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召喚獣魔闘大会①

「召喚獣魔闘大会ですか?」


「おうよ!」


王都で開かれる召喚獣を戦わせる魔闘大会なるものが開かれると言われた。


この街の中等部からも出場者を募るという話が舞い込んできた。


「俺のブリューナクも出場者にどうかと誘われたぜ」


すでに肩に乗らない程大きくなったドラゴン、ブルングのブリューナクが出場者候補として誘われているらしい。


「アンロッドも出ないか?」


中等部の出場枠は少なく学校から2名しかない。


2年生となったアンロッド達では来ない話だったのだが、ドラゴンをパートナーとして持つブルングにもそのチャンスがやってきた。


学校内で行われる予選で3年生と声のかかった2年が混じって出場者を決める事となった。


それにアンロッドも出ないかと誘うブルング。


「私は」


チラッと俺を見るアンロッド。


「好きにすると良い」


・・・


「始め」


教師の審判の元、俺はワイルドドッグと対峙していた。


グルルルッ


俺と言う存在を前にして唸るワイルドドッグ。


「行け!」


ワイルドドッグの心境を無視して命令をする相手の3年生。


グルゥウアア


主人の命令に従い飛び掛かってくるワイルドドッグ。


「ブラッドハンド」


ブワッ


両肩から2本の黒い腕が生え、飛び掛かってくるワイルドドッグを迎え撃つ。


「恨むなら主人を恨め」


キャウウゥンッ


連撃にワイルドドッグは吹き飛び地面でピクピクと痙攣をする。


「ブランシュ!」


3年生はワイルドドッグのブランシュへと駆け寄る。


「勝者、アンロッド」


勝利宣言を受けてアンロッドは順調に勝ち越した。


「へへっ、決勝戦はお前だと思っていたぜ」


この学院始まって以来の2年生が決勝戦へと勝ち登ってきた。


勝っても負けても本戦には出場できると確約されたうえで学園一位を決める瞬間だった。


「行け、ブリューナク」


ブルングの命令に10mを超えるブリューナクが襲い掛かってくる。


ガッ


突進の勢いを合わせて数十トンという衝撃をブラッドハンドで受け止める。


グルルルッ


牙を掴まれた状態で身動きが出来ないブリューナク。


「ブレスだ」


ガバッ


喉奥から炎の煌めきが瞬く。


ゴォオオオオッ


灼熱のブレスが広範囲にまき散らされる。


バサッ


翼を出して空中へと回避する。


「ブリューナク!」


バサバサッ


ブリューナクもまた空を飛び俺と同じ高度へと上がってくる。


ボッボッボッ


単発式の火炎弾が放たれる。


「天竜牙」


ヒィイインッ


ドォンッ


輝く天竜牙を振るい全弾切り裂き接近をする。


グルァアッ


俺の接近合わせて体を捩じり、長い尻尾に遠心力を乗せた攻撃が迫る。


ガキィンッ


突進より数十倍の威力が天竜牙に入るがヒビ一つ発生しない。


ガシッ


ブラッドハンドで尻尾を掴む。


グルングルンッ


そのままスイングして地面に叩き落とす。


グアアアッ


武技アーツ:天竜波」


キィイイイインッ


両手を合わせて、竜の顎を形作る。


俺に流れているもう一つの血を目覚めさせる事で使えるスキル。


ドラゴンのブレスを模した一点集中型の波動。


ドバアアッ


極太の光線がブリューナクを薙ぐ。


ギャァアアアアアアアッ


大絶叫が周囲へと響く。


「流石、蒼竜王の息子だな。アレを耐えるか」


現竜魔王の孫に当たるブリューナクが俺の天竜波を喰らって生き残っていた。


蒼竜王とは紅竜姫エリンの兄である。


「降参だ! 俺達の負けでいい!!」


ブルングの降参を受けて勝敗が決した。


ダイダロス召喚魔法学院から2名の代表者が選ばれた。


年に一度に行われる高等部、中等部による召喚獣による召喚獣魔闘大会出場者達が王都へと集められる事となる。


中等部優勝者には高等部への進学権利に加えて奨学金が与えられるという話だった。


平民上がりのアンロッドにとっては有難い話だろう。


「なるほど、そういう事か」


500年程前から魔大陸で頻発し始めた神隠し現象について納得いく答えが出た。


魔大陸側から召喚魔法にて召喚獣としてモンスター達が召喚されていた事に・・・その中には魔族も混じっていたが行方不明中の記憶は無く確証は得られなかった。


「時期的にもあっているしな」


召喚魔法の歴史は500年程前にも遡りダイダロスという国はそれで発展していった。


召喚魔法を使うだけならば一般人でも使える魔法で国全体に浸透している。


ただし、召喚者のコントロールが外れた時のリスクを考えて魔力量がある者には学院に通わせて制御訓練を施す必要性がある。


独学だけではコントロールできる所か召喚獣に殺されかねないとされている。


主を失ったモンスターは周囲への脅威へと発展する。


「魔王を呼び寄せる力か」


目の前で寝息を立てているアンロッドにその様な力があるとは思えない。


「本人の了承が無い内はな」


血を飲めば分かるだろうがアンロッドからの了承が無いうちは諦めている。


「頑張ってくださいっす」


「応援しているですぜ」


「アンロッドさんも」


代表者に選ばれたアンロッドとブルングは学院の所有する馬車に乗り王都へと目指す。


「へへへっ、荷物と女を置いて行きな」


とある山道を通っている時に山賊20人と遭遇した。


「ブリューナク!」


召喚陣で呼び寄せたブリューナクが大空を羽ばたく。


グォオオオオオオ!


