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第十話 閃光舞い散る会議室

薄暗い会議室。

細長い机を囲む10人の宇宙人たちが、机の奥にいる私の方を指さした。

10個の指先がきらっと光った。


私の視界には10個の光が瞬いて、

次の瞬間、閃光が埋め尽くした。


10本の刺々しい光の筋が部屋を突き刺した。

壁に、床に、着弾した。

ところどころから煙が上がる。


しかし、そこに私はいない。

宇宙人たちは左右に頭を振って慌て始めた。


私は下に落ちないように、手と足の指すべてでぎゅっと天井を掴んで張り付いていた。

そして、それを話す。


またたびのように、うえから大の字になって落下する。

一人の宇宙人の頭上にストンと落ちて、彼の頭を両足で挟み、首を折った。

ぼきり、という感触と共にその宇宙人は地面に倒れ伏し、私はその背中の上に着地した。


「#$%&'()'&%$#$%&'()'&%」

わけの分からない言葉を話ながら、隣の宇宙人が飛び掛かってきた。

顔面目掛けて小枝のような手を振るって拳を投げ出してきているのだが、

その動きがあまりに緩慢で弱弱しく、私は軽く避けようとした、その時。


視界の隅で、ぴかりと閃光が瞬いた。

ズドン! と空間をくりぬく熱光線が隣の壁に着弾した。

わたしは膝を折り曲げて中腰になった状態で、その壁を見た。

間違いなく、直撃すれば死を免れないような一撃。


私は頭をフル回転させた。

結論が出た。


一番厄介なこのビームの射線上に他の宇宙人を置く形で立ち回れば、相手も同士討ちを恐れて何もできないだろう。


私は目の前の宇宙人の体に身を寄せた。

抱き着けるような距離まで一気に詰め、首ねっこをつかみ、ぎゅっと握った。

ぷぎゅっ、と音が漏れて、どさっと落ちた。


これであと9匹。


私は腰を落とした。

息を大きく吐いた。

気炎を腹の奥から、喉を通して、深々と、吐き出した。

目を見開いた。

まつ毛が跳ね上がり、瞳孔がカメラのピントを合わせるようにきりっきりっと狭窄する。


全身の筋肉を弛緩させる。


ぴかっ

ぴかっ

ぴかっ、と次々と、私をめがけて光線が放たれる準備が為される。


私は、拳を握った。

そして、弾丸になった。


部屋中を迸る光の光線を避けてかいくぐり、


壁から壁に飛び移り、天井を蹴って着地した机を割り、


宇宙人の頭を拳で撃ち抜くたび、加速していき、


こめかみを掠った熱光線の流れに逆行して立ち向かい、


私の身体の残像が描く線と光の線が交錯し、


一本ずつ、光の線が引かれて言って、


やがて、

私の爆進が生み出す残像の線もなくなり、私が立ち止ったころ、


放たれる閃光は一つもなくなっていた。



「はぁ、はぁ」

肩を大きく上下させる。


あれた息を整えようと深呼吸をした。


私の視界には、宇宙人の死体が散乱していた。

全員が床に倒れ伏し、部屋のそこら中からは熱光線でえぐられた壁の穴から煙が上がっている。


鎮圧完了。

その場に立っているのは私だけだった。


死体を無遠慮に踏み倒しながら部屋の入口に向かい、脱ぎ捨てた靴下と運動靴を回収する。

地面に落ちたセーラー服のリボンを自分の首にくるっと回して結びなおし、


私は

その会議室から出た。

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