5 day ①
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「おっはよーございます!先輩!」
「朝からうるさい。静かにしろ。」
「いつものことじゃないですかー!っとそれはそれとして、昨日は本当にすみませんでした。」
「は?なんのことだ。」
「えっ?えーと、昨日の夜驚かしにいっちゃったからそれで..」
「何を訳のわからないことを言ってるんだ。さっさと行くぞ。」
(えーっ!?どういうことなんでしょうか?わざと無かったことにして普段通りに接してくれてるってことなのかな?やっぱり優しいなぁ先輩!)
そうして小走りで天音は真也の元に追いつき、共に歩いていった。
休憩時間。天音は、いつもと同じように真也を探す。
「あれ?先輩ここじゃないの?」
いつも通りなら、屋上でタバコを吸っている。しかし、今日はいない。他の社員に聞いてももちろん行き先を知るものはいなく、自力で探すしかなかった。
「残るはここだけど。いるかなこんなところに。」
そこは、会社のビルの地下に通ずる階段で、昔から使い道がなく人がいることがまずありえない場所だった。
「いやだなぁ。昼間でもこんなに暗いんじゃ怖すぎるよ。」
怖気付きながらも階段を降っていると、話し声が聞こえる。おそらく電話越しの会話だろう。周りは静まり返っているせいなのか、電話の相手越しの会話も反響してこの位置からでも十分聞き取れる音量だった。
(え?こんなところでだれが?)
あまりにも驚愕すぎて足元も覚束ない中必死にその相手を確認しようと覗く。
「はい。今朝も神器使いの反応はありません。」
『そうかー。まぁ、なったばっかだもんね。そういうのまだ疎いだろうし、こんなもんか。じゃあ、夜は予定通りまずはこっちに来てもらって、そこからーーー』
真也だった。だがしかし、天音にとってさらに驚くべきことがあった。
(女の声!)
(今、私以外の女と喋ってた。誰、誰、だれ、誰だれ誰だれだれ誰だれだれ誰だれ誰だれ誰その女だれ?)
「せーんぱい!何してるんですか?こんなところで。」
有無を言わさぬ速さで話しかける。少しでもはやく相手との連絡を断ち切らせるように。
電話の切れる音がしたと同時に、真也は我に帰ったかのように、振り向いた。
「うん?別に何もしてねえよ。さっさと戻るぞ。」
そう言うと、真也は階段をゆっくりと登り出す。
「今、女性の人と電話してましたよね。」
真也の足が止まり、振り返る。
「何言ってる。おれがいつ電話をし....て....」
急に黙りこんでしまった真也をみて天音はさらに畳み掛ける。
「してました。女性の人と。今日の夜会うって。あれ、なんですか。彼女さんですか。なんなんですか!」
「....」
沈黙を続ける真也。
「ねえ!先輩!」
「.....いい加減にしろ。俺に彼女がいる訳ねえだろ。」
怒りまじりの発言に屈したのか、天音はそれ以上追求できなかった。
「....今日の夜...」
そうして今日も仕事が終わり、それぞれが帰路に着く。
「それじゃあ先輩、ここで。」
「ああ、じゃあな。」
今日はいつもと違いやけに素直だ。少し変だが、まあいい。少し安堵し、そして今日も、敵を探す一夜となる。
感じる。最近は、他の神器使いの居場所が感じ取れるようになってきた。第六感というものだろうか。言葉では言い表せられない直感で神器使いを探す。
「こっちか。」
行き先の目星をつけた真也は目的の場所に歩みを向ける。しかし、皮肉なことに、特定の人物を直感で見つけることができるようになったにも関わらず、少し後ろに、見知った人物が後をつけていることには気が付けなかった。
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終
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