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10話 佐々木さん没頭する

はじまりの部屋に来た!

「佐々木さん〜いいですよー。来てください。」

「うおお!電話繋がってるすげー!」

と受話器から聞こえ、目の前に佐々木さんが現れた。

「うわ!本当に白い部屋だ!でも何これプールとかある。二足歩行の猫とか!!」

「にゃーごーぅ!りおりおー!おきゃーりー!」

「おきゃーりじゃなくておかえり、莉緒は一回ね。」

「か、かわ…喋る猫とか…うわあぁあぁ。お、おいでー。」

佐々木さんはノッテを見て目を輝かせる。

「ちなみにプールはね、チュートリアルの時にふざけて例えば水って言ったら出ちゃったの。」

「何それ意味が分からないwwwチュートリアルがまさかの親世代のローカルネタ対応とかww」

佐々木さんがノッテを高い高いしながらめっちゃ笑う。

おい!犬派はどうした!


「じゃああれですか?僕もチュートリアルありますか?」

佐々木さんがノッテを地面に立たせるも、ノッテは上を向いて手を伸ばす。もう佐々木さんに夢中だ。


通知音。

「うわ!なんか頭に声響いた!!」

佐々木さんがスマホを確認して見せてくる。

『チュートリアルイベント 莉緒たんに魔法習っチャオ』

「何このタイトルww僕そこはかとなく馬鹿にされてる?ww」

「何なの佐々木さんのナビのその仕様www」

私の質問にナビさんが天の声で答えた。

『ナビは持ち主のノリをトレースします。』

天の声とかできるんかい!

「絶対嘘www」

私は即座に突っ込んだ。

「絶対嘘だよねwww」

佐々木さんは笑う。

『嘘じゃないでござるよ?ww』

今度は佐々木さんのナビさんが私の頭の中に話しかける。

「それ以上はやめてwww」

「佐々木さんwwまさかのござる系www」

お腹が捩れそう!二人で爆笑してなかなかイベントが進まない。


『はよはよ。莉緒たん魔法はよ!!蒼太待ちきれないでござるぅ!』

佐々木さんのナビさんが甘える様に言う。

「やめてw笑わせないでww」

「ちょ、真面目に仕切り直そ!僕ほんとに魔法覚えたいから!」

『拙者がサポートするでござる!』

「デフォルトがござるでびっくりだわ!」

「僕一人称が拙者の人に初めて会ったんだけど!」

人ではないがな!

拙者は彼のノリではないらしい。ナビが気を利かせてござるに合わせたと見た!ナビはうっかり変な事を口走ると一度言ってしまっただけでそれに合わせてノリを変えてくるのだ。私のナビも絶妙に古いネタを使ってくる。これからは積極的に新しいネタを披露しなくては。


私はなるべく危なくない様に4種類の魔法を見せる。すると私のナビさんが私達の頭の中に語りかける。

『どっすんしないんですか?彼にはそれが一番仕様を理解できる筈です。彼には魔法を創造する使命がありますから!』

「そうそれ!僕一番気になってたの。どういうこと?」

佐々木さんは胡座を描いてノッテを抱っこして頭を撫でている。ノッテなつきすぎ!ゴロゴロいいすぎ!騙されすぎ!!その人犬派だからね?!


「えーとじゃあ、ナビさんを信じてやりますよ?!どっすん!!」

「うわあああ!そういうやつ?!理解した!!」

「待って!魔法使う前に、魔法は明確に発動の意思を持たないと発動しないと念じて設定して!」

「なる程!確かに!!」

「今後は絶対に厨二な妄想とかしちゃダメです!普通にアースクエイクとかメテオとか出ちゃいますから!」

「エクスプロージョンとかいけますかね!」

佐々木さんが期待の眼差しで聞いてくる。こらこら危ないからやめろ!


「いけるけど絶対だめ!街とかあるし、素材ボロボロになるから!」

「ちぇー。爆裂したかったなー。」

うわ!こいつめぐみんぬ信者だ!危ない発想の持ち主かも知れん。


「じゃあ僕、帰って魔法作って来ます!動画できたら送るから莉緒たんスマホアドレス教えて!」

『パーティステータスページからアクセスできます。』

「ちょ!莉緒たんて。」

「あっやば!ナビにつられちゃった!てか関屋さんのステータスなにこれ!!魔王なの?!」

何故あなた達は勇者じゃなく魔王と言うんだw


『体は勇者!頭脳は魔王!迷探偵りおりお!』

やwめwろww

「りおりおのナビたんのノリめっちゃ大好き!ナビたんめっちゃ可愛い!!じゃあ帰るね!」

佐々木さんは満面の笑みでそっこー消えた。

スマホもう使いこなしてやがる!

『告白されちゃいましたね。莉緒さん。』

「あんたがな。」


「りおりおー。はらへりー。」

「莉緒、お腹すいた。言って?」

「りおおなかすきー。」

それだと私がお腹好きみたいじゃねーか。


すぐパソコンとタブレットを持った佐々木さんが帰ってきた。

「え?!どしたの?!」

「ちょ!地球の時間経ってないんだけど?!これ、どうなるの?!どっちかが外出てる時!いつの時間に戻るの?!」

『入った時間又は相方の存在する時間に戻ります。』

「ええ!じゃあ私佐々木さんより過去に帰る事になる!こわっ!めっちゃこわっ!!」

「ちなみに僕の時間を巻き戻せるって事?!」

『そうなりますね。』

「あっ!待って!私老けるんじゃない?!てか佐々木さん童顔卒業できるね!おめでとう!!」

「やめてwww気にしてるのwww」

『エネルギーは消費するが寿命は減らないでござるよ?』


ものすごい事が分かってしまった。

ちなみに佐々木さんのステータスはHP5000、MPが無限です。佐々木さんまで魔王て意味が分からないww

チュートリアルで身体強化を覚えた。

「ねえ。僕もうちょいここに居ていい?」

「良いよ。えっとね、マジックバッグ極小を進呈します。」

「ありがとう!関屋さんめっちゃ好き!友情的な意味で!」

現金なやつだな!!!


