表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死した竜の物語  作者: 獅子貫 達磨
第四章 帝国を目指して
101/104

46話 報酬と…

鑑定の一部表記を変更しました。


『はいよ。』


ヴァゴスから鑑定結果が送られてくる。

さてさて、どうなったかな。


▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

名前:グリムル

種族:グロリア・アローサルオリジン

能力:

『吸血』

『闇なる復活』

『怪力』

『不老』

『病毒の腐蝕血』

『四尾なる命』

『脳髄再生』

『隠蔽』

『酸・病気耐性』

加護:

『血なるレフソ=ウェルの蝕害加護』

『復活なるレフソ=ウェルの貯加護』

『龍なるエンディガーの脳加護』

『謀なるメルロイの隠蔽加護』

『自然なるムーマーの往加護』

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲


ふむ。

やっぱりと言うか血液の能力が強化されたな。

『猛毒の溶血』が『病毒の腐蝕血』に変わった。

加護も『血なるレフソ=ウェルの溶毒加護』が『血なるレフソ=ウェルの蝕害加護』へと変化したな。

それに加えて『病気耐性』も手に入ったと。

ここは前回の腐蝕系の能力を手に入れた時と同じか。

まぁ、アンデッドだから腐蝕はともかく病気は元から意味ないんだけどな。

にしても病血ね…。

毒と酸は分かるが病気の血液ってどういう事だろう。


『血液がかかった相手の抵抗力を下げるとか病に侵すとかそういう感じじゃねぇか?

 酸と違ってこればっかりは生物にかけてみないと分からねぇな。

 と言ってもそこら辺の生物にかけても先に溶けて毒で死にそうだけどな。』


まぁ、確かに。

そう考えるとあんまり意味のない力か。


『持ってて損にはならねぇだろ。

 それより、よく見ろよ。

 もう一個変わってるぞ。』


ん……?

あ、本当だ。

新しく手に入ったレフソ=ウェル関連の箇所しか見てなかったけどメルロイの加護も変わってる。

加護が『謀なるメルロイの隠加護』が『謀なるメルロイの隠蔽加護』に。

『隠匿存在』が『隠蔽』になったな。

これは…能力強化なのか?


『まぁ、能力の名前の変化からは分かりにくいが、加護の名前の変化を見るに強化なんじゃねぇか?』


隠蔽ね…。

そういやさっきの戦闘中は結局隠匿存在はうまく作用してたのか?


『ああ、お前が飛んで行って暫くしたら急に存在が希薄になった。

 と言っても注力すれば気が付けるんだろうがな。

 ただ、他の何かと戦っている時にあんな風に気配を消されたら厄介な程度にはな。

 ま、俺様はお前の身体に居たからか、存在が希薄になって大体どこにいるか分かったけどよ。

 だからこそお前が位置につくと同時に仕掛けた訳だ。』


成程ね。

ちゃんと効果は出てた…しかも凡そ思った通りの効果だった訳だ。

咄嗟の判断にしちゃ上出来か。

さて、それじゃ新しくなった『隠蔽』でも同じ事が出来るなら劣化ではないことの証明が出来るな。


『練習も兼ねてやってみろよ。』


えーっと、さっきと同じように身体の奥を意識して…。

隠匿ね。

隠匿……。


暫く意識するとさっきと同様に身体の奥から何かが湧き上がる感覚があった。

でも、それが戦闘中の時みたいに全身を覆う事はなく一瞬で霧散し消えて無くなる。

ん?なんでだ?


