1話 異世界ドリマナールにご招待
私の名前は関谷莉緒20歳。
無職。いわゆる引きこもりというやつである。
母親は高校生の頃に出て行った。
現在父親は関谷豊と二人暮らしをしている。
趣味は懸賞応募と、ネットサーフィンとゲーム。
嫌気がさして半年前に会社をやめた。
というより人の裏側が見えすぎて、心底疲弊してしまったのだ。
あの時の、湿った手の感触がまだ残っている気がする。
やめてみたは良いけど、次何をする気も起きない。
失業保険ももう無い。貯金は残業をして使う暇もなかったからまだ少しある。
なんせ引きこもりだから使う用事が消耗品のみなのだ。
化粧はしない、服は買わない。美容院は行かないし、シャンプーもリンスも家のを使う。ご飯は父が総菜を買ってきてくれるし、動かないからそんな食べない。
とにかく私は間食はしないし、ゲームは無課金勢だ。微課金すらしない。そこは拘りがあるのだ。なんせ時間がある。金を使いたくなければその分時間を費やせば良いのだ。ちなみに課金して時間も費やすのが一番強くなるのは言うまでもない。
スマホが鳴る。
「ああ、イベントの時間か」
と手に取るが、ポップアップがど真ん中に。
『当選しました。異世界ドリマナールにご招待 異世界アプリと転移特典 全魔法適正 アプリ内機能』
「はあ?閉じるボタンどこよ」
私は電源を落とす。そしてもう一度電源を入れた。
「良かった。何とかなった」
そして、いつものアプリを起動させようとタップしたら、そこに先程のポップアップが出てダウンロードが始まった。しかも他の操作ができない。
「うわ!最悪!!イベント間に合わないし!」
仕方ないのでスマホをポケットに入れてパソコンを起動。人間諦めが肝心なのだ。だというのにパソコンの画面にはポップアップが。
『スマホ側でアプリを開いてください』
「はあ?!え、怖いんだけど!!」
スマホを見ると、ホーム画面ではなくて、全画面の真ん中に、アプリを開きますか?の文字。そこにはOKボタンしか無い。
「ありえないでしょ」
電源を切ろうとするも切れない。
途方に暮れていると、なんとカウントダウンが始まった。
60とか10とかでは無い。
3……2……1……
私は何もない白い空間に居た。
「まじか。異世界来ちゃったやつか」
手の中のスマホを見る。
『魔力が充填されました。安全の為使用者制限をかけます。タッチして魔力を登録して下さい』
タッチどころか持っている手が既に画面に触れている。
『関屋莉緒 登録されました。一定距離離れると使用者に戻ります。マップ機能が実装されました。チュートリアルイベントが開始されます』
まじか。いきなりか。
『属性魔法の習得 火 水 土 風 報酬 身体強化』
「え?ノーヒント?意味が分からないよ」
私はスマホを見る。
「どうやって覚えるのよ。属性魔法」
『映像作品を参考にするとイメージしやすいです』
おお。検索機能付き。ていうかえらいアバウトな魔法だな。
「んじゃ、ウォーター……例えば水!」
我ながらローカルなネタを言ってしまった。
地元スポーツクラブのCMなのだが、親世代のもので私は多分当時まだ生まれてはいない。今はネットでしか見る事ができないが、同世代が集まる時、たまに飲みながら突然言って笑ったりするよく分からないが地元お約束ネタの様なものらしい。全国規模で言えばピアノ売ってちょうだいやむっしっしーみたいなものだと私は認識している。
それで目の前に現れたのはなんとプールである。いやまてまて。私はそのCMは知らないのだ。おかしいだろ何これ意味が分からない。なんだこれ!!
『水 土魔法を習得しました』
まてーーーーい!!それはさすがにおかしかろ!?
落ち着け。落ち着くんだ。変なものは想像してはいけない。
改めまして。
「えーと、じゃあ、た、種火」
指先にほんの小さな火をイメージ。よかった、火事にならなそう。私は火を消す。お次は風だ。
風って攻撃魔法のイメージが強いんだよな~。ウインドカッターとか……
と思うだけで目の前にウインドカッターが出て飛んで行った。
いや危ないわ!!




