↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【歴史if小説】元寇は、壇ノ浦の戦いで滅んだ平家の残党の陰謀だった  作者: 松本 俊介


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
19/20

第十九話「孤立の覇者」


**第十九話「孤立の覇者」**


**第一章:博多総督府の落日**


至元十二年(1275年)冬、博多。


関門海峡で元軍主力と幕府遠征軍が壊滅的な打撃を受けた報せは、博多に残る元軍総督府を底知れぬ恐怖で射貫いた。


総督のアタカイが動揺する間もなく、博多の館は漆黒の甲冑を纏った「丸に揚羽蝶」の軍勢に完全包囲されていた。平景明率いる平家水軍と、景明を真の覇者と仰ぐ九州の豪族たちである。


「景明……! 貴様、ハーンを裏切る気か!」


館の回廊に追い詰められたアタカイが刀を突きつける。景明は静かに歩み寄り、冷徹な一言を放った。


「裏切りではない。私は最初から、ハーンの傀儡になるつもりなど毛頭なかったのだ」


「おのれ……ハーンの大軍が黙っておらんぞ! 貴様らごとき亡霊、大都の本軍が攻め寄せれば一ひねりだ!」


「その本軍とやらが、この神風と激流の荒海を越えて再び辿り着けるか……試してみるがいい」


景明の合図とともに、平家の精鋭たちが一斉に討ち入った。元の総督府は一夜にして制圧され、博多港に翻っていた元の旗印は引き裂かれ、代わりに鮮烈な平家の「赤旗」が天高く掲げられた。


景明は博多の館の壇上に立ち、九州各地から集まった豪族や武士たちを前に、三種の神器を高く掲げて宣言した。


「鎌倉の源氏も、異国の蒙古も、もはやこの九州には存在せぬ! 本日よりこの地は、平家の正統なる血のもと、鎌倉からも大都からも独立した『九州平家王国』となる!」


割れんばかりの勝ち鬨が博多の街を揺らした。八十年の時を経て、平家の悲願である「西国の王国」がここに結実したのである。


**第二章:狂気の覇王たち**


しかし、この独立宣言は、東西の二人の覇者を真の「鬼」へと変貌させた。


長門で大打撃を受けながらも命拾いした鎌倉の執権・北条時宗は、血の滲む唇を噛み締め、鎌倉の地で不気味な執念を燃やしていた。


「平家の亡霊が九州に王国を創っただと……? 許さん。幕府の全財産、全御家人の命を賭してでも、奴らの存在をこの世から抹消する。……関東の全軍を再編せよ!」


時宗は自ら鎧を纏い、幕府の命運を賭けた最終決戦の準備に入った。


一方、大都の宮殿で総督府壊滅と景明の離反を知ったフビライ・ハーンは、激怒のあまり玉座の肘掛けを粉砕した。


「平家の鼠一匹に、このハーンが謀られただと……!?」


フビライは直ちに江南の南宋降伏軍(旧南宋水軍)を含む数十万の大艦隊——史実における「江南軍」をも上回る巨大な侵攻軍の編制を命じた。


「九州を灰に換えろ。平家の男も、その民も、一粒の砂に至るまで焼き尽くすのだ!」


東から迫る北条時宗の「怨念の追討軍」、西から押し寄せるフビライの「焦土と化す数十万の暴風」。


孤立無援の覇者となった景明と九州平家王国に、歴史上最大の決戦——「最終話」の刻が迫っていた。


---


**次回(第二十話・最終話)のご案内**


第二十話「赤き海の彼方へ」(最終話)

東からの幕府全軍、西からのクビライ数十万の大艦隊。二大勢力に挟まれた景明の最後の決断。三種の神器を抱き、平家の悲願を果たした景明が辿り着く「結末」とは——!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。