『ああ、発動にオドを食うタイプの能力か。

 簡単な話だ。

 もうその能力を発動できるだけのオドが残ってないだけだ。

 ほぼ完全に空だからな。』


成程ね。

ああ、でも一瞬発動しかけた時の雰囲気はさっきと同じっぽかったな。

やっぱり単純な能力の強化ってことでいいのかね。


『だろうな。

 問題はどう強化されたか…かね。

 ま、こっちは追々調べるか。』


追々って後回しにしてたから隠匿存在も行き当たりばったりで使う羽目になったんだけどな。


『急いでるってお前が言ったんだろうが。

 俺様はゆっくり検証してからでもいいんだぜ?』


ぐ。

そう言われるとそうだけどさ。

今回みたいなことがあるって考えるとやっぱり十全に自分の能力を把握しておきたいって気持ちも芽生えるな。

時間をとるか安全をとるか、だな。

……ま、能力の方向性はわかったし今は捨ておくか。


辺りを見渡すとまだ箱がぐるりと俺たちを取り巻くように並んでいる。

そういや俺とヴァゴスで二つ分の報酬が手に入るんだったな。

どうするんだ?

今回は詳細鑑定の決壊魔石はなさそうだけど。


『あー、微妙だな。

 ただ、詳細鑑定で俺様の再現構築の能力が判明したからな。

 あの内容を加味すれば素材を貰うのも悪くない。』


イザヨイから夜輝金(ステライウム)は貰ったけど、それ以外の素材は手に入ってないもんな。

まぁ、ヴァゴスの能力を知るまでは俺達には必要ないって思って集めなかったし。

荷物は少ない方がいい。

エヴァ―ンみたいに影に収納できるってならまた別だけどさ。

さて、それじゃ≪永劫鉱(ノスフェラティウム)のインゴット≫か?


『それか≪永劫の死鎌ノスフェラ・デスサイス≫だな。

 お前の血を浴びてもあの鎌、傷一つなかっただろ?

 あの血の腐蝕性はかなり高いのにな。

 貰ったインゴットで実験がてら試したが夜輝金(ステライウム)でも溶かせたくらいだ。』


そんなことしてたのか。

勿体なくないか?


『どうせ俺様が構造を理解したら使い道無いだろ。

 オドさえあれば作れるようになるんだからよ。

 んで、魔導金属に対しても十分な腐蝕性を発揮するのにあの鎌は無傷だった。』


つまり特別な術式か永続術式付与トゥルー・エンチャントによる効果ってことか?


『あー、まぁその線もあるが…多分違う。

 あの鎌真っ黒だったろ?

 後は武器の名前的にあの鎌自体が永劫鉱製なんだろうよ。』


ああ、成程、そっちか。


『永劫鉱の特徴はとにかく重い事とあらゆる物に対する強力な耐性だ。

 魔力、熱、物理的な力……そして腐蝕にもな。

 ま、重すぎるのと稀少すぎるのとで一般的に市場には出回らないが。

 そんな訳でインゴットでもいいが恐らく永劫鉱を素材にしてるであろうあの鎌でもいいって訳だ。』


成程…でも逆に言うならインゴットでもよくないか?

鎌だとかさばるだろ?

インゴットなら最悪一個か欠片を持てば良い訳だし。


『それを言うなら鎌も最悪先端を砕けばいいだろ…。

 と言うかお前、永劫鉱舐めてるだろ。

 そんな簡単に欠片をっていうけどな、今の俺様達じゃ砕くことはおろか鎌の刃先を欠片にすることも出来ねぇよ…。

 ま、それはさておきお前の言いたいこともわかる。

 ただ、鎌だと他の素材も使われてそうだろ?

 複数種類の素材を得るって意味だと悪くないと思ってな。』


成程…。

因みに魔剣の方は?


