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第17話 ダイエットはやめろ。父親の溺愛、オートミールデブ仕様

土曜日である。

昨日ゴミ出しを忘れたのだ。父親が出してくれていた。もう凹み切りである。世の中の主婦さんはお弁当も作ってゴミ出しもしているのか!!

最初の週からこんな失敗をするなんて。私は何をしてもダメな人間だ。父が何も言わずにやってくれたことが、逆に胸に刺さる。


しかもニートだから曜日感覚が無くてぶりの味噌煮せっかく作ったのにお弁当は要らなかったのだ!!今日食べるしかない!!

土日は三食作らなくちゃいけないとか、家事手伝いって地味に大変じゃね?!


「お父さんおはよう」

「おう。おはよう。どした?元気無いな」

「昨日ゴミ出し忘れてごめんなさい。主婦大変だなと思って」

「良いよ良いよ。今日はゆっくりしろ。お父さん出かけるから、飯とか気にすんな」

父は私の頭を軽く撫でた。

「家事は大変だよ。お母さんがいない分、お前に無理させているんじゃないかと心配していたんだ。失敗なんて誰でもあるさ、気に病むな」

「無理して出かけなくて良いからね。ゆっくりしてて」


私は父親の朝食にスクランブルエッグと食パン、りんごを出した。

私は昨日作ったグラノーラとプロテインである。とにかくやたらにお腹が空くのだ。異世界で走り回っているからもしかしてエネルギーが足りないのかもと砂糖と油をプラスしてみた。

これでエネルギーはバッチリだ。

『足りていませんよ?基礎代謝分は摂取して下さいね?』

必要になれば体が空腹のサインを出す。それが出ないという事は体が欲していないか、体調不良などで摂取すると害になるという事。

『ああいえばこういう』


「お前な。ダイエットやめろって」

うっそだwwお父さん痩せてる私を超溺愛してんじゃんwww


「え?これオートミールデブ仕様で油砂糖入ってるんだよ?プロテインはもともとカロリー摂取用に買ったんだし。見てよここ」

このプロテインは115Kcalもある。ちなみに乳酸菌飲料の味で気に入っている。


「はあ?!なんでこれ、街路ファイターの絵が描いてんだ!これ冬麗じゃね?なんなんだこのプロテイン」


このイラストはお父さん世代の人がめっちゃ食いつく格闘ゲームのやつ。今もあるけど私はやった事がない。赤いハチマキの柔道着の人が表面に書いてあり、裏面には青いチャイナ服の女の人。めっちゃチャイナ服なのにこれで捜査官?とかいうからびっくりだ。潜入捜査かな?年齢はアラフィフ、見た目は二十代後半だ。見た目めっちゃ若い!年齢を重ねても自分磨きを怠らない女子の鑑だ。素晴らしい!私は冬麗を心の底から尊敬する!

『冬麗 好感度アップ』

嘘だろ。

『嘘です。ごめんなさい』


「私の一番好きなプロテインで、もう販売終了すると聞いて買い込んだの。めちゃくちゃ美味しいんだから!」

「へー。こんなのあるのか。プロテインに美味しいとかの概念があるとは知らなかったよ」

「今はスーパーで紙パックのやつが買えるよ。忙しい時の栄養補給におすすめ」

「ほうほう。じゃー今度飯食う暇ない時買ってみるわ」

父とこんな風に、日用品の話題で会話が成立するなんて。たかがプロテインだけど、私と父の間の壁が少し溶けた気がした。


『報酬 イベント街路ファイタープロテイン 関屋豊好感度アップ プロテインマイスター資格』


私は格闘ゲームをやらないのだけど、この格闘ゲームの存在は私はハイスコア少女というアニメで知った。お父さん世代をターゲットにしたアニメなのだろう。


というか、今の私達よりも若い世代が見るアニメでも、その層をターゲットにした演出が割に多いのだ。かぐやたんの告らせバトルや村井恋愛とかのラブコメで、ドラマティックなシーンで流れた『チャカチャーン』っていうイントロはお父さん世代の超絶有名な曲のオマージュらしい。


ご年配なのにめちゃくちゃ素敵な声の人なのでその歌手の名前は一応私も知っている。そのチャカチャーンの曲より保険かなんかのCMで流れた声の方が私の好みではある。あんな声どこから出てるのだ。整数次倍音に分類され澄んだハリのある声で、奇跡の声と呼ばれているらしい。ご本人は持って生まれたものに感謝していると謙遜していたが絶対に嘘だ。持って生まれただけではああはならない。


『とりあえずその歌手が好きってことはわかりました』

別に好きではないな。ていうか私はあまり芸能には詳しくないのだ。

『妬んでいるのは重々伝わりました』

いや妬んではないわ!

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