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美の王太子ってすごい。


絶対に立太子で王族席に私を座らせたい、愛が超絶重い系ベル様 VS 絶対に自分がエスコートして、貴族用の家族席に一緒に座りたいシスコンアンディ………



ファイッッ!!!!!



という状況が前日の夜まで続いていた。実際に婚約者ではあるけれども、発表するのは立太子の後の王宮で開かれるパーティでの事だからと、アンディがその前の立太子で自分が私をエスコートして、家族席に座るんだという主張を一切曲げないのだ。それにベル様も譲れるわけがないようで、話し合いは平行線のままだった。


ずっと私はベル様の膝の上におり、アンディはいつものように左側に座って手を握っていてくれる。きっとこうやって威勢よくベル様に反論していても、内心は怯えているのかもしれないと思って、おててを撫で撫でしたのだった。そうして姉弟でニッコリ見つめ合うと、不機嫌になったベル様に耳を噛まれるという悪循環が生まれてもいた。やめろったら!!!



「えーっと、私としてもまだ発表されたわけじゃないし、アンディと家族席から素晴らしいベル様を見ていたいです。ダメですかね……?」



首を動かして噛むのをやめろ!!と目で訴えながらも、どうにか本心を伝えた。実は何度もこうして言おうとしていたんだけど、その度に何かを察したベル様に阻止されていたのである。しかしてそれでは終わらない!!もうごはんも食べたし、デザートもいただいたし、あとはお風呂に入って歯を磨いて寝るだけだというのに!!眠いんだ私は!!!明日の準備は、特に夜のパーティの支度が物凄く時間がかかるし体力を使うから早く寝たいのにぃぃ!!!左隣でパッと明るい雰囲気を察したけれども、ベル様が瞬時に魔王になったのも同時に理解した。えええ?!



「……俺のサラは悪い子だねえ?そんな悲しい事を言うなんて。確かに発表自体はまだだけど、いつも一緒にいるし膝の上に座っているだろう?確定だと貴族達も分かっているはずだ。だから既に王族席にいたとしても何も問題は無いんだよ?」



うっわぁ……!!!その海に沈んだ夕日色の目をやめてほしい!!!だって怖すぎるでしょうよ……。まあ確かに、ベル様のその言い分もわるんだけどさあ、けれどもまだ発表してないでしょうが!っていう揚げ足を取る人もいるわけで。だから恐怖でプルりながらもその旨を伝えると、アンディがギュッと手を強く握って応援してくれた。ああ本当に天使!!!なんて優しくていい子なんだろうか!!!お姉ちゃんは鼻が高いなあ!!しかしてベル様(魔王)はムッとしている。



「……サラは本当に優しいなあ。そこまで俺の事を思ってくれているなんて。……悔しいけど、立太子だけはアンディに任せるしかないかもしれないな。その代わり、金輪際は許さないからね?」



最後の恐ろしい目をした問いは、否定なんて微塵も許さないという空気だったけれども、それでも必死に首を縦に動かして微笑んだ。絶対に引きつっていたと思うけど、ベル様が途端に満足そうに破顔したから問題ないだろう。もちろんアンディはムッとしていたけど、明日のエスコートが出来ると、大喜びしてギュッとしてくれたのでめちゃくちゃ嬉しかった!!はあ、なんて癒しなんだろうか!!!


そしてまた2人が大喧嘩を始めかけたけれども、「そろそろお嬢様を寝かせろっ!!!」と怒鳴り込んできた真の勇者、ヤナによって無事に救出されたのだった。やっぱり私の専属侍女さんは出来た人だ!!!お風呂も寝支度も整えてもらったし、歯も磨いたから今日は一緒に寝ようね!!とニコニコしながら、一緒にクソデカファンシーベッドで寝たのである。ぽよぽよおっぱいの安眠力はすごい。


どうにか起床して支度すると、即ベル様が拉致しに来たので膝の上に座る。寝不足のため未だにボンヤリしている私に、せっせと朝ごはんを食べさせてくれた。本人はとんでもなく幸せそうだら私も何も言わないけれども、この人これから王太子になるんだと思うとちょっと気が引けた。絶対に怒られるから言わないけどね!!!