『そっちでも別にいいっちゃいいんだけどな。

 永劫鉱が素材に使われているか不明だ。

 再現できるようになるなら最高硬度と不変性を誇る永劫鉱を手に入れておきたい。

 特に今後の戦いでも役に立つだろうしな。』


成程。

個人的にはエヴァ―ンの持ってたレフソクレイムと似た感じがする魔剣も気になったけど、そういう意図があるなら従おう。

ヴァゴスが俺の前足から身体けつえきを伸ばして鎌の箱に触れると此方も加護の箱と同様に独りでに開き始める。

中には死神の持っていた鎌が一振り入っていた。

ヴァゴスが取る気配がないので仕方なく魔領法で腕を伸ばす。


『おい、さっきも言ったが永劫鉱は色んなものにかなり高い耐性があるんだぜ。

 さっきの戦いでお前の魔領法が斬られたのも付与の効果じゃなくて素材の問題だ。

 くれぐれも刃の部分に触れるなよ。』


あー、永劫鉱の部分は魔領法の腕だと無効化されて掴めないのか。

ただでさえ少ないオドを散らすとこだ。

オドはほぼ空だけど目の前のこの距離ならぎりぎり届かせる位はできる。

改めて黒くない柄の部位へと手を伸ばして掴み取る。

って、重っ!

いや、重いわ。


『重いって言ったろ。』


いや、聞いてたけど……。

それでも思ってた数倍は重いな。

と言うか死神はこんな鎌をあんな平然と振り回してたのか。

ズッパズッパ斬られてたからあんまり実感なかったけど、俺に対しては斬るより柄の方で殴ったほうが効果あったんじゃないか?


『ま、それだけ吸血鬼は馬鹿力なんだよ。

 重いがこの程度なら身体に締まって動けるだろ。

 お前の移動速度は若干落ちそうだが…。

 まぁ、研究が終わったら勿体ないが捨てていくか。』


本当に勿体ないな。


『後は戦いになったら一旦脇に置くしかないな。

 俺様もお前も鎌なんて特殊な武器で戦う技術はないしな。』


ヴァゴスがそう言って俺の背中辺りに鎌を固定する。

因みに今のヴァゴスは先の戦闘で身体けつえきをほぼ使い果たして、俺の体を覆う程の量が足りてないから久しぶりに自分の身体が剝き出しだ。

太陽光が降り注いでる訳じゃないから別にいいけどね。

ただ最近はずっと覆われてたからなんか落ち着かない。

まぁ、覆ってもらおうにもその分のヴァゴスの身体を作るオドが無いから仕方ないね。


「……終わったみたいね。」


そんなこんなで報酬を選んでいると後ろから声をかけられた。

俺とヴァゴス両方の報酬を取り終わった時点で扉が解放されたのかイザヨイが入ってきたみたいだな。

ああ、と返事をしようとしたが声が出ずに喉が無い事に気が付く。

ので、仕方なく頷くに留める。


「なんとかな。」


と思ったらヴァゴスがほぼ空のオドの残りを使い果たして声を紡ぎだした。

ま、もう他にオドでやることもないし良いけど。


「それじゃ、先に進みましょうか。

 その先の扉を潜ったら目的地よ。

 …と言っても貴方達はそこから地上まで戻らないといけないけど。」


まぁ、そうだな。

しかもこの後は俺達だけで進まないといけない。

その前にしばらく休んでオドを回復しないといけないけど。

流石にこのままオドなしで進むにはリスクが高すぎる。

俺もヴァゴスも魔術は十分に使えないとは言え、戦闘能力の大半にオドを消費するからな。

いつもと同様にそのまま俺たちの先に進むイザヨイとアカツキの後ろへ続こうと前足を動かす。

と同時に一歩踏み出した先でグラリと身体が揺れて傾いた。


ぐ、なんだ?

既視感のある眠気に近い感覚が全身を襲う。

そのままその感覚が徐々に頭に上ってくる。

く、視界が霞む。

体を正そうとするが思うように動かない…どころかそのまま足から崩れ落ちる感覚。


『ーー!ーーーーー。』


ヴァゴスが何かを言ってくる気がするが聞こえない。

身体が動かない。

クソ…これ何だ?


……あぁ、そうだ。

これは個体進化の時の…。

まぁ、前回までと違ってヴァゴスもいるしそこまで心配はないか…。

過去に経験した内容を思い出すと同時に俺の意識が完全に途絶えた。


いつもお読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