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「そうだなだいたい一般的な宿だと個室があると銅貨4枚大部屋だと銅貨2枚食堂は別で食事をするならさらに料理によって値段が変わり少し良い所だと個室にベッドがあって銅貨7枚ほどコウキ殿が作った宿はベッドこそないが衛生面はしっかりしており風呂があるのが素晴らしいから銀貨1枚と銅貨3枚は取れるなどうせベッドも置くのであろうからな」
「そうだねベッドというか布団を敷こうと思ってるけど寝具って意味じゃ変わらないからベッドみたいなものかなそれにしてもそんなに高い宿なんて止まる人いるのかね」
「大陸間航行ってのは必ずしも旅人だけがするものじゃ無いからなやり手の豪商とかはもちろん金もそれなりに持っているし貴族なんかも旅好きな奴は多いからここの存在が知られれば繁盛はすると思う。しかし普通の商人や旅人用の安宿も当然あった方が良いと思うな」
「なるほどな宿自体はすぐ作れるしゴルゴが来たら聞いてみるか」
「ゴルドほどの大商人が多くの人間を連れてここに来るのだから乗組員も大勢いると思うだからここ宿だけでは賄いきれないのではなかろうか」
「そっか分かったじゃもう一軒安っぽいやつ建てとくは」
コウキはガロスと話した後丸太に魔力を流すとパパっと安宿を作っていった。旅館と同じく20部屋で食堂もある。コウキ基準なので当然水道トイレ完備である。風呂は旅館よりは簡素に銭湯のような感じで作られた。ただ一部屋の大きさは小さく各部屋に二段ベッドが置かれて4人部屋と2部屋に分かれ10部屋ずつ用意されていた。その宿を見たガロスはここでも十分に金がとれる良い宿だと思ったがもはや何も言わなかった。いずれはやり出せばコウキも気が付いてくれるだろう。
さて日も傾き始め無事に旅館と安宿を作り上げたコウキは満足した様子で旅館の脱衣所にいた。他にも親衛隊の皆アリス以外やガロスなどがいた。コウキは皆を誘って温泉に入ろうと規格していたのだ。服を脱いだコウキは中において置いた桶でかけ湯をして体の汚れを落としてから木で固められた湯舟に入っていく。普段から風呂に使っているコウキではあるがやはり温泉となると一味違う浸かった瞬間から体の中から疲れが一気に抜けていく感覚に酔いしれる。
「ふわぁーあああぁぁ疲れが吹き飛ぶぞいい湯だなぁ」
温泉の温度は引くときに一緒に川の水を引くように工夫され40度前後でとてもいい湯加減になっていた。温泉に入った瞬間に足の先から痺れたような感覚は今でもたまらない。体の芯から温まり癒されている感じだ。コウキが入ったのを確認するとみんな続々とかけ湯をして湯舟に入って来た。男湯と女湯を分けているのでアリスも奥さんたちやさしぶりの母親との時間を楽しんでいるに違いない。
コウキがゆっくりしていると隣にアレクとガロスが座った。アレクはまだ骨は折れているが傷はすっかり良くなっている。腕は包帯をした後硬化魔法で固められて水魔法で耐水性が上がっていた。
「村に住むようになってから大浴場で風呂に入るという習慣は出来ましたけどこれはまた格別ですね疲れが一気に抜けていきますよ」
「あぁたまらんなこれは中々いいものだこっちに引っ越して正解だな毎日温泉に浸かれるぞ」
「アレクにガロスも温泉を分かっているな温泉てのはな地面から溶け出した成分でとても体に良くなっているんだぞ小さな病気なら治るかもな」
「それは凄いですね体も温まり病も直せるとは」
「この時期の水浴びは辛いものがあったからななんでお湯につかるなんて発想が思いつかなかったのか不思議だ」
コウキ達が集まって温泉に浸かっているそばで親衛隊の隊員達も次々に温泉に浸かっていった。