「ド、ドラゴンんだぁ!」


「いけ、ハーピィ」


山賊達も召喚獣で応戦するもブリューナクの前では無意味に等しかった。


「けっ、おととい来やがれってんだ」


「流石ですね」


「おうよ!」


御者に褒められていい気分に浸るブルング。


それから幾つかのトラブルに見舞われたが王都へと到着を果たす。


「それではアッシはこれで」


1週間程、共にした御者が学院へと引き返していった。


「ここが王都か!」


完全なお上りさん丸出しのブルング。


ガッ


「痛っ!」


ブルングが何者かとぶつかった。


タタタタタッ


小柄なわりには凄いスピードで人々の間を通り過ぎていく。


「ブルング、荷物」


アンロッドが呟きブルングが青ざめる。


あの中には着替え等の荷物の他に出場者を示す証が入っているのだから。


「俺のぉおおお!」


ブルングも追いかけ始めるが差が開くばかり。


「アリア、頼める?」


「仕方ないな」


バッ


一瞬にして近くの屋根へと登る。


スタタタタタッ


屋根上であれば通行人を気にせず進める。


「なんだ、アレは」


ブルングの荷物を抱えたまま小柄な影は路地裏へと入る。


ババッ


跳躍力だけで反対側の屋根へと飛び移り、路地裏へ入っていった影を追う。


バッ


ヒュォッ


ある程度距離を詰めて、飛び降りる。


「うわぁあ!」


ダンッ


人影に覆いかぶさるように捉える。


「なんなんだよ! アンタ」


「さぁな。それより奪った荷物を返せ」


「ペッ、誰が返すか」


吐き出されたツバが頬に掛かる。


「純潔の香り」


唾液から目の前の子供が少女であることは明白。


「なっ、なんなんだよ!」


口は汚いが男の子の格好をして性別を偽っている。


「犯罪を犯すなら、される覚悟があるんだろう」


「ひぃ」


バコンッ!


後頭部に衝撃が走る。


「アリア、お前がなんで犯罪者になってるんだよ」


全速力で追いかけて来たのかブルングが息を切らしている。


「コイツはお前の荷物を奪った。俺が捕まえた、罰する権利は俺が貰っている。違うか?」


「だからって」


「同情か? お前も少しは切り捨てる覚悟をしろ。助けるならば面倒を最後まで見れるという覚悟をな」


「うっ・・・」


「お前は優しすぎる。ここでは己自身だけしか守れないんだぞ」


故郷である街ではない場所に入ってきた少年に出来る事は少ない。


「俺にはブリューナクがいる」


「こんな街中で出すつもりか?」


「うっ!」


「人型である俺に命令したアンロッドを見習え」


大型と化したドラゴンのブリューナクでは捕まえるどころか民家を壊しかねない。


「そろそろ放せ! ババア!」


「ほぅ」


「おい、それは言ったらダメだ」


顔を青くするブルングを他所に


ゴチィンッ


「いてぇえ」


ゴロゴロ転がる少女。


「お前には来てもらう」


ガシッ


少女を捕まえて屋根へと上がる。


「荷物を持って、さっきの場所に戻ってこい」


「また、走るのかよ」


俺は喚く少女を拘束してアンロッドの元へと戻る。


「荷物は?」


「ブルングが持ってくる」


「で、人さらい?」


「人聞きが悪いな。これは仕置きだ」


「放せ~」


腕の中で暴れる少女。


「どうするの?」


「街案内にする」


「なるほど」


「おい、勝手に話を進めんじゃねぇ。ババァ」


「そんなに死にたいか?」


ベロッ


「ひぃいい! 何すんだ気持ち悪いぞ、お前」


「アリアはヴァンパイアだからね」


「ヴァ、ヴァンパイアだと! なんで日中でも活動できてんだよ」


「これのお陰だな」


チャリッ


首から下がる金色のネックレス。


「それは!? 金貨数百枚する日避けの魔道具じゃねぇか!? くそ、貴族様かよ」


いや、魔王様だぞ。


「貴族様に逆らっちまったら仕方ねぇ・・・」


少女は脱力し始める。先ほどの勢いは何処かに行ってしまった。


「話は済んだか?」


ブルングも合流を果たして宿へと向かう。

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