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サバイバル

自身の体が赤ん坊だと認識してから3日間経過した。


グルルゥ


俺は木の上で震えている。


あの3頭の狼が下で唸り声を上げてウロウロしているからだ。


俺の匂いを嗅いできたのか中々離れていかない。


アォオオン


タッ


1時間も木の下で粘っていたが狼は去っていった。


ズルルッ


「危なかった」


木から降りて一息つく・・・もっと安全地帯を見つけないとな。


せめて野生肉食獣の居ない場所がいいな。


その為には森を抜け出すしかないと考えるが移動するのにもリスクがある。


水辺が無ければ生きていくのは難しい・・・この3日間は水だけでなんとか生きている。


だが、栄養の一つも取っていないため力は殆どでない。


キュゥウッ


遠くから甲高い声が聞こえてきた。


時間を掛けて聞こえてきた方角へと向かってみる。


グチャグチャッ


3頭の狼が白い塊に口を突っ込んで咀嚼している。


口の周りはベッタリと血が付いている。


俺は茂みからその様子を見ている。


タッ


あらかた食べて狼たちは去っていった。


ペタペタッ


茂みから出て狼たちが食べていた物は何なのか見に行く。


「うえっ」


多分小動物だった物だ・・・ウサギの様な頭部に一本角が生えている。


胴体の部分は食い荒らされて骨と皮が残っている。


ゴクリッ


血の匂いに俺は食欲が湧きたつのを覚える。


これまで腹が減ったとは感じなかったのにだ。


「んぁ」


狼たちが口にした部分ではなく、奇麗な太ももの部分へと牙を付ける。


ブシュッ


小さな牙が毛皮や皮膚を突き破って肉へと到達する。


ゴクンッ


血が口に流れ喉を通る。


「うまっ!」


水なんかと比べられない程の旨味を感じた。


【他種族の血を取り込みました】


!!?


唐突に脳内に響く声に驚いて飲むのをやめてしまった。


【状態異常:腹痛が発生します】


「へ? 痛っ!!」


グギュルルウッ


腹部から痛みが現れた。


【血を接種したことによる腹痛です。耐性がなければ状態異常になります】


腹を押さえて泉へと帰る。


ハァハァハァッ


腹痛は6時間ほど続いて痛みが引いていった。


【血耐性(Lv1)を取得しました】


「血耐性ってふざけているな・・・」


Lv制なのかよ。ますますゲームみたいだ。


【ホーンラビットの血を獲得した事により血魔法が解放されます】


「血魔法?」


【血魔法とは自らの血を操る魔法です。乱発には注意】


「俺って何者だよ」


ブンッ


【ステータス】

 名前:なし

 種族:ハーフヴァンパイア(Lv2)

 職業:メイジ(Lv2)

 体力:59/59

 魔力:84/84

 血液:400ml

 攻撃力:15(+0)

 防御力:13(+0)


【装備】

 頭:なし

 体:なし

 腕:なし

 腰:麻のおむつ

 足:なし

右手:なし

右手:なし


【ギフト】

・導きの声(孤児限定)


【スキル】

・ブラッドアロー(血魔法)



「おわっ!」


急に視界に何かが写り込んだ。


「これ、俺の情報か?」


見たことのある文字列が目の前に並ぶ。


「このギフトってなんだ?」


【ギフトとは生物に送られる神からの贈り物です】


「導きの声ってお前の事か?」


【是】


「ブラッドアローとは?」


【自らの血を使った魔法です。乱発には注意】


「貧血になりそうだな」


【是】


「導きの声、便利だな」


俺の分からない事に答えてくれるのだから。


アォオンッ


「またか」


俺の匂いに感づいて狼たちが近づいてきた。


「待てよ? ブラッドアローが魔法なら使えるんじゃ」


【是】


導きの声が答えてくる。


「試してみるか」


ザッザッ


狼たちが湖の水を飲みに来る。


俺は木の上でジッとその時を待つ。


ピチャピチャッ


狼たちが水を飲み始める。


「ブラッドアロー」


ピピピッ


これは?


何かが抜ける感覚が手の方に発生して、皮膚を貫通してきた俺の血が矢の形を成す。


視界には小さな〇が浮かび上がった。


視界が動くと〇も一緒に動き常に中心を維持している。


ポインターの役割か?


「発射」


ヒュオッ


血の矢は一直線に飛ぶ。


ビッ


ギャッ


狼の1頭が短い悲鳴をあげて即死した。


【ノーブルウルフ(Lv3)を倒しました】


ノーブルウルフというのか。


【レベルアップします】


フワッ


格上を倒して俺のレベルが上昇したようだ。


ますます、ゲームの様だな。


グルルッ


血の匂いで俺の居場所が分かったのか残ったノーブルウルフが唸り声を上げる。


「ブラッドアロー!」


ヒュオッ


キャゥッ


2頭目のノーブルウルフが地に倒れる。


「一撃は強いな」


あれほど恐れていた狼が弱く感じる。


フラッ


唐突に視界がフラつく。


【一定量の血を使用しました。状態異常:貧血になりました。血魔法は使用できなくなりました】


「たった2発でか」


アォオンッ


残ったノーブルウルフは吠えて逃げていった。


ドサッ


俺も力が入らず木から落ちた。


「痛っ!」


受け身も取れず、ケガを負う。


ズリズリッ


俺は死んだノーブルウルフの死体に近づく。


ガブッ


ゴクリッ


「旨い!」


ホーンラビットに比べて旨い血を飲む。


【状態異常:腹痛になりました。血の摂取により貧血が回復しました。血魔法は使用可能です】


【血耐性(Lv2)になりました。状態異常:腹痛発生率が10%軽減されます】


【痛覚耐性(Lv1)が発生しました】


次々に導きの声から報告が上がってくる。


痛みのいくらかが抑えらえ、血による状態異常発生率が減っているようだ。


ゴクゴクゴクッ


クラッ


【血の過剰摂取により、状態異常:血液過多が発生。思考能力が低減されます】


どうやら血を過剰摂取してもいけないようだ。


アルコール酔いのようにフラフラとする思考のまま木によじ登る。


ケプッ


お腹が膨れて眠気が襲い掛かり眠る。

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