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「ちょっといいかなドルトン俺がやるよ」
ドルトンからピッケルを受け取ると先端に魔力を集め出した。一点集中結晶に狙いを定めると一気に振り下ろした。
パキンッ!という済んだ音がして結晶の狙いを定めた所から綺麗に真横にヒビが入った。
続けざまに2発3発と打ち込んでいく。するとヒビが広がっていきやがて結晶の半分が滑り落ちた。
「コウキ様良かったのですか?こんなにも綺麗な結晶を割ってしまって」
ドルトンは後ろでほおけていたが、コウキが作業が終わったのを確認すると急に意識を取り戻したようにこっちにかけてきた。
「どうしたんだよ急にびっくりするじゃないかドルトン」
「いえコウキ様良かったのですか?あそこまでに美しい結晶はきっと最上級品ですよ?
それにあそこまで大きなものは国宝級の宝ですよ」
「うーんそうかもしれないがな…」
国宝級の宝石と言われても使わなければただの石と変わらないし、既にこの島には国宝と呼べる宝玉があるしな。それにその宝玉は置いておくだけで回りにエネルギーを与えていてアダマンタイトの巨大な結晶なんかとはくらべものにもならないものだ。いわゆる神器といっても良いだろう。それに国宝と言うなら結晶よりも鎧にした方がかっこいいかもしれない。いずれはミキに譲ることも考えたらやはりこれは装備に使った方が良いだろう。
「まぁドルトンが言うことも分かるがな。これから俺はこいつで鎧を作ろうと思っているんだ。これからステラの親御さんに合わないといけないしな。ここは正装としてしっかりしておきたい。それに将来的にはミキに着てもらいたいからな。ここはこいつを惜しげもなく使おうと思ってるよ。」
「なるほどさすがはコウキ様だ。」
「よし!ドルトン、くもまるすぐに帰るぞ。ふん…あ持てない」
「コウキ様私が工房まで運びますから無理はしないでくださいね」
「すまん」
半分になったとはいえまだまだ自分と同じくらいのサイズがある。一人で持てるはずがなかった。勢いで持ち出そうとして見たのだがびくともしなかった。代わりにくもまるが持ってくれたのだが簡単に持ち上げていたよ。まぁ言ってもしょうがない事だけどこういうところで種族差が出ると感じる。採掘場のマグマ溜まりを守っているくもまるは自分と大きさあまり変わらないのにな。そんなことを気にしてもしょうがない。力がないなら知恵で勝負だ。早速工房に帰ると作業を開始した。
まずは取って来た結晶を溶かして抽出していく。炉で溶かし不純物を取り除いて純度を上げていく。まず甲冑の構造だが皮のパーツと鉄のパーツを組み合わせることで二本特有の柔らかくしなりのある鎧が出来上がっていく。胴当てなどは硬く作り肩当てなどは柔軟性を取り入れて作っていくのだ。皮のパーツについては今アレクがスカイドラゴンを乗りこなそうと日々訓練に明け暮れているわけだが向こうの地域でグランドドラゴンを狩って来た。その皮を使おうと思っている。ドラゴンの皮はとても柔らかいが耐久性がありとても軽い。防具を作る上ではかなりいい素材になるだろう。そして何よりかっこいいのが兜に付ける角だ。グランドドラゴンの角を上手く活用して人のサイズに合わせるように削り加工して作り替えてた。これがかなりの味があり取って来た鉱石と合わせればかなりいい感じになるだろう。鉱石の抽出が終わると型を取ってパーツを作り上げていった。胴当て、肩当て、籠手、脛当て一つ一つ型を取っていった。次に鎖帷子だがこれは作り方が分からなかったので魔力を通してイメージをして作っていった。
さぁいよいよクライマックスだ。グランドドラゴンの皮と取って来た鉱石のパーツをリュディア糸を使って縫い合わせていく。ある程度作ると肩当て、腰当それから鎧に付けて行く。最後に兜に角を付ければ完成だ。
