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「おやエルニカ、これから出掛けるのかい?」


ちょうど荷物を持って出掛けようとしたとき、階段から降りてきたお父様に声をかけられた。お父様は笑ってはいるが、私が手に持っているものを見て若干笑顔が引きつっているように見える。


「ええ、お父様!少し出かけてまいりますわ〜!」


「気をつけるんだぞ」


お父様に見送られ、私はいつもの場所へと向かう。



私はエルニカ・アルベンス。アルベンス伯爵家の長女であり、今年17歳です。伯爵令嬢とは言っても、アルベンス家はベスパニア王国の貴族の中でもトップクラスで貧乏なため、名ばかりの伯爵家です。お父様、お母様、そして2つ下の弟の4人家族です。


私エルニカが今向かっているのは王城近くにある少し大きな図書館です。ここには私が会いたい方がいます。


アルベンス家から馬車で20分、ようやく図書館につきました。この図書館は王宮図書館に比べれば蔵書数は少ないですが、あらゆる分野の本が揃っており、毎日たくさんの人が訪れます。


図書館に着いて、私が目指すのは少し奥まった場所にある6人がけのテーブルです。ここは時期宰相と言われているアレクシス様がよく座っている場所なのです。今日もいつもと同じ窓に一番近い場所に座り、難しそうな本を読んでいらっしゃいます。


私はいつも本を探すふりをしながらアレクシス様を眺めます。アレクシス様を見るだけで胸があたたかくなり、今日も一日頑張ろうと思えるのです。


このことを知っているのは家族、そして私の幼馴染で親友のミランダくらいです。先程家を出る前にお父様が引き攣った笑顔で見送ってくださったのは私が双眼鏡を持っていたからです。


双眼鏡が何故必要なのか、それはアレクシス様を近くで眺められないときに、本棚の隙間から覗くためです。今日は双眼鏡の出番はなさそうなのでカバンの奥底にしまいこんでいます。


私はアレクシス様と恋人になりたい、と思ったことはありません。なぜならアレクシス様は


「推し」


なのですから!


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