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港からラミスが到着すると連絡の入ったコウキは急ぎ魔道車で港に向かっていた。先行してきたこともあり車にはアレクしか乗っていない。そのためあまり車内での会話は弾まなかった。まぁそれでも良かったのだ。
基礎を作ってからの数週間はふわふわと落ち着かない数週間だった。今まで何か別注できることがあったためラミスの事を考えずに過ごせていた。しかしこれだけ準備をしていよいよ来るということになるとさすがにコウキも他にことが出来なかった。そのため特に作業することなく学校に行くことだけで過ごしていたのだ。そのため作ろうと思っていた蜻蛉切も作れずにいる。
それにしても話下手のアレクには色々と苦労を掛けたかもしれない。何かと興奮していたため車内ではコウキが話しかけては返事をするという流れが出来上がっていた。港に着くころにはアレクはへとへとの顔になっていた。しかし何か目的を見つけたコウキにアレクの顔など見えるはずもなかった。
「よし着いたぞアレク行くぞ!さぁってどんな人たちが来るかな。どんな家を建ててあげようかな。ベーグ達は上手くやってくれたかな」
「そうですねコウキ様」
「そうだろう」
ついてからもコウキのおしゃべり攻撃はやむことなく停泊所まで続いた。停泊所では半分のスペースが開けられ今日は商人の出入りは減らされていた。そしてガロスが指揮を執りいつでも入港できるように準備が出来ていた。そしてちょうど体感で朝八時に差し掛かるかというところで入り江の方から侵入してくる三笠の姿が見えた。
「来たな」
「そうですね」
コウキは船を発見して安心すると同時に隅の方に立っているシャークを見つけた。
「やぁ君はシャークだろ。良くやってくれたなありがとう」
隠れていたつもりだったシャークはいきなり声をかけられてびっくりした。しかも話しかけられた相手はこの島の主コウキだ。驚いて声も出なくなっている。
「そうだよな。感動だよなうんうん」
シャークが驚きながらもなんとか頭をぺこぺこしていると頷いたと受け取ったのだろう笑いながら肩を叩いてきた。そして船が停泊すると手を引っ張られて船に近づいていった。
船が完全に停止すると橋が架けられた。そしてまずは三笠からスラムの人たちが下りて来る。皆目を輝かせて周りを見ていた。ムーの港はどんなところか知らないが家だって負けてない立派な作りのはずだ。作りもオリジナルだしかなり気に入っている。魚人の皆でもこの港は凄いと感じるのだろう。
いったん降りてきたスラムの皆はシャークが入り切って広い場所に案内をしていた。三笠が下ろし終わると橋が外され次の船次の船とドンドン移動して橋を架けては下ろしていった。そしてアレが人魚族なのだろう貨物船の横のハッチを開けると中から海に向かって足のない魚人の人たちが海に飛び込んでいった。
スラムの皆が全員降りてくると港は凄い事になっていた。ラミス達も縄を使って起用に降りてきている。
「さしぶりだなラミス元気そうで良かったよ。」
「コウキ様ただいま帰りました。無事にたどり着くことが出来て良かったです。」
「それは良かったよ全員無事そうで良かった」
ラミス達が話しているとブラック達が下りてきてコウキ達の所まで来た。シャークもしっかりと後ろに控えている。
「コウキの旦那俺たちに救いの手を差し伸べてくれて本当に感謝している。ありがとう」
ブラックは達は一斉に頭を下げた。ブラックタイガーの船員たちもみんな頭を下げていた。うんこれで一つの区切りがついたということだ。よしこれからは心機一転心を入れ替えて頑張ってくれればそれでいい。
「皆お疲れ様それで早速なんだけど皆がどんな家に住むのか分からないからさ色々と教えてもらいたいんだけどとりあえず住む場所まで行こうかシャークは人魚の皆さんを案内してあげてくれないかなフロスがその場所まで案内してくれるから。頼んだよフロス」
「お任せくださいコウキ様行くぞシャークよ」
「すまない」
フロスとシャークは海に飛び込んでいった。そのまま人魚の皆さんを連れて泳いでいった。コウキ達も早速移動することにした。
「ここが今日から住んでもらう場所なんだけどな。とりあえずどういう家がいいのか聞きたいんだ。」
「コウキ様何もないようですがこれはいったい…」
ブラックは連れて来られた場所が何もなかったため驚いた。さすがにいつ来る分からずどんな家がいいのかも分からないとはいえ2000人強が野宿しながら今から家が出来るのを待っているのではさすがに辛い。材料となるものは色々置いてあるようだがそれにしたって遅すぎる。コウキの力を知らないブラックは騙されたのかと思ってしまった。
「あぁそういえばブラックには話をしていなかったな。俺の力の事をな。とりあえずどんな家がいいのか言ってみてくれないか?」
「そうですねどうと言われても普通の家というかスラムでは木造の家に基本的には生活しておりましたがそれは資源やそもそも技術が無かったというのが理由で何でも構いませんよ」
「そっかじゃ俺がやってみたい家があったんだよ見ていてくれよ」
コウキは早速家のイメージを固めて行く。そのイメージとはギリシャに出て来るような真っ白の壁をした家だ。実は外国に憧れていたコウキはその国の生活の特徴などにも興味を持っていた。特に家の形などはその国によってかなり変化があり楽しみの一つでもあった。そして今まで作って来たのはまずは木造の家これは初めの家だったのであまりこだわりなく作った。次にレンガが出来ると中世ヨーロッパのようなレンガ作りの家も建てた。レンガ作りの家が並ぶ中々いい景色で結構気に入っていた。そして旅館というバリバリの日本建築。これはかなりの自信作だ。この港の観光の名所にもなっている。
そして今回作るイメージはギリシャの真っ白い壁の家だ。あれは壁に石灰で塗装をすることによって真っ白になるというものだ。一面真っ白の景色はとても美しいのだ。
その景色も合わせてリゾートのようになればいいなと思っている。
いきなり海の上に作るのは驚かれると思ったので半分ほどの割合でいる人種の人のために陸に作っていく。基礎はレンガと石で固めて上は木造で作り上げる。そして家全体に石灰で塗装加工をしていくのだ。
コウキはこれを一瞬で作り上げた。それを見ていたブラックは仰天してしまった。何もない場所にいきなり家が建ったのだ。しかも全体が真っ白でとても美しい作りになっているのだ。当然スラムの民も驚いていた。
「これはおどろましたまさか家を作る事が出来るとはそれにこんなにも美しい家を頂いていいのですか?」
「あぁもちろんだよ中もちゃんとそろっているぞ」
水はまだ引いていないがあらかじめの基礎工事をやっていたおかげで下水処理は出来上がっている。海に作るものはパイプを使って処理をする予定だ。
「よしじゃこの家で作っていくぞ」
コウキは材料全体に魔力を飛ばすとギリシャの街並みを一気に再現していった。
スラムの方には申し訳ないのだがあえて山は残して傾斜を作った。本当はバリアフリーの平らな街が良いとは思うのだがコウキのこだわりが勝ってしまった。本当に申し訳ないと思っている。コウキのイメージによって一気に町が形成されていった。まずはメインストリートだ。二本の大きな道を中心に海に繋がるように山から道が下ろされていく。その道から横に細道が広がりその道に沿って家が建設されていった。陸地の家が出来ると次は海上都市の建設だ。海上の道は迷ったのだが木材で作った。イメージとしては海賊街のようなイメージだ。家の壁は白いが町並みは下町のような懐かしさすらある。
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