鬼ごっこ
それから、入学式が始まった。
「はい、皆さん、入学おめでとう〜!この学園には個性豊かな人がたくさんいる。逆に普通の人がいない位だ」
「そうすると困ることもたくさんあるだろう。でもねそれすらも素晴らしく楽しいものとなるさ」
「てことで入学式なんてやってもしょうがないので、今からみんなの仲を深めるために、少しゲームをしましょう
か、なーに簡単なことさ、ただここにいる全員、約120人の1人でも僕にタッチすることができたら君たちの勝ち。私が1時間逃げ切ることができれば私の勝ち。簡単に言えば鬼ごっこさ! まぁ、120対1なんだから勝てるよね?それじゃあ用意、スタート!!」
「にっげろー!」
あいつが1番はしゃいでるな。
「イカシス!あいつなんかむかつくし本気で行くぞ!!」
「まあ、頑張れ」
そう言って葉蔵は、見にも見えないスピードでゼーンに近づき拳を振った。
だが、葉蔵が放った拳はゼーンにいとも簡単に避けられた。
放った拳が避けられたを見て葉蔵は一旦後ろに引いた。
「さすがに、そう簡単にはいかないか…」
そうして葉蔵が攻撃を仕掛けようとした時。
「おい!何抜け駆けしてんだよ!」
「あ?」
今、この場所には120人の生徒がいるのだ。別に葉蔵1人じゃない。
「おめーらもなんでさっきからなんで観察してるだけなんだよ!!」
「ゼーンさんから120人に課せられた試験なんだ。120人で完璧に遂行する」
ただの馬鹿じゃなさそうだ。あーしたい、こーしたい、だけでは無いようだな。
「おら、おめーら行くぞ!!」
その声につられ、何もしていなかった生徒たちも動き始めた。
こういうリーダーシップのある奴がいてくれるのは助かるな。
だが、意外と全員動くと思っていたが、そのままにとどまる奴もいるようだ。
「こんなしょうもないゲーム、誰がやるか!」
案の定、あまり乗り気では無いようだ。まぁそれは俺も同じだが。
生徒およそ100人以上が全員でゼーンを追いかけているのにゼーンは一向に捕まらない。
みんなただただ追いかけているわけじゃない。
魔法使い、頭を使い、追いかけているのだ。
だが、生徒達のスピードではゼーンの圧倒的なスピードについていけない。
「やばいな、はぁー、このままやっていても意味がねぇなぁ」
「とりあえず、休憩を兼ねて作戦会議だ。このままやっていても意味がねぇ。何よりこのゲームの、いや試験の目的はみんなで仲良くなることだとゼーンさんは言っていた」
それは正しい選択だろう。このままやっていても意味がないし、息切れしている生徒も多い。




