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後編 



はい。

皆様 悠里です。


あの後色々なことがありました。

そうですね、今までの事を整頓してみましょうか。


まずは、あの後いつの間にかまた最初の部屋と思われるところに戻ってきておりました。

そこで…

そこでようやくお互いに自己紹介です。


私の名前は言い難いらしく ユーリ と片言に伸ばして呼ばれるようになりました。

私も長い横文字の王様のお名前を覚えるのは大変で、ご遠慮したいと思っていたらなんとレオンと愛称で呼ぶことを許していただけました。


このお名前で呼ぶことが許されているのは私を含めてほんのわずかな人数しかいないんだそうです。

あとは、この場所が本当に異世界だと確信する内容を聞くことが出来ました。


何もかもが初めてのことで…

耳慣れない内容もありました。

でもなぜか私はもう取り乱すこともなく受け入れることができたのです。


それは今も私を背中から抱きしめるように包んでいるレオンという存在に私が惹かれているからではないでしょうか。


と、いうことで…私はあまり取り乱すこともなくこの状況を受け入れつつあったのです。

ふぅ、落ち着いて振り返ってみると以外にあっさりしてました。



そうそう。レオンの言っていた 妃 発言は有効だったようです。


「勝手に事を進めてしまった申し訳ない。 だが、ユーリ君を離したくなかった…」


そう真剣に告白された私は、承諾する旨を伝えてしまいました。

この先何があろうとも大丈夫。

そう思えるように諭されたからかもしれません。






 ※・※・※






教会の祝福の鐘が国中響き渡る。

王都で一番大きな教会。

その祭壇の前に私は立っています。


隣にいるのはもちろん心の通じ合った旦那様。



思い起こすとここまでの道のりが頭に思い浮かびます。

あっという間に時間は立つものですね。

この世界にきた時を昨日の事のように鮮明に思い出します。

















いえ。


本当に昨日なのですけどね…。



心が通じ合ったと思ったのが昨夜。

そして今、私は教会でレオンを夫とすることを誓約したところです。



夜を徹して行われた準備。


ドレスなどは決まりがあり代々の王妃に受け継がれたものを使用するようです。

代々受け継がれているものでしたのでサイズ直しくらいであまり時を必要とせず準備が整い、厳かな式典は粛々と進みました。


指輪の交換。


そして 誓いの口付では…



急な式典ということもあり身内・重臣のみが集まった会場の真ん中で、周りがあきれるくらいの熱愛ぶりを晒してしまいました。

あきれる視線は感じても、思いのほか侮蔑や敵意など反対意見がなかったことに驚きです。


そんなことに現実逃避しているとようやくゆっくりと私達の唇は離れていきました。

思いのほか深い口付に腰を抜かし、倒れそうになってしまった私の腰をしっかりと抱きしめる旦那様。

その嬉しそうな顔は忘れることはないと思います。


 ※・※・※


あれよあれよと時間は経つものです。

時間はすでに夕刻。


ここに来るまでに色々準備をしていただきました。

入念に入浴をして、香油でマッサージ。

お肌がピカピカです。


夫婦の寝室に通され心落ち着くようにと焚かれた香のなか私はゆっくりと寛いでその時を待ちます。


あっ 人が近付く気配がします。

この部屋に入ってこれるのはあと一人しかおりません。

期待と不安に胸が弾みます。


これからどんなことが起こるのか…

それは皆様のご想像にお任せします。

ですがこれだけは言わせてください。


翌朝、私は髪をなでる優しい気配を感じました。

目を開けてほほ笑む優しい笑顔を見ることができました。


明るい日差しに照らされ恥ずかしかった私。

そんな私を包む温もりと一緒に穏やかな時を過ごすことが出来たのです。

忙しいはずなのに側にいてくれる存在があることを嬉しく思いました。


 



私は、こんなに素敵な旦那様に出会えて幸せです。


いきなり投げ出されたと思った世界ですが、今までで一番幸せだと確信しています。

親不孝。

そうかもしれません。

それでも、この幸せを手放したくないと思うのです。


この幸せが偽りだなんてとても信じられません。

偽りの世界だと思わずに受け止められるのは現実に引きとめてくれる存在がいるから。

離れようとしても離れていかないよう捕まえていてくれる存在があるから。



そう。

だから、これは私に起きた現実なんだと思います。

起こるべくして起きたことなのだと思わずにいられません。


そして、これからも紡いでいく…

紡がれていくウソのような 本当の 私の物語。



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