「佐々木さんは長いんで蒼太でいいよ!友達はアオって呼ぶんだ。アオなら二文字だよ!」

それ絶対嘘だよね?!いよいよ厨二病が頭角を表したか!

「じゃ、佐々木さんで!」

「一言一句変わってないwwww」

『ご愁傷様でござる。難敵でござるな。』


それから、私はボックスから素材出して錬金術とかしたら、彼が魔法で再現して錬金術を覚えた。

魔法適正が高いらしいとは聞いていたがとんでもない奴である。


彼は錬金術で器用にアニメーションを作っている。最初は何やら入力していたのに、いつの間にもう入力すら必要無くなっているのだ!

彼は魔法を作っている。もう何時間経ったのか。

私はお父さんのために焼き鳥を焼いたりブリを塩焼きしたり、できた魔法を覚えたり。


「ねえもうここに住みたいんだけど。」

「ていうかねむう。」

「寝ていーよ。僕まだ作業中。」

「襲われそうならアラーム鳴らします!」

「ええしないよ?僕ノッテ一筋。」

ちょww犬派からまさかの乗り換え。

「ノッテ超可愛いもんねー。ノッテお膝おいでー。」

「にゃー。」


とか言ってノッテを左手で撫でつつ佐々木さんはパソコンから目を離さない。

そうか。この人夢中になったら止まらない系なんだ。周りが見えなくなるんだ。

私はインベントリにある猪の皮を錬金術レシピに従って革にした。プールサイドにデッキチェアを作り革を張って仕上げ、その上に寝る。



「関屋さん関屋さん。ねえ、起きて。お待たせしてごめんね。関屋さんてば。」

少し離れた所から佐々木さんが声をかけて来た。

「おぁよ。」

私は目をこすりながら起き上がる。

「わー。やばあ。おぁよだって。かぁわいぃ。関屋さんの寝起き可愛いでちゅねー。」

うぜえ!この上なくうぜえ!!


「おはようございます。佐々木さん。私の時間にお帰りをご希望ですか?少々お待ちくださいね。」


「ちょ、まじでごめんて。壁作るのやめて。傷つくから!揶揄ったの謝るから!」

佐々木さんは両手を擦り合わせて私に拝み倒す。


「僕お腹すいたから帰っていちご消費に貢献しようと思って!今なら3パックはいけるよ!」

待て待て!ご飯がいちごとかなんなの!ww

「ご飯ちゃんと食べなよ。錬金術覚えたでしょ?材料あげるから。」

「ええ。僕ご飯のレシピないもん。」

私はナビさんにやり方を聞いてレシピを共有し、材料をあげた。


「何で筋肉飯なのww」

中山田きんにく君が考案した筋肉飯である。

「一番健康に良さげだから!!」

土魔法で作ったグラタン皿、底にオートミール米化を敷き詰め、その上にキャベツ、茹でた鶏胸肉、ブロッコリー、茹で卵を乗せてマヨネーズをガーっとかけ、醤油をかけた。

ちなみに中山田きんにく君は調味料をかけない。


佐々木さんは火魔法をバーナーにしてマヨネーズを焼く。うわあ!グツグツが美味しそう!

「筋肉マヨドリア!君もどうぞ!」

「ありがとう!」

おお!見ていた私の方にまで新しいレシピが登録された様だ!

そして、佐々木さんは勢いよくかっこむ。


「あち。あち。うまー。マヨ醤神だわー。オートミールの可能性を見たね!このプチプチ感よ!米化考えた人天才か!しかも超早うま!麦が米に勝った瞬間だね!」

オートミール信者がここに爆誕した。

いや、でも勝ってはないよね?!

空腹は最高のスパイスか!!

「美味しい!佐々木さんアレンジ力素晴らしいね!」

『バーナーで焼いただけでござるよ!』

ナビさんが二人でややこしいので、次まで名前を考えてくるのを宿題にした。


『報酬 二人の異世界記念日 魔法図鑑 佐々木蒼太好感度大幅アップ』


「わ!魔法図鑑だって!!」

私達はお互いの魔法を確かめて無いやつを送り合った。

「すっご。何この魔法の数。」

魔法図鑑に佐々木さんの作ったCGが表示される。これを今のこの間に作ったの?!

「発動エフェクトだけの短いやつだし、今回作ったのは既存の設定がしっかりしてる有名な魔法ばっかりだよ。」

「天才かも?」

「へへ。そんな煽てるなよ。」

あらやだめっちゃ嬉しそう。

佐々木さんが魔法創造っていうスキルをゲットしたみたい。

「ご馳走様でした!帰ろ。」

「そうだね。キリがないもんね。楽しかった。ありがとうね。」

「次はカリクも連れて来てあげて!」

「やったあ!関屋さんめっちゃ優しいね!!」

佐々木さんは満面の笑みで私に言った。

裏表は激しいけど思いの外素直そうな奴である。

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