第24話 貢ぐよ?佐々木蒼太のニヒルなギャップ戦略
私はスーパーへ向かおうと非常階段を降りる。
玄米とー、コーヒー豆かあ。あんま詳しくないんだよね。
一階に降りると管理人室の小窓から声をかけられる。
「ねえ、なんで関屋さんはエレベーター使わないの?」
「え。服買わなくて良い様に。実は太っちゃってね」
「まじかあ。本気で痩せる気かあ。で、どこいくの?」
待って、この人地球でまで距離感が近い!
「玄米とコーヒー豆買いに行くの」
「ええ。君玄米とか食べたらキレート効果でエネルギー足りなくて危ないんじゃない?!ちなみにティアヨーグルで寝かし玄米作るの?」
てか詳しすぎか!!!なんでそんなにも詳しいんだ!!はっ!!!もしかして!!
「いや何その顔。違うよ?僕もともと痩せてるからね?」
車を出してくれるというので乗せてもらう事に。金持ちだけど意外にも普通っぽい車だ。私はペーパードライバーなので車には詳しくないけど人気の車種らしい。
そして着いたのはなんと!
「ええ。本格的なんですけど!!」
コーヒー専門店である。
「いらっしゃいませ佐々木様」
「ああ。今日は友達を連れて来たんだ。彼女は関屋さん。コーヒー初心者だから色々教えてあげてほしくて」
そう言って彼は併設されたカフェのカウンターに座る。
「何してるの関屋さん。おいでよ」
私は困惑する。これが金持ちのテンションなのか!私は豆の値段をチラ見した。
一番安いやつでいいか。
「今日は絶対全部奢る。だって君頑なに金銭受け取らないでしょ。僕借り作るの絶対にやなんだ」
まじか!借り作らないマン自己申告して来た!
「えー。申し訳なさすぎる」
『対価としては全く見合ってないでござる。この程度なら貢がせるべきでござるよ!』
ござるまでそんな事言う?
「関屋さん、チーズケーキ食べられる?」
「大好き!」
チーズケーキはカロリーが高いがタンパク質豊富?かも知れない。洋菓子の中では罪悪感は…まあ…ぶっちゃけカロリー高いし罪悪感はあるし普通に太るけどまあ…今日はチーズケーキを食べた事を記録して、その分他でカットするか動けば大丈夫だ。きっと!
「良かった!ここの名物なんだ!」
佐々木さんは目を細めて微笑んだ。
小さ目のベイクドチーズケーキが出て来る。
「美味しーい!濃厚!!!」
佐々木さんが口に手を添えてこっそり耳打ちする。
「食べたら錬金術でレシピ出ないかなと思って!」
わっる!!そんな事する?!
『追加されました』
『こちらはダメだったでござる』
「出た」
「やったね!君が僕に作ってよ!」
私達は向き合ってサムズアップする。
レシピは送った。
「うっわ。いいもんね。自分で作るもんね」
善意なのに落ち込まないで?!
コーヒーはいくつか味見させてもらっちゃった。
「これがめちゃくちゃ好き!!」
「王道来たね。僕もこれなんだ」
ブルーマウンテンを200g×3袋も貰った。
「恐縮です」
「良いの良いの。君もっとがつがつしなきゃ。取れるとこから搾り取れってね」
お次は米屋さんに。
「いらっしゃいませ佐々木様」
「ああ。今日は友達連れて来たんだ。関屋さん。玄米始めたいんだって」
柔らかくて甘いのとか、かためで淡白な味なのとかあって、お父さんは柔らかな甘いのが好きなんだけど。
「糖質的にはどうなんだろう」
「あー。それね。いきなりガチガチに縛ると続かないし、可哀想だよ。内緒で品種を変えても本人の意識変わらない上にメシマズ認定されるよ?うち最初大変だったんだ。ちゃんと話し合いして食生活を変える方が良いよ。玄米を混ぜるなら、甘くて食べやすいものから始めるのがおすすめ」
てか詳しいな!!
銘柄もの玄米を30キロと、同じ品種の精米した米30キロ買ってくれた。多いな!!!
「買ってもらいすぎでお父さんに怒られちゃうよ。やっぱりお金払う」
すると佐々木さんはまた口に手を添えてこっそり耳打ちする。
「インベントリ入れとけばバレないよ。適当にレシート作成すれば良いし。正直このレシート作成だけで君に貢ぐ以上の対価は貰ってる。それが仕事まで錬金術で自動化だからね!もう人生勝ち組ってやつ!」
うっわ!レシートで悪い事する気だ!!
「ふっふっふ。黙って受け取りな。対価は正しく貰わないと。これからもまだまだ貢ぐよ?」
彼はびっくりするほどニヒルな顔で微笑んだ。
ひええ!始まりの部屋での無邪気な彼とのギャップが凄いんですけど!!その冷たい眼差しと、計算高さが見えるニヒルな表情は、普段の可愛い彼には絶対にない、大人の男の顔だ。正直に言って、私の好みにドンピシャである。
私は!今!!ギャップ萌えの真髄を見た!!!
『大げさか』
雑なツッコミすんなし。