予定がギッチリ詰まっているという事で、それぞれ早々に引き剥がされたわけだけども、ベル様は本当にギリギリまで私を抱いてスンスンスリスリギュッギュにちゅっちゅを繰り返し、キレたヤナにベリッと剥がされるまで甘え倒していたのである。あれこの人、本当に王太子になるんですよね……?ゆくゆくはこの国の王になる???まあ深く考えないようにしよう。実際、ベル様の魔力はこの世界で1番なんだから……!!


急いで歯を磨いてパパッと顔を洗ったら、ヤナが全身のお肌のケアをしてくれる。そして一旦バスローブを羽織って鏡台の前に座り、いつもの神テクでお化粧と髪を整えてもらった。やっぱすげーー!!美少女レベルが一気に10は上がったね!!出来る専属侍女さんは素晴らしいなあ。とニコニコしている私に、ヤナも嬉しそうでもっと微笑んだのである。


そうして素早くベル様が用意してくれた深紅のドレスは、控えめながら粉団にあしらわれた夕日色のレースが、グラデーションのように重なっていてフワフワしている。装飾品はもちろんオニキス…が良かったらしいけれども、さすがに深紅に濃い黒は強くなりすぎるという理由からブラックダイヤモンドで揃えてくれた。


私達が並んで公の場に出るわけじゃないから、私の瞳の色で作ったとか言っていたのに、思いっきり自分色じゃねえかよ!!!むしろ絶対に逃がさないからという意思が込められている感じがして怖い怖い!!!ここまで来て逃げないわ……。と鏡の前でヤナと一緒に微妙な顔をしていたんだけど、アンディが迎えに来てくれたという連絡を受けたので、部屋に入ってもらった。


そしてガチョッと開いた、彼が念願だった私の部屋のドアの前で。一歩足を踏み入れたアンディは、私を見てガチンッと固まったのである。そして私も固まった。だってアンディ、美しいんだもん!!!いつものシルバーのジュストコートに深紅の装飾品という服装も然ることながら、ハーフアップにまとめたサラッサラの髪が輝いている。普段は一つにまとめているけれど、こういう式ではハーフアップにしているお陰で魅力が5倍になっている……!!


ヒェッ!!あっぶねーーー!!!本当にアンディが弟でよかった!!そうじゃなかったら骨折してた!!私の心がボッキボキに折れて、再起不能なまでにアンディに堕ちていただろうな!!!ああ良かった、私お姉ちゃんで!!!そうやって見とれていたんだけれども。



「……サラ、俺のサラ。綺麗だよ、本当に。ああ、エスコート出来るなんて夢みたいだ!!殿下の嫁になんてならないで、一生俺のそばにいる事にしよう?」



うっとりと頬を染めながら、シスコンアンディに熱心に口説かれた。うーん、悪くない!!いやむしろいいかもなあ。だっていつもアディがそばにいてくれるんでしょ?!2人で魔道具の開発とかしちゃってさあ!!楽しいしかないじゃんね?!とちょっと本気でそう思ってしまった。



「……やっぱりお前は油断も隙も無いなあ。俺が先にサラを見ると言っていただろうが。」



グエッ!と声が出てしまいそうな程に強く後ろから抱きしめられた。もちろん美の化身である魔王に!!きゃーー美しい!!!目が潰れる!!眩しくて目が、目がぁぁあああ……!!!


そして服装がほとんどアンディと被ってるのが毎回うけるよね。どうしてこの2人はどっちも譲らないんだろうか!!今日は自分自身が主役なんだから、私の色以外にすればいいのに!!と思っても、彼はそこだけは譲らないと言って作らせていた。毎度同じ色で作らされる職人さんも大変だなあ。



「んーーー、俺のサラはかわいいし良い匂いだし、ギュッとしてて本当に心が安らぐね。あーあ、こんなくだらない式なんてさっさと終わらせて、早く発表したいよ。」



スンスンしながら控えめにスリスリしているベル様が、呟くように耳元で囁いたのでビクッとした。くすぐったいったら!!!そして案の定アンディと喧嘩になったけど、もう立太子が始まるという理由で落ち着いた。


猛烈に悔しがりながら転移していったベル様を見送ると、完全勝利という顔をしているアンディにエスコートしてもらって会場に着いた。既に両親は座っていて、にこやかに迎えてくれたのでまたしても胸が熱くなったけれども、本当にもう始まるというので大人しく座ったのだった。いつもは左にいるアンディが、今日は右にいるのでちょっとドキドキするけれども、安心させるように手をギュッと握ってくれているので大丈夫だろう。もちろん恋人繋ぎだけどね!!!


