尋問
ぜぇ、ぜぇ・・・
「ここは?」
暗闇の中で目を覚ますアキラ。
「ライティング」
詠唱さえ出来れば魔法は使える。
「洞窟の中なのか?」
光源魔法を使って周囲の様子を伺う。
「目が覚めたか勇者」
「貴様は!?」
俺の姿を見て警戒をする。
「異界から召喚された勇者だな?」
「魔族が私に何の用だ?」
「異界の地について興味がある」
「くっ、殺せ」
「どこぞの女騎士のようなセリフを吐くな」
「私の体を好きに出来ても心はそうはいかないぞ」
「まぁ、何処まで耐えられるか試さして貰う」
ツツゥッ
「ヒッンゥ」
「くくっ、純潔の勇者も一興だな。見た目は男に扮しているなんてな」
「私は屈しないぞ!」
「さぁ、何処まで耐える? 夜は始まったばかりだ」
・・・
「アリア様、もっとくらはいぃい」
ちょっと調子に乗りすぎた・・・快楽を与えてやったらアキラが従順になりすぎたな。
目をハートに輝かせて俺に抱き着いてくる。
失った手足はクラムのコネを使って回復して貰った。
「アキラ、この言葉は知っているか?」
俺が目覚めてから最初から知っていた言語に切り替える。
「あれ? アリア様はなんで日本語ォ?」
トロンとした目で首を傾げるアキラ。
「ニホンゴというのか・・・」
前世と思わしき記憶、その数々はこの世界に似つかわしくない高い技術を有している文明が思い浮かぶ。
アキラ・サトウも記憶の中に居る人物たちの名前と似ていた。
「アリア様はぁ、転生しゃぁ?」
「転生者?」
「そうでふぅ、向こうで死んで魂がこっちに来た人の事ですよぉ。前世の記憶を持っているのが特徴でぇ」
アキラが知っている事を話し出した。
「それでぇ、勇者が如何とか言われちゃったんですよぉ」
話が脱線してアキラの身の上話が始まっていたが聞いておこう。
勇者というのは実在して、魔を払う存在だと説明がされた。
ただ、アキラはモンスターではなく人との戦争の駒として扱われた。
最初は人を殺すのも躊躇っていたが、心がだんだん慣れてしまった様だ。
「アリア様ぁの話も聞かせてくださぁい」
「楽しい事は無かったぞ」
「聞きたいんですぅ」
すっかり男口調も消え去って女の子になってしまったようだ。
「うぇええん! アリア様って赤ん坊ん頃からサバイバルしてたんですかぁ。酷いですぅ」
「つまらんだろう」
「そんな事ないですよぉ。アリア様の強さはソコから始まったんですねぇ」
「そろそろ、寝ろ」
「嫌ですぅ。わたひがへろぉ」
トサッ
アキラは不自然に眠りに入った。
「勇者の血か」
ンクッ
寝ているアキラの二の腕に牙を指して血を飲む。
【勇者の血を取り込みました。火属性魔法、土属性魔法、光属性魔法を取得しました。火耐性(Lv1)、水耐性(Lv1)、風耐性(Lv1)、土耐性(Lv1)、光耐性(Lv1)、闇耐性(Lv1)、時耐性(Lv1)、無耐性(Lv1)を取得しました。】
勇者の血を取り込めたことに驚き耐性系がすべて揃った。
【眷属化を取得しました】
「眷属化?」
【他者が望めば一段階下の種族に変異させた上で絶対服従させます】
つまり望む相手を仲間に出来るのか。
目の前には俺に堕ちた女勇者が一人・・・これも一興か。
翌日、目を覚ましたアキラに眷属になるかと聞いてみたら即答で帰ってきた。
「人間には戻れないぞ?」
「私はアリア様一筋です」
昨日よりは蕩けていないが俺を心酔しているようだ。
「眷属化をするぞ」
「はいっ」
グイッと首筋を差し出すアキラ。
「何をしている?」
「ヴァンパイアなんですよね。なら首筋かなって?」
「首筋だと跡が目立つだろうが」
「ア、アリア様ぁ!」
「腕を出せ」
カブッ
「痛っ、気持ちいい」
目がトロンとなり始めるアキラを他所にスキルが発動する。
「あっ、あぁああああ!」
アキラが牙を刺した腕を押さえて叫び悶える。
人間から種族ごと変異させるのだから痛みもあるだろう。
ゴロゴロとアキラは痛みに悶え苦しむ。
眷属化の試練は変異に耐えられるかだ。
勇者という光に対して闇の力が入るのは激痛が体中を巡っている事だろう。
それからアキラは3日3晩ほど呻き苦しみ悶えて過ごした。
4日目の朝になり目を覚ましたアキラの姿形が変わっていた。
黒髪のショートヘア少女は変わらないが肌の色が全体的に褐色に変わり、目が俺のように結膜は黒、瞳孔が紅、角膜が白だった。
背中にはコウモリの様な翼に尾てい骨辺りから尻尾が生えていた。
ドラゴンの要素が抜けた俺という感じだな。
「えへへぇ、これでアリア様と同じです」
「勇者としての力はどうだ?」
「うぅんと、全部なくなっちゃいました」
舌をチョコンと出して笑うアキラ。
ガバッ
「アリア様ぁ、まだ朝ですよぉ」
「この3日間我慢したんだ。食わせろ」
「いいですよ」
この日、塒から淫猥な声が聞こえてきたのは言うまでもない。
「アキラは何になったんだ?」
【ドラキュリーナという種族に変異しました】
「ドラキュリーナ?」
【処女がヴァンパイアの眷属に降るとなります。ステータスがこちらです】
ヴンッ
アキラのステータスが表示された。
【ステータス】
名前:アキラ
種族:ドラキュリーナ(Lv1)
職業:メイジ(Lv1)
体力:49/49
魔力:48/48
血液:900ml
攻撃力:13(+0)
防御力:8(+0)
【装備】
頭:なし
体:なし
腕:なし
腰:なし
足:なし
右手:なし
右手:なし
【ギフト】
・闇落ち
【アクティブスキル】
・ブラッドアロー
【パッシブスキル】
・予備血液(Lv1)
・光耐性(Lv10)
・水耐性(Lv5)
・銀耐性(Lv3)
弱いな・・・
「アキラ、お前は以前より弱くなっている」
「そうでしょう」
「分かっていたのか?」
「自分の体ですからね。また一から鍛え直しですか」
「そんなキャラだったか?」
「地はコッチですよ。男勇者を演じるのが結構大変でしたが」
「そうか・・・とりあえずホーンラビットでレベル上げだな」
「分かりました」
アキラは出て行ってレベル上げに走っていった。
美少女の眷属を手に入れて、平和をようやく手に入れた俺は満足に浸る。




