとこに鉄のシャッターなんかつけてもなぁ………」って言い放つ。
1300年受け継いできたものを、また1300年保たせる事ができるかどうか。自分がした仕事が正確かどうか、少なくとも300年後じゃないと分からない、と言う。
今自分がしてる仕事が、そんな長期的展望を持ててるのかというと………絶対に持ててない。
それから、木や人は色んな癖を持っている。だからこそそれらを生かさないと棟梁にはなれないとのこと。今の世の中、個性が大事とか言いながら、一方では効率化で自分の(集団)意にそぐわないものを切り捨て、扱いやすいものしか残さない事が多い。
「必ず生きるところ、生かせるところがあるし、生かさなあかん」
その言葉がすごく染み入った。
他にも色々あったのだけれど、行ってよかった、聞けてよかったと心底思う薬師寺でした。