「出来た!凄いぞこれは」
鎧は結晶の力を帯びており紺色の中に白い光が輝いている。それが甲冑全体に広がり光り輝いている。グランドドラゴンの皮は黒いため紺色と上手く組み合わさりいい塩梅だ。
そのまま蜻蛉切の刃の部分も仕上げていった。
出来た鎧を着てみて感動した。学生の頃憧れていた武士の正装戦う場においてかなりの圧力とインパクトのある鎧武者がまさか自分になるとは思わなかった。腰には宗三左文字も刺し槍を持つともう完璧だ。それ村でも回ってやろうか。いや先にミキに見せよう。
さっそく工房の自分専用スペースを飛び出した。
「コウキ様出来たんですか凄いですねこれ!」
工房で作業していたリーノがこちらを見るとかけてきた。甲冑を目を輝かせながら眺めている。やっぱり男の子は鎧に憧れるのだ。しかもヨーロッパ風の細いシルエットの鎧ではなく日本式のかなりごつい鎧だ。これはかっこいいに決まっている。
「どうだリーノかっこいいだろ」
「はい!今まで見たことない形ですけど大きくてかっこいいですね」
「だろしかもなこう見えてこの鎧はかなり軽いんだよ。あの鉱石は凄いな」
「あぁあの鉱石はなんという名前なのですか?港で勝った鉱石の資料にもああいった鉱石はありませんでしたよ?」
リーノは牛皮に挟まれた紙の束を見せてきた。かなり勉強熱心なようで感心だ。最近では商人が増えたことでこの島にも外の情報がかなり入ってきている。これは中々いい傾向なのかもしれない。
「そうだなきっと特殊な力が加わって新しく精製された結晶だと思うんだよな。だから特に名前はないと思うんだ」
「それは大発見じゃないですかせっかくですからコウキ様が名前を付けてくださいよ。新しい物は発見した人が名前を付けるべきですよ」
「んーそうだな名前か」
改めて言われると確かにそうかもしれない。この鉱石の特徴は良く分からないが魔力は籠っているし紺色がベースに白の光がきらめいているように見える。まるで夜空にきらめく星のようだ。ステラやミキの名前の由来にもかなり似ているように感じる。
「スターダストだスターダストにしよう」
「スターダストですか?」
「あぁそうだ星屑って意味なんだけどなこの鎧も夜空に星がきらめいているようにみえるだろ?だからスターダストストーンっとなずけようと思う。」
「素晴らしいですね。いい名前だと思います。」
「じゃリーノ俺はミキに見せて来るよ」
さっそくコウキは家に帰っていった。まず反応したのはシルバーだ。やっぱり男の子は鎧に憧れるものだ。よし今度鎧を作ってやろう。
「お父様お帰りなさい。それでその鎧かっこいいですね。」
「そうだろうシルバーは良く分かってるじゃないか。かっこいいだろうこれ」
ついついシルバーを抱き上げた。何て素直な反応な事だろう。それに鎧に対してこの反応。さすがは我が魔力の交じった息子だ。こういうことには敏感なのだろう。
シルバーに続いてアレキサンドラもこっちに来てくれた。アレキサンドラは新しい蜻蛉切に興味深々なようだ。ふむこちらにも気が付くとはさすがは我が息子。この蜻蛉切の良さが分かるとは良い目をしている。女子三人組は特に興味がなさそうだがいちようこちらに来てくれた。ある程度子供達と遊んでからミキの所に向かう。
「ちょっと待たんかコウキよ」
「どうしたんだよリュディア今忙しいんだが何か用か?」
「ソチはそんな鋭い刃を持ったままミキの所に行くつもりか?」
しまったついつい皆に褒められて舞い上がっていた。まして自分は武器の素人だ。万が一にもミキに蜻蛉切が倒れたらとんでもない事になる。何よりステラに怒られるのだ。
「ごめんごめんこれ預かっててくれ」
「やれやれほれはよう貸さんか」
リュディアに蜻蛉切を預けるとミキの部屋に入っていった。
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