第59話 虚弱のデマを力技で粉砕!~もはや隠せない錬金術師の筋肉~
女性陣皆で段ボールを公園スペースに運ぶ。
今日はお父さんは仕事が入っちゃったので私がお父さんの分まで働かなくてはいけない。
皆が皆日曜日が休みでは無いのでそういうお宅も多い。
「ちょっと関屋さん台車使って!その細さで転んだらどうするの?!」
500ペットボトルが24本入った段ボールを二段重ねにして運んでいると三往復目くらいで江本さんが台車を下げてゼェハァ言いながら青ざめた顔で叫ぶ。
「このくらい運べますよ。他の女子はひ弱なんですから台車使って下さい。重いやつはあらかた運んでおきましたので!!」
"ちょ!りおりお!虚弱じゃないの分かったから無理してアピールしないで!!腕折れそうで怖いから!"
遠くから念話が飛んでくる。
「関屋さん!危ないからやめてください!」
「ちょっとその子体弱いんだろ?!止めてやって!」
「無茶するな!」
遠くで男性陣がなんか叫んでいる。
「なんか呼んでるから手伝ってきますね。」
私はビニール袋に仕分けしている柏木女子のもとに段ボールを置くと、イベントテント設営の男性陣のもとに向かおうと振り向く。
「ええ!関屋さんだめですよ!危ないです!」
柏木さんが叫ぶ。
「誰か関屋さんを止めてー!」
川口さんが血相を変える。
「いけるいける!」
私は余裕で組み立てている佐々木さんとは違う方のテントを手伝いに。
めちゃくちゃ苦戦していたのだ。
「こっち人足りないでしょ!手伝いますよ。」
「いやいや、あなた虚弱だって聞きましたよ?!だめですよ!関屋さん!」
米田さんの旦那さんが言う。
「そのデマを払拭しにきました!」
私はテントの支柱を持って掛け声を上げる。
「せーの!」
「えっ!軽っ!急に軽くなった!」
信じられないといった吉田さんの声。
「よいしょー!!」
私の掛け声とともに片方の支柱が一気に立つ。
「ははは!信じられない!!こんな華奢な子が僕らより力持ちだ!!」
「噂とか全くアテになりませんよね!」
あまりの出来事に鈴木さんと米田さんは笑う。
『自治会男性陣好感度アップ』
「皆噂に踊らされすぎ。莉緒さんロードレーサーの僕より自転車漕ぐの早いですからね。虚弱も拒食もデマですよデマ。」
坂本さんが大きな声で隣のテントから言った。
「ほんと妬みって怖いわー。」
と坂本さんが言うと男性陣がめっちゃ引く。
「あー、そういうやつですかー。」
「うわー。怖い世界を見たわ。」
「関屋さん美人だからねえ。」
「鈴木さん!奥さんに言いつけますよ!」
「いやいや坂本さん、そういう意味じゃないですって!」
「まあ天才WEBデザイナーですからねえ。」
坂本さんの誘導になんだかそういう流れができていく。
ちなみに佐々木さんはこの話には一言も加わらない。
"リュー!助かる!"
"任せろ!アオ"
なんか二人がめっちゃ仲良いんですけど!
"というかりおりお!やりすぎ!"
"ほんとそれ!関屋さん自重して!?"
なんか責められたんですけどー!?
私は手早く筋交いや紐を締めていき、反対側へ。私は錬金術師!物を作るプロだ!私には設営など片手間でできるのだ!!
「ええ!関屋さんテント設営経験ありですか?!」
「前の会社でやりました!」
全くの嘘です!!
「これからは虚弱改め力持ちの関屋と呼んでくださいよ!」
「パワフルですね関屋さん。あなたが痩せてるのはきっと動き過ぎるせいですね。もっと食べないと。」
『柏木みつき好感度ダウン』
男性陣と笑いながら話しているとこちらをじっと見ている柏木さんと目が合った。
「ごめんごめん、こっち終わったら手伝うから!!私袋詰めも大得意なの!!」
「ふはっw袋詰め得意ってなんなの莉緒さん」
と隣のテントから彼氏アピール坂本さん。
「女子はお店屋さんごっこ大好きなの!!じゃああとお願いします!柏木さんそっちいきまーす!」
集まってる女性陣に加わる。
「うわー。柏木さんめっちゃ丁寧!さすが。」
と言いながら私も手早く詰めていく。
前の会社では無愛想で失敗したので、空気が悪くならない様に必死に笑顔で皆のテンションを上げる。
私は副会長代理だから頑張らないと。
前の会社では、人に好かれて頼られている人はこうやってたし、それで信用を得ていた。
皆を引っ張るんだから率先して動かないと。若いからって舐められちゃう。
イベントを通じて皆をまとめて、本物の副会長が帰ってからバトンタッチするんだ!
『自治会女性陣好感度アップ』
「イベントって楽しいですよね!来月は副会長が戻ってきてくれたら良いな!」
「え、関屋さん知らないんですか?」
と松田さん。
「何をですか?」
「小松さん、この前の事故で免許返納するとかで、息子さん夫婦と同居する為に引越しするとか今朝決まったそうですよ。」
「ええええ!!!まじで?!?!」
衝撃の事実である。
「でも責任感のある関屋さんなら安心よね!!一年間頑張ってね。」
と横井さんは私にウインクした。
「よろしくね!」
と口々に応援される。
「ええ…まじか。書記会計回避の策略だったんですけどねー!頑張るしかないですね!」
皆は笑う。
『自治会女性陣好感度大幅アップ』
『柏木みつき好感度ダウン』
え…?
私は柏木さんを見ると、柏木さんがにっこり微笑んだ。
「よろしくね!関屋さん!」
えっ!!めっちゃ怖い怖い怖い!
これか!これが噂に聞く妬みというやつなのか!!てか私あまり目立っちゃだめなのかな?迂闊だった!世の中にはカリスマが無い人は張り切っちゃダメルールがあったんだった!まずいまずい。やりすぎた!
『柏木みつきは、単にあなたの努力を認め、副会長代理を引き継いだあなたに、親しみを込めて「よろしく」と言っただけです。悪意はありません。』
いや愛陽の天の声。私もう怖くて信じられないんですけど。
横井さんは私の背中を叩いた。
「皆そのくらいにしてあげて!彼女プレッシャーで緊張してるわ!」
「強がらなくて良いのよ!私達もなるべく頑張るから!」
と川口さん。
そこへ横井さんの念話。
"莉緒ちゃん、大丈夫よ。自治会の事はサポートするから。"
"は、はい。ありがとうございます。花さん。"




