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9話 まりひめ!

ピンポーン

「はーい!」

「佐々木でーす。」

宅配じゃなかった!!

「お裾分けでーす!!頂き物のまりひめなんですけどぉ。」

ええ!この人の距離の詰め方怖い!


「ちょ、ちょっと待ってねー。」

私はビニール袋二つにりんごと玉ねぎを別々に入れた。りんごは隣にある食べ物をエチレンガスで熟成させてしまうのだ。


玄関に向かうとまさかのいちご4パック入りの箱である。

「佐々木さん。こんな沢山貰えません。とりあえず1パックで良いので。」

「ええ。うち親父糖尿病なんですよ。うちにあともう二箱あるんですよ。助けてくださいよ。」

まりひめ三箱くれる人ってどういう相手だ!

「うちも父親が糖尿一歩手前なんですよ!」


ちなみにいちごの糖質は一個0.9g、5Kcalなのでそんなに高くはない。だが二人暮らしのうちでは消費期限の問題がある。


「ではこれお返しの玉ねぎとりんご。」

「ええ。ちょ、りんごの方がカロリー高いじゃないですかあ。だめですって。玉ねぎだけ頂きます。」

詳しいな!いちごは31Kcal、りんごは54Kcalだ。糖質は知らない。


「じゃありんごやめてトマトにしましょう。」

と言ってキッチンに戻りトマトとキャベツとブロッコリーを段ボールに入れて持ってくる。

「えええ。多い多い。どうしようこんなに。増えちゃった。ていうかこれ持って走れるって関屋さん何なんですか?」

佐々木さんがめっちゃ引いている。


「これと鶏胸肉食べてたら問題無いんで毎日お父様に食べさせてあげてください!私力持ちなんで管理人室まで運びます。」

「いやいや。そんなわけにいかないですって。ちょっと台車持ってくるんでしばらく置いといて下さい。気を使わせて申し訳ない。」


この人絶対貸しを作って終わりたいマンだ。

私もそうだからこれは永遠に終わらないバトルになってしまう!しかも二回目の時カリクは大人しかったから別に私は怖い思いをしていないのだ。


『イベント いちごを持って公園にいきましょう!』

おい待て!!あからさまだな!!!

「あのう。佐々木さん。」

「はい?なんでしょう。」

「このいちご持って公園にピクニック行きません?」

「ええっ!!良いんですか!!やばいめっちゃ嬉しい!」

ええ!佐々木さん友達いない系ですか?私もだけど。

「じゃあ洗うんで、管理人室で待ってください。」

「いや!うち二箱あるんでうちから持っていきます!絶対にそれ持って来ないで下さいね!!ここで消費してください!」

「ええ!それじゃこっちが減らないんですけどお!」


これさ、貰ったって父親に言わなきゃいけないからインベントリ入れられないんですよ!!

とにかくいちごを冷蔵庫に入れて野菜のダンボールをさげて管理人室に。


「ええ!なんで非常階段からこのダンボール持って降りて来たんですか?歩くのめっちゃ早くない?しかも汗ひとつかいてないとか!」

いや、ダンボールはさっきインベントリから出しました!

『持って降りるのは危ないですからね!』

佐々木さんはめっちゃ引いている。


「任せてください!鍛えてるんで!」

「いやいやその体格でどう考えてもおかしいって。関屋さん虚弱体質じゃなかったんですか?!」

だから違うと何度も言ってますが!!


私達は二人で公園へ。

なんと、佐々木さんはいちごを使い捨てパックに入れてくれてある。一個一個へたを切ってピックを刺し、練乳ポーションを付けてくれてあるのだ!!信じられるか?!ポーションだぞ?チューブではなく!さすが金持ちだな!!


「これ、母がこうやって冷蔵庫に積んであったやつ二つ持って来ただけなんで。」

私が練乳ポーションを眺めていると佐々木さんは苦笑した。


「いちごくれた人がそれを5袋もくれたんです。そういう物のくれ方する知り合いが居まして。僕ら三人家族だから毎回消費に困っちゃって。」


たまに居るな。相手が消費するペースじゃなくて、自分があげたい金額で生ものとか平気で渡す人。うち二人暮らしなのにショートケーキ5個とプリン5個とシュークリーム5個計15個貰った事あるわ。相手医者。あり得なくない?(実話)

貰った人の共通の友達に押し付ける訳にいかないから面識の無い友達に配るのだ。


「むふ。おいし。あまーい。練乳無しで良いわ。」

「そりゃ良かった。」

佐々木さんは私の顔を見てにっこりした。

それから、何か言いたそうに口を開きかけて黙ったりする。

「あー、あのですねー。えー、いや。いいお天気ですね。ピクニック日和。」

「ですねー。で、先日から何か私に聞きたい事でもあるんですか?」

佐々木さんはむーんと唸ってから、言いにくそうに口を開いた。

「あのですね、実はカリクに何をしたのか聞きたくて。口臭どころか毛並みまでフッカフカで。不思議で仕方ないんですよ。」


「うーん。待ってね。」


今イベント発生してる?

『佐々木蒼太とピクニックデート進行中』

ええこれデートなの?えっと仲間引き入れイベントだよね?好感度上がると発生するの?お父さんとか横井さんも?


