168/168
ほろ酔いの夜 7
「マジか。それを亜樹本人にバラされるとはな」
耳まで真っ赤になっているのを見るのは久しぶりだ。
「言いたくてうずうずしてたみたいよ。籍入れた今だから教えてくれたみたい」
「言うの我慢してくれてたんだな」
「余計なこと言ってダメになったらいけないからって言ってた」
お酒に酔って少し火照った頬に夜風が気持ち良い。
「結婚パーティーにはその人呼ぶの?」
「呼ぶよ。来る気満々だもん」
「じゃあお礼言っとかないとだな」
大好きな人の側にいられて、周りにも祝福されて。この上ない幸せを噛み締めて空いてる方の手を優輝の腰に回した。
お風呂を終えて寝室に戻る。
灯りはついてたけど優輝の規則正しい寝息が聞こえる。
「もう寝ちゃったのね?」
声に出すけど、でも起きない。
彼の眠るベッドに潜り込む。
強引に腕を上げて胸筋を枕にする。一緒に暮らしてから、ベッド内の私の定位置はここだ。
「おやすみなさい」
返事を期待せずに呟くと腕に包まれた。規則正しい寝息はそのまま。
彼の体温に引き込まれるように眠りについた。
番外編 ほろ酔いの夜 fin.
Copyright(C)2022-藍沢咲良