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自分の出来る事

この森で気がついて1週間が経過した、残った1頭の狼は他の場所から群れを呼んできた。


十数頭になる群れだ・・・俺は必死に逃げ隠れしながら血魔法で1頭ずつ倒している。


生物ゆえに脳を破壊されれば死ぬのは当然。しかし外したら死に物狂いで俺に牙を向けてくる。


生後1年程度の赤子の俺も生き残る為に木の上で生活を余儀なくされた。


狼たちは木の上の俺に攻撃が届かせられないのが救いだ。


休憩しては、血魔法で仕留める。


狼たちも常に俺に張り付いてる訳ではなくボスに呼ばれて戻っていくようだ。


その隙に倒した狼から血を飲み失った血を補充する。


1週間はその繰り返しをして5頭ほどまで数を減らしていた。


だが、残った5頭は頭が良いのか迂闊に俺の近くまで寄らない。


グゥウ


ここ3日間は水も血も飲んでおらず空腹が続いている。


狼たちは俺が倒れるのを待っている様だ。


「せめて、水」


狼たちの奥に泉がある為、俺は近づけないでいた。


フッ


狼たちが何かを感じ取って俺とは違う方向を見た。


ブワッ


何か、見えない中が飛んできたと感じた。


俺がメイジだったから感じたのかもしれない。


ブシャッッ


狼たちの首が次々に飛び、地面を汚していった。


ザッザッザッ


ガサガサガサッ


茂みの奥から大人の人間が姿を現した。


「おっ、むっ!」


声を出そうとしたが、すぐに口を閉じた。


今の俺はハーフヴァンパイアだ。


ここがゲームの中の様な世界だったら人間と俺は敵対している可能性があった。


それに相手は4人組、ウチ2人は刃物を抜いている。


残りの2人は木で出来た杖と金属の錫杖を持っている。


服装から前衛2と後衛2といった感じだ。


『ノーブルウルフが5頭かよ』


『お金にはなりませんね』


俺の分からない言葉で前衛の2人が話す。


『気を付けて、ここに来るまで10頭の死体があった』


『群れを倒す者が近くにいる筈です』


後衛の2人がキョロキョロと周囲を警戒している。


たぶん、見えない刃を放ったのはこの2人のどちらかだ。


俺のブラッドアローよりも強力で不可視の魔法だったと思う。


俺は身を縮こませながら音を立てないようにじっとする。


『近くにはいないみたいね』


『さっさと、毛皮を持っていこうぜ』


人間達は手際よくノーブルウルフの毛皮をナイフで剥ぎって去っていった。


「ふぅ」


十分に離れたことを確認して俺は木からズルズルと降りる。


あの人間たちが来てくれたお陰で助かった。


あのまま膠着状態が続いていれば餓死は免れなかっただろう。


俺は皮を剥がされたノーブルウルフに近づいて3日ぶりの血を飲む。


【ノーブルウルフ(Lv5)の血を取り込み血魔法が強化されました。ブラッドソードを会得しました】


ノーブルウルフ(Lv5)か、どおりで強い訳だ。


レベル3差もあって絶体絶命の所を人間達のお陰で助かった。


感謝しかないな・・・


【予備血液(Lv1)を取得しました】


「予備血液って?」


【自身の持つ血液保有量の他に予備に血液を保管する空間が使えるようになります】


「つまり、血液パックって事だな。Lv1だとどの位だ?」


【約500mlです】


ブラッドアロー何回分だ?


いまいち血魔法で使用される血の消費量が分からない。


【ブラッドアローでの血は約200ml消費されます。現在2回が限界です】


2回撃っただけで400mlの消費に加えて予備血液で倍の4回に増えるのはいいな。


「ブラッドソードは?」


【500mlです】


ブッ


予備血液1回分かよ・・・


そもそも400ml失っただけで俺は死にかけるのか?


たしか人体の何分の一の血液を失うと死ぬと聞いたことがある。


【成人の人間は1.5Lの出血で失血死します】


導きの声は便利すぎだろ・・・


成人が1.5Lで死亡なら赤ん坊なら400mlが妥当なのかもしれない。


血魔法の乱発は自身の死に近づく事だと理解する。

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