とにかくそうやって待っていると、玉座に陛下と王妃様が転移して現れた。瞬時にこの場の全員が貴族の礼をとると、陛下は鷹揚に頷いて全員を座らせ、そしてお2人も座った。おお、なんと威厳のある素晴らしいご夫婦か……!!



「本日は、我が息子の立太子に集まってくれて大変感謝する。皆のお陰で、18歳を迎える事が出来た。学園も卒業し、これから本格的にこの国のために役立たんと、この日に立太子する運びとなった。ではベオウルフ、挨拶せよ。」



言い終わると同時に、ベル様がパッと陛下と王妃様の間に現れた。そうしてまずはお2人に、美しすぎる貴族の礼をすると、すぐにこちら側を振り向いてグルッと見渡している。そして瞬時に私を見つけ、先程までのギッとした目付きが柔らかくなり、それを見たたくさんの感嘆の溜め息が聞こえてくる。うぅ……なんという攻撃力だ!!アンディがギュッと手に力を入れてくれなければ、だらしなくフヘヘッと笑っていたに違いない!!ありがとう弟よ!!お姉ちゃんも大好きだ!!と手を握り返したのだった。


そして再びとんでもなく冷たい顔に戻ると、いつまでも聴いていたくなるバリトンボイスを会場中に響かせる。いつものように魔法で声を大きくしているようで、やっぱりホイホイ使える王族っていいなー!!と思うなどしたのである。



「本日は、私のために集まってくれてありがとう。これから更に精進して、父上のように立派な王になれるよう努力を惜しまない。だからどうか力を貸して、支えていただきたいのだ。どうか宜しく頼む。」



そう言うと、ゆっくりとした動作で貴族の礼をした。ほわっ!!なんて美しい!!!美の暴力が痛くて目が潰れそうよ!!きっとこう思っているのは私だけではない。だってこの場にいる誰しもが、完全に見とれて釘付けになっているのが分かる。抗いようがない程に美しいもんね!!!


そして同じ速度で顔を上げると、彼は私をしっかりと見つめて微笑んだのである。それはもうキラキラと、惜しげも無く、美の暴力を!!



「ゔっっっ!!!!」



という呻き声を上げて、途端に左手で胸を押さえて俯くと、アンディが右手で私の頬を撫でながら「サラ、大丈夫?俺がいるからね。」と言って落ち着かせてくれたのだった。あっぶねえ!!!息が止まって死ぬとこだった!!あとやっぱアンディが弟で本当に良かったよ!!私は一体何回これを思うんだろうね?!と考えつつ、安心させるためにニコッと微笑んだ。すると頬を染めて、そのまま右頬に口付けたのである。うわああ……!!シスコン極めるとスキンシップレベルも上がるんですねえ?!と驚いていたけれども。


ブワッ!!と会場が一気に極寒になったようだ。私はチョーカーのお陰でなんともないが、両親や周りの貴族達が大変寒そうにしている。大慌てでベル様を見ると、スコンッと表情の抜けた顔で私達を、あの海に沈んだ暗い夕日色の瞳で見ていた。いっや怖い怖い!!


どうしよう!!とオロオロしていた時、王妃様がベル様に指示を出して魔力放出を止めさせた。ようやく会場が暖かくなり、ほっとしたけれどもやっぱり王妃様ってすげー……!!私もいつかああなれるのだろうか……。いや無理だろうな、私だし!!


隣で幸せそうに指を絡めて繋いだまま、嬉しそうにアンディがクスクスと笑っている。その声を聴きながら、ベル様が陛下の前に片膝を付いてそこに片腕を乗せ、頭を垂れたのを見ていると、すぐに高々と王冠を掲げた陛下が、ベル様の頭に輝かしいそれを被せたのである。ああなんて美しい!!!


