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世界最強の幼女ですが、怪異たちに過保護にされています  作者: ていふ嬢


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第二十二話 姫様、思い出の剣を握る

 白い光の中。


 一振りの剣が、静かにルナの前へ舞い降りた。


「……きれい」


 純白の刀身。


 柄には金色の装飾が施され、中央には小さな青い宝石が輝いている。


 ルナがそっと柄を握る。


 その瞬間だった。



 ――お姫様。


 懐かしい声が聞こえた。


 目を開くと、花畑が広がっている。


 そこには、今より少し幼い自分が立っていた。


「これ、本当に私……?」


 幼いルナは、一本の木剣を振っている。


 向かい合うのは黒鎧の騎士。


「もっと腰を落としてください、姫様」


「むぅ~、難しい!」


 幼いルナは頬を膨らませる。


「クロ、強すぎる!」


 騎士は思わず笑みを浮かべた。


「姫様が強くなられるまで、何度でもお付き合いします」



 景色が切り替わる。


 今度は大広間。


 幼いルナが玉座に座っている。


 怪異たちが次々と贈り物を持ってくる。


「姫様!」


「これ、お花!」


「これは人間界のお菓子です!」


「ありがとう!」


 幼いルナは、誰に対しても同じ笑顔を向けていた。



 さらに景色が変わる。


 夜。


 燃え盛る炎。


 泣き叫ぶ怪異たち。


「姫様! 逃げてください!」


「嫌!」


 幼いルナは首を振る。


「みんなを置いていけない!」


 誰かがルナを抱きしめる。


「……ごめんなさい」


 その声だけが残り、記憶は途切れた。



「姫様!」


 執事の声で現実へ戻る。


 ルナは剣を握ったまま立っていた。


「今のは……」


 黒鎧の騎士が静かに頷く。


「その剣は、姫様だけが扱える『白皇剣はくおうけん』。」


「白皇剣……」


「かつて姫様が、怪異たちを守るために振るわれた剣です。」



 その時。


 ドゴォォォン!!


 漆黒の巨人が再び拳を振り下ろす。


 ルナは反射的に剣を掲げた。


 キィィィン!


 白い光が刀身から溢れ、巨人の拳を受け止める。


「止まった……!」


 怪異たちが驚きの声を上げる。


 巨人も初めて一歩後ろへ下がった。



 ルナは剣を見つめる。


「この子……」


 まるで生きているように温かい。


 不思議と恐怖はなかった。


「一緒に、守ろう。」


 その言葉に応えるように、剣が優しく輝く。



 黒鎧の騎士は微笑んだ。


「お帰りなさいませ、姫様。」


 執事も静かに頭を下げる。


「白皇剣も、あなた様の帰還を待ち続けておりました。」



 一方、遠く離れた黒い裂け目の向こう。


 銀髪の人物は静かに目を閉じる。


「……思い出しましたか。」


 その声には、安堵と悲しみが入り混じっていた。


「ですが、本当の記憶はまだ先です。」



 ルナは白皇剣を握り直し、漆黒の巨人を真っ直ぐ見据える。


「みんな。」


 その声に怪異たちが振り向く。


「一緒に、この世界を守ろう!」


「「おおおおおっ!!」」


 怪異たちの雄叫びが、怪異の世界に響き渡った。

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