『そうです。ちなみに佐々木蒼太を引き入れると関屋豊を引き入れるイベントは潰えますが私は佐々木蒼太がおすすめです。公園遭遇イベントはこのイベントに統合されました。』


やはりかww横井さんは無しかなww

『ちなみに横井花恵の場合はマンション内人脈無双ができますが、戦闘能力は著しく低いです。』

だから無しだってwww何だよマンション内人脈無双ってwww


『横井花恵は地球での好感度アップイベントにかなりの貢献をします。異世界では村人との交流に役立ちイベントを起こす能力に突出して優れていますが戦闘能力がドリマナールの一般人よりもかなり低い為誘拐や襲撃の危険が常に伴います。彼女は戦闘力に対して人材としての価値が高すぎるのです。地盤が固まるまでは始まりの部屋から出さず人間関係についての助言のみ得るのが得策です。彼女を選ぶ場合序盤展開の難易度がかなり高くなります。またかなりのお節介である為主導権を握られ異世界生活に相当に口を出される可能性が高いです。』


何なのw横井さんが優秀すぎるんですけどwwナビさん密かに横井さんをめっちゃ推してるよね?!戦闘力さえクリアしたら恐らくそれ以上のリターンが見込めるが私との性格相性は相当悪い。やはり横井さんは却下だ。


父親と佐々木さん、ステータスや適正はどちらが上?

『関屋豊は建築関係スキルを持っておりかなりの異世界発展が望めますが魔法適正や戦闘能力がありませんので拠点から出る時にかなりの危険が伴います。ドリマナールの一般人と同程度の戦闘力はありますが、成長限界が彼らより低く能力上昇はかなり緩やかです。立場が莉緒さんより高い為主導権を握られ異世界生活にあれこれ口を出される可能性はあります。』


ええ!それは困るよ!!お父さんが怪我とか絶対に困る!


『佐々木蒼太はIT、動画、アニメーション作成、作画スキルを持っており魔法適正がかなり高く戦闘力向上や新たな魔法作成が望めます。資産があり地球での立場もある為バランス良く莉緒さんを支える事ができます。また、彼の従魔カリクは高い索敵能力、探索、戦闘適正があります。しかし異世界ではなく地球でのイベントで暴走をする可能性があるので注意が必要です。」


ええ。地球で暴走とか。この人秘密守れるかな。勝手な事されると困るんだけど。

『権限が全て莉緒さんにあるので、裏切った時には彼に与えた全ての権限を取り上げる事ができます。得たスキルや報酬も全て取り上げる事も可能ですし、異世界の話を地球でしたところで誰も信じはしません。そして彼の性格であれば絶対に裏切りません。』


何それwww絶対裏切らないってどういうこと?!

……

無視である。


よし!君に決めた!!


「あのね。秘密厳守でお願い。」

「うんまあ。それは守るけど。」

「見ててね。」

私はいちごを横に置いて地面の土で手を擦る。

「ええ。何してるの?」

私は手のひらを見つめクリーンと念じた。

「はええ?!?!」

「生活魔法クリーンです。」

佐々木さんは私の顔を見てめっちゃわくわく顔をしている。あらやだ可愛い!


「それはちなみに、現代ファンタジーですか?それとも異世界転移ですか??」

「異世界転移です。」


「まじかwwwやばいww」

佐々木さんは拳を握りしめ感動に打ち震える。

そして再び私を見た。


「それって、あの、その、いくら払えば連れてってくれますか?!」

いやいきなり金で引くわwwww


「お金とかやめましょ。あのね、あなたの動画作成スキルで新たな魔法を考えて欲しいんですよ。」

「えw何それ意味が分からないww」

「その説明は後で。ところで佐々木さん、仲間になりますか?」

「なるよ!もちろん!!やった!!」

佐々木さんはめっちゃ嬉しそうに顔を綻ばせた。うわ。可愛い系男子の破壊力よ。


「じゃあこれあげる。運のストラップ。私これ三つ手に入れた日立て続けに懸賞三つ当たったの。」

「凄い!何当たったの?!」

「小麦ファイバーとオオバコのセット、ティアヨーグルヨーグルトメーカー、コーヒーメーカーですね。」

「小麦ファイバーとオオバコとかどんだけ痩せたいんですか!それ以上痩せたら死にますって!」

いや死にませんってwwwてか詳しいな!何で知ってる?!

「何で知ってる?って顔した?ww親父が糖質制限させられてんの。お袋に。」

うわー。この人多分童顔コンプレックスだ。親父とかお袋とか言うんだーww

「ちょ。なんなんですかそのにやけ顔。」

おっといかん。顔に出てた。

「糖質制限してるんじゃなくて、させられてるんですか。要ります?小麦ファ。」

「いやー。うち10キロまとめ買いなんで要らないっすね。」

10キロとかwww


それから公園でパーティ登録。

佐々木さんのスマホも異世界仕様になった。

二人で管理人室へ。

「宅配でーす!」

「なんなのwwまじな話だったの?ww」

「うわああ!八万円の炊飯器だあああ!寝かせ玄米の炊飯器じゃねーかあー!くうう羨ましい!!!私もそれが良かった!!」

「異世界記念にどうぞ。」

「いや!突然の高額プレゼント引くわ!」

「え!ただですよ?これ。しかも君にもらったストラップで当たったんだし。」

いやいやいやいやwww

「あなた人付き合い改めないと利用されますよ?」

「あははは。よく言われますww」


『報酬 佐々木蒼太とピクニックデート 仲間佐々木蒼太 佐々木蒼太好感度大幅アップ 佐々木蒼太ステータスアップ カリク好感度アップ 横井花恵好感度アップ』

ちょwww何で横井さんwww

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