王冠を被せてもらって立ち上がったベル様に、今度は赤いマントが着せられた。そして一度お2人に深く貴族の礼をしてから、クルッとこちらに振り向いた姿は、やっぱり美の暴力でしかなかった。もう、本当にどこまで殴りつければ気が済むんだろうか?!そんなド派手な格好が似合うなんて……!!見とれてしまってポッと頬がバラ色になるが、それに気付いたらしい ベル様も嬉しそうに微笑んでくれた。いやだからさあ!!容易に笑うなって!!死人が出るぜ?!?!


案の定、数人の女性が悲鳴を上げて気を失っているようだ。でしょうね?!だって美の暴力が痛いもん!!!それなのに笑顔なんて振りまかれたら、こっちのHPは呆気なくゼロになるもんね!!私は日頃から美の暴力を受けていた事と、アンディが手を繋いでくれているという安心感から、どうにか気絶しないで済んだのだった。あっぶねえ……。


最後には主に女性陣の気絶者が複数人出たが、それ以外は恙無く立太子を終えたのである。両陛下とベル様が退室される前に、「今夜のパーティも、どうかよしなに。」と言ってから3人で転移していかれた。もちろんベル様が意味深に私を見つめてきたから、私もニコッとしておいたのだけれども、消える間際に真顔だった事がめちゃくちゃ怖かった。


そうして両親と一旦別れ、アンディにエスコートしてもらって戻った私室には、ブチ切れたヤナと全く何も気にしていない様子のベル様がいて、そこにアンディも加わって大賑わいの大喧嘩になったのである。えええ……。これからパーティのための支度をしないといけないんですけどねえ……??とオロオロしつつも思っていると、エルヴィスさんが入ってきてサッと鎮てくれたのである。



「恐れながら殿下。この世の誰よりも美しく、ロバーツ伯爵令嬢を着飾らせなくてよろしいのですか?」



口元に義務的な微笑みを浮かべながら、彼がそう言った途端。それぞれがガチンッと固まって数秒後、全員が素早く動き出した。アンディは「後でね、ずっと俺のサラだよ?」と言いながら頬にちゅっちゅして去り、それに大激怒したベル様が、「消毒だよ、汚いねえ?サラは俺のなのに、あいつやっぱり近接禁止令出そうかな。」と呟きながらゴシゴシとハンカチで頬を拭いている。痛いんですけど?!と目で訴えたのに、うっとりした顔をした彼に熱烈に口付けられて何も言えなくなった。ヤナとエルヴィスさんが見てるでしょうが!!まったくもう!!しかして大変満足そうにしつつも離れたくないと言いながら退室して行った。ああ、嵐が去った……。



「まったく!!さあお嬢様、既にこの世の誰よりも美しいですが、更に磨きをかけて天上界でも誰も勝てない程に、美しく仕上げましょう!!」



と言う大張り切りのヤナに連れられ、軽く湯浴みをしてから保湿してもらった。それからいつもの流れで準備をすると、先程よりも手を込めてお化粧と髪を整えてくれたのである。はああ、やっぱヤナの神テクってすげー……!!!


パーティのためだけに用意されたという、ベル様から贈られたドレスはというと。



「……うっわぁ…。ドン引きするぐらい、相変わらずへんt……殿下の独占欲丸出しですねえ。」



また変態と言いかけていてちょっと笑った。だってこれは確かにすごい。先程までのもこれまでのもそうだけど、やっぱり夕日色のそれは、どんなドレスよりも美しかった。こ、これを着るのか……。ヤナの神テクで美少女レベル18倍にしてもらってて良かったぁ……!!と思いながらも、出来る専属侍女さんにせっせと着せてもらって装飾品も着けた。


チョーカーは相変わらずだけど、ピアスも髪飾りも少し低めのヒールの飾りも、全部全部オニキスでめっちゃ怖い。こんなに囲わなくてもいいと思うんですけどね……。婚約者だって見せびらかしたいのは分からないでもないけど、ここまでしなくたって!!と思いつつも、鏡に映った全身ベル様色の自分自身に、なんだか嬉しく思う私はやっぱりもう遅い。


さあ、私も遂に腹を括って、ベル様に気持を伝えないとね。と微笑みがなら、未だに微妙な顔をしているヤナと一緒に、ベル様の到着を待ったのだった。


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