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魔王会議

この世界は2つの大陸で分かれている。


人間達が住まう聖大陸、魔族達が住まう魔大陸。


古来より大陸間での交易は殆どない。


聖大陸では人間至上主義者が多く魔大陸の魔族を嫌っている。


人間、魔族の均衡が整っており滅多な事では大陸間での戦争は起こらない。


その一つ魔大陸では8つの魔王が存在する。


【竜魔王】【狼魔王】【海神魔王】【豚魔王】【淫魔王】【空魔王】【不死魔王】【鬼魔王】


東の竜・西の海神・南の淫・北の不死が統治する。


その間を南東の狼・南西の豚・北西の空・北東の鬼が統治する。


その中央、どの種族でも行き来でき中立の自治をしている【空座都市】が存在している。


空座都市の中心に聳える城には竜・淫・空の三魔王が集まっていた。


本来なら全員を集める魔王達による会議予定であったが自由奔放な者や重大ではないと判断する魔王は来なかった。


「今日もぉ、全員揃わなかったわねぇ」


円卓にダラっとして豊満な胸を乗せてつまらなそうに言う淫魔王サキュリーナ。


「それはいつもの事」


鷲のような頭部を持つ鳥人が呆れて言う空魔王バードマン。


「重要事項とは伝えておったがのぉ」


今はサイズを変えて竜人の姿をしている竜魔王ハムート。


「で、新たな魔王ちゃんはこの子ぉ?」


円卓の中央に浮かぶ、水晶には今回の議題の人物が映し出された。


「ほぅ、これが聖大陸で大暴れした魔王か」


「うむ。数年前までは魔王に至るとは思わなかったがの」


映し出されていたのは30m程まで巨大化したアリアが空を飛び魔大陸へと海を横断している途中だ。


「種族はなんなの? 見た所ヴァンパイア?」


「半分は竜の血が流れておる。見た目はヴァンパイア寄りじゃがな。竜の角が生えておるわ」


「なら吸血魔王って所かしらぁ?」


「待て待て、魔王と認めるのか?」


「竜のお爺ちゃん、この子は魔王なんでしょぉ」


「紛れも無く魔王じゃ」


「9人目の魔王って事よね?」


「しかし、他の連中の意見も聞かずに魔王と認定するのか?」


「その為の会議でしょぉ、勝手に欠席している連中の意見を聞く必要性はあるのかしらぁ?」


「うぐっ」


サキュリーナの言う事は一理ある。


「まぁ、アリアが魔王として認めるのは後にして・・・やってくる事について話し合う場として集めたのじゃ」


「この場所からだと、海神とぶつかるな」


海を支配する魔王の領域へと入るコースであった。


「魔王8か条の一つ、魔王が他の魔王領域に入る際に許可が必要でしょ? 古臭いわよねぇ」


古来より魔王による魔王のための魔王の政治法案として8か条の決まり事がある。


魔王同士の争いごとが絶えなかった時代の魔王たちが決めた者だ。


「それを考えたのが竜のお爺ちゃんだよねぇ」


「うむ。ワシ等が争うのは終わりにする為に作りだしたものだ」


竜魔王は他の魔王達より長命で初代魔王達の1人としてここに座っている。もう1人が不死魔王ハーデスが居る。


「竜の、名づけしたならお前の配下ではないか?」


「魔王に至った時点でワシの傘下から外れておるよ」


「それで、どうするの? 海神と戦いになるわよぉ」


「魔王8か条の一つ、魔王同士での戦いは事前に打ち合わせをするべし」


魔王同士の戦いは規模が大きく戦いの場は限られている。


「うむ。今からじゃ間に合わないしのぉ」


中央に浮かぶ水晶は海神の領域に足を踏み入れようとしているアリアの姿が映し出されるばかり。


魔王8カ条が通用するのは魔大陸を統治する魔王たちのみ・・・新たな魔王が知る由もない。


「間に合ったとしても8カ条が邪魔してるわよぉ」


「見守るしかあるまいて」


「うむ」


新たな魔王が海神の魔王の領域に入るまで僅かであった。


・・・


バサッ


「アリア様、陸ですよ!」


肩に乗ったアキラが喜々の声を上げる。


聖大陸から飛び立って早1週間経過してようやく陸地が見えた。


聖大陸と魔大陸に向かうには広大な海を越えなければならなかった。


「むむっ、あそこに港町のようなものが」


遠目でも文化的建物が立ち並ぶ港町が見えた。


「あの場所におりましょう」


「しかしなぁ」


今の俺は体長30mだ・・・入れるのかと不安になる。


「キャァアア」


「魔王が攻めて来たぞぉ」


港町では沖合から飛んでくる体長30mは超える者を見て大騒ぎとなった。


