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第43話 「僕が偽物でも君が本物ならいい」存在を賭けた愛

さて、はじまりの部屋である。

行くと佐々木さんがちゃぶ台に突っ伏して寝ていた。

「んあ。莉緒たん。おはよお。」

「ええ。ここで寝たの?」

「やばい。仕事中に寝落ちした。朝なの?どうしよ。今何時?」

「8時12分」

「僕と一緒に昨日に戻ってくれる?」

「まさか!今朝お父さんと話したのに嫌だよ。これどうなるの?」

『莉緒さんが彼が来るのをここで待つのが一番効率的です。彼が家で寝てから来れば莉緒さんの時間と繋がりますから待つ必要はありません。』

ええ!!怖い怖い怖い!!!


「ほんとに?パラレルワールド行ったりしない?」

『行きませんし、行ったとしても、向こうの莉緒さんに会うだけなので同じです。』

「やっぱり僕を莉緒たんの時間に戻して。」

だが佐々木さんはぐったりしている。

「寝た方が良いよ。」

『本当に戻ってもパラレルワールドには行かないでござるよ。アオはいい加減寝たほうが良いでござる。』


多分何度も戻って時間無限をしていたのだろう。パラレルワールドがあるとすれば今の彼はもう違う世界に来ている事になる。二人になるとこういう事があるのだな。今日来てくれなかったらどうしよう。佐々木さんがずっと来なかったらどうしよう。


「次からはアラームかけて。私も念話してから来るよ。朝帰りは親が怒るでしょ。」

「親とは食事以外別だから大丈夫。りおりお今からうちくる?さよならとか嫌だよ。昨日に戻ってうちで一緒に仮眠しよ。」

「佐々木さんもしかしてまだ寝ぼけてるの?とにかくどっちの時間に戻るかは任せるよ。帰らないならここで眠ってよ。今日異世界お休みにしよ。」

佐々木さんは目をこすってから頬をパンパンと2回叩いた。

「まあ良いか。今さらだし。君がこの部屋の持ち主だ。君がいつも本体で、きっと僕が偽物なんだと思う事にする。」

佐々木さんが訳の分からない事を言い始めた。


「この部屋出るたびに、僕が眠る度何度作り替えられても、次に来る僕が違う世界線の別人でも君が本物ならそれでいいよ。一旦寝てから戻って来るからここで待ってて。どの僕も何度でも来てちゃんと君を手助けする。」


彼の目に、微かな狂気と、それ以上の深い安堵を見た。

なんか寝てなさすぎてロマンチストになってしまった佐々木さん。これは起きてから部屋で一人で悶絶するぞ。だいたい作り替えられるって何だ。あなたが一貫して自分の世界を生きてるなら、あなたにとっては私が偽物の可能性がある。だけど違う世界線があるかどうか確かめる術は無い。だって今の私は私が本物だと思ってるから。


いや…地球や異世界、この部屋の外のものが全て偽物の可能性があるって彼は言ってるんだ。パラレルワールドが無いと言い切るナビ二人。環境がリセットされる異世界。


「イベントは進めないでこの部屋にずっと居るよ。部屋から出ないで何日でも待つから。ほんとに絶対にちゃんと寝て。ここで寝ても良いよ。起きるまで待つから。」

「いや、戻るよ。もう今更だし同じ事だ。それに僕はこれからも、これを続ける。もう元の生活になんて戻れない。」

作り替えられているとしたら、私達じゃなく外の世界だ。彼は今から、その外の世界に行くと言ってるんだ。


「おやすみ。莉緒さん。さよなら。」

彼のその言葉は、まるで遠い世界の恋人に送る、最後の別れの挨拶のようで。

「うん。おやすみ。さよなら。」



佐々木さんは出て行った。

そして1時間後に血相を変えた佐々木さんは帰ってきた。

「ただいま!関屋さん!!寝過ぎた!!!僕を関屋さんの時間に一旦戻して!!」

私がまださよならの余韻に浸っていたというのに、再開したらがっつり元の佐々木さんに戻っていたのだ。


「はあ?!何なの!?別に1時間くらい良いでしょ?!?!」

「1時間ロスとか絶対に許さない!! 9時間睡眠とか絶対にダメだ!!時間の浪費は悪だよ! これは、僕の人生にとって最大の罪なんだ!」

いやなんでだよ!!何日ここで過ごしたんだよ!普通に寝ろよ!!


「ねえ!佐々木さん。一体何日に対して何時間寝てるの?ちゃんと寝てよ!怒るよ!」

「関屋さんがちゃんとタンパク質以外もバランスよく食べるならこの部屋で寝てから地球に戻る事も考えるよ!!」

いや食べてんでしょ?!昨日食べたでしょ?!

てかこの部屋で寝るんかい!!!結局私この部屋でずっと待つんかい!!!


「そんなにあくせく働かないといけないならもう私に貢ぐのとかやめて?!」

掴まれた腕が指の力が強すぎて少し痛い。彼は縋る様な目で言った。

「だ、だめだよ!お願いだからそういう事言わないで?!そうやって弱み握って上に立とうとしないで?!」

いやしてないわ!!!金で上に立とうとしてくんのそっちだろうがよ!!


『アオは勇者だから能力を奪われる事は無いと拙者が何度言っても聞かないでござるよ。』

「勇者とか力奪われるとか関係ないよ!僕がいつでも来られるとかこの世界の重要登場人物だとかもう理解してるよ!だけど同じ空間にいて険悪とか嫌すぎる!二人で別の時間を生きてこの先ずっと別々にイベントだけやるとか嫌なんだよ!僕とずっと仲間で居てよ!」


ええ。この人ほんと重症だよ。もしかして普段から寝てなさ過ぎておかしくなってるんじゃないの?!パソコン系の職業の人って睡眠時間少ないっていうもんね!


『全く難儀な性格ですね。』

本当だよ。


「あのね。貢がなくても仲間だから。これからも一緒にイベントクリアしようよ。今日ちょっと喧嘩しちゃったけど友達なら意見ぶつかる事もあるよ。ずっと険悪じゃないし、上に立ったりしないよ。ちゃんと対等な仲間だからね。佐々木さんもちょっとは私を信頼してよ。」


プールで遊んでたノッテが飛んできて佐々木さんに抱きつく。

「にゃー。アオげんきだしてにゃー。アオなかまにゃー。」

「わん。わおう。」

カリクも佐々木さんに寄り添う。

どうやらさっきのパラレルワールド発言がかなり堪えた様だ。

「ほんとに?僕ちゃんと関谷さんの友達?」

「当たり前でしょ?!仲間だし友達だよ!」

「よ、良かった。僕嫌われてなかった。」


『報酬 パラレルワールド パーティメンバー絆アップ』


心配してるから怒るんだよ?何で分かんないのかな。

『莉緒さんにも問題はあると思いますけどね。』

いや何でよ?!

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