「いやーコウキ様またとんでもない物を作り上げたもんだなこれで酒でもあればなぁ」
「クリス分かってんじゃねーかやっぱりいるよな酒」
「あぁ疲れた体を温泉で癒した後に火照った体にあのエールを流し込んだらたまんねーよ」
「それでなんだがな俺たちはコウキ様にあのボーナスとやらで酒を作って貰うことに決めたんだ」
「おいエトル俺は嫁さんって言ってるだろ」
「分かってるよ俺から頼むからよもう我慢ならんちょっとコウキ様の所に行ってお願いしてくるぞ」
「オイ待ってくれよ俺も行きてーよ」
「全くあいつらはいいなコウキ様から何か貰えるなんてよ」
クリスは体中毛むくじゃらで大柄な二人を見送りながら温泉を楽しんだ。
コウキが温泉を楽しんでいると前から大型の熊が接近してきた。前の世界だったら確実に命を落としていただろう光景である。
「どうしたんだ二人とも温泉楽しんでるか」
「もちろんですよコウキ様それであの時のボーナスの件なんですがね」
「ん?ボーナスって」
「え⁉コウキ様覚えてないんですか俺たち雪降る中頑張って走ったのにあんまりじゃねーか」
コウキが冗談ぽっくとぼけていると大柄の二人はしょんぼりして小さくなってしまった。
ちょっと面白い。
「ハハハ冗談だよ二人ともなんて顔してるんだよ」
「脅かさねーでくださいよ楽しみにしてたんですからね」
「ごめんごめんそれで何が欲しいんだい」
「はい俺は酒が欲しいですこの村は気に入ってるんですが酒が無いのが残念でならねぇなんとかなりませんかね」
「酒かまだまだ食に関しては整ってなかったからな酒なんて考えて無かったぞそれで皆はどんな酒を飲むんだ?」
「それはコウキ様が考える酒で構いませんよこの島独自の物で構わねー」
「よし分かったぞ二人は酒が欲しいんだな分かったよ」
コウキはエトルから酒の話を受けて次やる事は酒作りに決めた。それをみたコディアックは焦ったようにコウキに自分の願いを出す。
「ちょっと待ってくだせーよコウキ様俺は嫁さんが欲しいんだなんとかならねーか」
「え⁉それ俺に言うのか?村には独身の女性っていないのか?」
「いるにはいるんですよただ俺はエルフの嫁さんが欲しいんだコウキ様が花畑で楽しそうにしてるのを見てな見とれちまったよ俺もあんな風になりたい」
「ん?花畑って二人で行ったはずだけど」
コウキがコディアックの話に疑問を抱いていると横にいたアレクが立ち上がりコディアック頭をこずいた。
「いてっ!何するんですか隊長あの任務は極秘だって行っただろなんでコウキ様に直接話してるんだよバカ者」
「あっ⁉そうだったいっけねーや」
「何となく話が読めたぞアレクあの時こっそりついて来てたな」
「確かにそうですけどコウキ様はこの村のトップなのですよ一人で外に出れるわけないじゃないですか全くコウキ様は少し危機管理が甘いのですよ」
なぜかコウキが起こられてしまった。何かがおかしい。
「それでなんでエルフの嫁さんなんだよそれにそれは俺に言ってもどうしようも出来ないぞ」
「そこをなんとかコウキ様の口からステラさんに口添えしてもらった紹介してもらえませんかねあの時からエルフの金髪とかとにかく魅力的でしょうがねーんだ」
コウキはコディアックの話を聞いて大変共感できた。確かにステラはとても綺麗だと思う。ましてあの花畑の時など一面の白に金髪とルビーがとても似合っていた。
「あっコウキ様がにやけてやがるぞ羨ましいな」
「分かったからからかわないでくれよステラに聞いてみるからそれにもしエルフの子が来てくれてもそこからどうするかはコディアック次第だぞ」
「任せてくれ俺たちは泣く子も黙るクロスのナイトですぜ押して押して押しまくるぜ」
「まぁ頑張ってくれ」
コウキは親衛隊の皆やガロス達と温泉を堪能したのだった。