巨人族(5m)よりも大きな存在こそが魔王として認識される一つの目安だった。


ザバァッ


「おぉ! クラーケンが」


海の巨大モンスタークラーケンが港町を護ろうと姿を現す。


大きさでいえば20mと巨大ではあるが魔王としての理性や知性は持ち合わせていない。


ボォオオ


その長い触腕を伸ばして空を飛ぶ魔王へ攻撃を開始する。


「ひいぇええ!」


「いきなりかよ」


海から現れたイカに似た巨大生物が数本の腕を伸ばしてくる。


ビシッ


吸盤が肌に張り付き引きはがせない。


ビシッビシッ


次々に腕が手や足に絡み取られる。


グググッ


上昇しようにも引き寄せる力が強い。


「ゴルァアアア!」


港町から怒声を発しながら走ってくる人物が現れた。


ムクムクムクッ


近づくにつれて体積を増やして俺と同体躯まで膨らませたセイウチに似た奴が突っ込んできた。


ドッ


俺の胸にタックルして海へと吹っ飛ばされる。


イカのモンスターはタイミングよく絡み取った腕を放す。


バシャァアンッ


「よぐも、オラの領域に無断に入っだでねぇか!」


セイウチの様な巨大モンスター、いや喋れているから魔族か?


「アリア様、大丈夫ですか?」


ザバァッ


「問題ない」


海に叩き込まれて海水を含んだ長い髪を後ろにかき上げる。


腰ほどまで海水の中に入り身動きがとり辛い。


スイイイイ


イカのモンスターが海中から再び絡みつこうと近づいてくる。


「猛血毒」


ブワァアッ


俺を中心に海水が紅く染まる。


「クラーゲン! 近づくでねぇ」


ピタッ


いち早く察知したセイウチの魔族はイカのモンスターを静止させる。


「見ねぇ顔だべ。ここが海神魔王の支配領域だと知っての侵入だべか」


「魔王の支配領域だと」


「ひぇええ、上陸して早々魔王とエンカウントですかぁ!」


「ワテは海神魔王モンドー。海を支配する魔王だべよ! アンタはワテの領域に無断で入ったべ。覚悟するべよ」


モンドーが睨みを効かせるが・・・セイウチに似た姿をしておりクリっとした可愛い目で睨まれても緊張感がなかった。


シュオッ


何処から取り出したのか三叉の鉾が現れた。


「待て。無断で入ってしまった事は」


「問答無用だべ。魔王8カ条の掟を破った魔王は何を言われても文句は言えないべよ」


魔王8カ条なんてなんだよ!


心で悪態をつく。


「ワテの武技アーツ:神速六連突き」


ブワッ


一瞬のうちに6回の攻撃が同時に放たれる。


「複数魔法、ブラッドハルバード」


6回の攻撃に6本のハルバードで迎え撃つ。


バキィンッ


一撃でハルバード達は砕かれた。


なんて固い物質で出来てるんだ。


「アダマンタイト製のトライデントだべよ。生半可な武器では勝てないべ」


「あっそう! 飛刃血」


ヒュォオッ


「無駄だべ」


ブヨォッ


「なっ」


ブヨブヨの腹に飛刃血が飲み込まれていった。


「ワテの防御の前では物理は半減だべ」


「物理は半分効くんじゃねぇか。ブラッドハンマー!」


ザバッ


海から出て急接近する。


「ゴブファア!」


モンドーの脇腹にハンマーを食い込ませて海へと吹っ飛ばす。


物理半減だけって其処まで飛んでいかなかった。


「海はワテの領域だべ。アバババババッ」


吹っ飛ばした先には猛血毒を撒いた海だった。


プカッ


毒、麻痺、睡眠の三連コンボが叩き込まれてモンドーが海に浮かぶ。


シュゥウウッ


体の体積が縮んでいった。


「モンドー様が倒れたぞ」


「ありえない!?」


港で様子を見ていた住民達が騒ぎだし陸地へ向かって避難を開始する。


「アリア様、不味いんじゃ?」


「非常にな」


・・・


「アッハハハハッ!」


「コレは意外であるな」


「本気を出していないとは言えモンドーを倒すか」


様子を見ていた魔王が三者三様の表情をする。


「まだ、縮小化も出来ない小娘が海神魔王を倒すなんて腹が痛いわぁ。これは何の冗談かしらぁ」


「ハムート殿、これは如何する」


「モンドーの許可なしに入る訳にはいかないしのぉ。様子見じゃな」


「9人目の魔王が現れるなんてねぇ」


「9人目であるな」


「9人目じゃな」


3人の視線が奥へと注がれる。


今だかつて座ったことの無い王座へと。

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