↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【歴史if小説】元寇は、壇ノ浦の戦いで滅んだ平家の残党の陰謀だった  作者: 松本 俊介


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
11/20

第十一話「シラス台地の防衛線」


**第十一話「シラス台地の防衛線」**


**第一章:南九州の壁**


至元十一年(1274年)十一月中旬。肥後を制圧した蒙古・平家連合軍は、薩摩(鹿児島)との国境に差し掛かっていた。


立ちふさがるのは、南九州に絶大な影響力を誇る島津氏の精鋭たちである。島津久経(しまづ ひさつね)率いる薩摩武士団は、博多や熊本での悲報を克明に分析し、元軍を迎撃するための絶対の防衛線を敷いていた。


「異国のてつはうも、集団の騎兵も、平地で戦えば勝ち目はない。我らの城は、この大地そのものだ!」


島津軍が陣を張ったのは、垂直に切り立った白き崖が連なる「シラス台地」と、複雑に入り組んだ深いシラス谷であった。


水を含めば脆く崩れ、乾燥すれば底なしの砂地となるこの地形は、重装甲の蒙古騎兵にとって致命的な罠となる。


「進軍!」


元軍の先鋒・蒙古騎兵隊が谷間へとなだれ込んだ。しかし、足場を取られて馬が立ち往生した瞬間、両脇の崖上から巨石と大木、そして容赦ない矢の雨が降り注いだ。


「ぐあああっ!」


悲鳴とともに混乱に陥る蒙古兵。さらに、火薬を詰めたてつはうを放とうとするも、湿った谷底の風と地形の影響で不発が相次ぎ、爆発の威力が崖の空洞に吸収されて殺傷力を失った。


**第二章:鬼神のごとき抵抗**


「かかれーっ!」


崖の上から、薩摩武士たちが野獣のような叫びをあげて飛び降りてきた。彼らが手にするのは、南九州特有の示現の太刀。一撃で兜ごと真っ二つにする凄絶な剣技の前に、陣形を乱された蒙古兵は次々と薙ぎ払われていく。


史実において勇猛果敢で知られる島津の軍勢は、地形の利を極限まで生かし、元軍に文永の役以来最大の損害を与えたのである。


後方の本陣でその惨状を凝視していた総司令官・忽敦(クドゥン)は、怒りで顔を歪めた。


「ええい、鬱陶しい土民どもめ! 全軍を谷へ投入し、力押しで踏みつぶせ!」


「待たれよ、将軍!」


制止に入ったのは景明であった。


「このシラスの山岳地帯で力押しをすれば、ハーンから預かった貴重な兵力を無駄にすり潰すだけです。敵の狙いは我らをこの難所に釘付けにし、兵糧を尽きさせること」


景明は手綱を強く握り直し、眼前に聳え立つ白い断崖を見上げた。


「陸の難所を攻める必要はありません。この地の弱点は、海にあります」


景明の視線は、シラス台地の向こう側——穏やかな波を湛える「錦江湾(鹿児島湾)」へと注がれていた。


「島津の根拠地である港を、海から叩く。陸の防衛線など、背後から突き崩せばよいのです」


---


**次回(第十二話)のご案内**


第十二話「三種の神器の光」

錦江湾からの海上接近。景明は自ら船の陣頭に立ち、壇ノ浦から持ち出した「三種の神器」を掲げる。島津配下の旧平家系将兵を揺さぶり、血を流さずに薩摩の防衛線を内部から切り崩す心理戦の極致!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。