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身の振り方

「で、話の続きじゃ」


お茶を飲みながら先ほどの話を続けるハムート。


魔王としての威厳を保つ為に城が必要、だが魔大陸は8人の魔王で統括しており何処かの土地に城を建てる事は他者の魔王への宣戦布告と同義であると説明を受ける。


「ハムート殿、空座都市はどうだべか?」


「うむ。視野には入れておるのぉ」


「空座都市?」


「8人の魔王が統治していない中立都市じゃよ」


「そこで良いんじゃないですかぁ?」


「何かあるという事だな?」


「そこは多種多様な魔族達が住む場所じゃ。ワシ等が統治する土地よりもかなり狭いが統治するには悩ます種は絶えんからのぉ」


「王不在ゆえに治安は最悪だと言われているべ」


「王不在ですか?」


8つの土地に8人の魔王、9つ目は誰も統治せずか。


「9人目の魔王が現れた時の為に作られた都市ともいえるかのぉ」


「それが俺か」


「あの場所ならば誰も文句は言わないべ」


「なんで他の魔族達はソコに君臨しなかったんですか?」


「良い質問じゃな。魔大陸を統治するのは魔王の役割と決まっておる。それ以外が統治してはいけないと魔王8カ条で定めたのじゃ」


「魔王8カ条?」


先ほど初めて聞いたワードだな。


「初代魔王達で決められた8つの決まり事じゃ」


【一つ、魔王が他の魔王領域に入る際に許可が必要】

【一つ、魔王同士での戦いは事前に打ち合わせをするべし】

【一つ、統治するのは魔王だけでするべし】

【一つ、継承魔王や覚醒魔王での差別は禁ずる】

【一つ、魔族繁栄に魔王はその責務を全うすべし】

【一つ、魔王を決める時は種族を問わない】

【一つ、魔王への忠誠は自由である】

【一つ、魔王は己が支配領域を護る義務がある】


「魔王による魔王のための魔王の政治法案じゃ」


「魔王になるには8つの座しかないべ」


「9つ目が増えたという訳か。空座都市とはそういう事か」


「うむ」


「ワテとしてはあの座に座って貰う方が良いべ。でなければ次は本気でやらねばならねぇべ」


低い声で脅すかのように言うモンドー。


「魔王は己が支配領域を護る義務」を全うする必要がある。


これは王としての心得なのかもしれない。


「新魔王の座が増えれば、魔大陸から魔王の座を奪いにくる輩が増えるじゃろう」


「魔王が決まっているの?」


「ワシ等が全員認めれば攻撃の手は収まるじゃろうが」


「今回の会議での出席率からして半分しか票が集まらないべな」


「もし空座都市の魔王になるならば相応の覚悟が必要じゃ。それかワシ等の誰かを倒し己が支配領域にするか? ワシとて容赦は出来ぬが」


ゴゴゴゴッ


貫禄からなのか重圧を感じる。


「魔王の座に座ったら、8カ条とやらを守らなければならないのか?」


コクリ


2人が頷く。


魔王になれば政治法案に縛られるのは確実・・・。


「なら9つ目を作り出せばいいのか」


「「9つ目?」」


「政治法案が可決されたのは初代魔王も8人居たから。なら9人目の為に法案を1つ加える権利はあるんじゃないか?」


俺の言葉に2人は黙る。


「ガーハッハッハッ」


「クハハハハッ!」


爆笑を始める2人。


「9人目の魔王が作り出す新たな法案じゃな」


「ここ数千年は8カ条が絶対だったべ。それを崩すだべか!」


「アリアよ。これは魔王と認められるよりも難しい事じゃぞ。無論ワシとて簡単に頷く事は出来んぞ」


「竜と不死は初代からいる魔王だべ。この2人が頷かなければ無理だべよ」


「まずは魔王と認められてからか」


「アリア様」


なんだ?


「面倒なら聖大陸で自由に暮らせばいいじゃないですか?」


「それは止した方がえぇぞ」


「覚醒魔王と言う事は勇者を倒してきたべ? つまり他の勇者が黙っていないべ?」


「向こうでは難しいか」


「魔大陸も面倒ですねぇ」


「これも魔王種が故の運命じゃ」


「聖大陸で魔王として暴れまわるか、魔大陸で魔王として君臨するかは自由だべ」


究極の二択だな・・・


「第三の選択! 魔大陸でも聖大陸でもない島で静かに暮らすというのはどうでしょ」


俺が求めているのは安寧としたスローライフだ。


「島だべか・・・無いことはないべが・・・止した方がえぇよ」


「うむ。あの島のモンスターは強いからのぉ」


「そんなに強いのか?」


「静かには暮らはせぬのぉ」


「常に活火山の轟音で煩いべな」


離島での生活は絶たれたようだ。


「暫く悩むとえぇぞ。生涯の事じゃからな」


「それまではワテの屋敷で寛ぐといいべ」


「世話になる」


「お世話になります」


俺とアキラは海神魔王モンドーの屋敷に世話になる事となった。

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