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話し合いを終えたコウキはひとまず家の基礎を作るためにフロスと共にリザードマンの集落周辺の海に来ていた。
「この辺に家を作って魚人の皆の集落を作りたいんだけどさ。この辺の海域ってこの海域限定の特別な生き物っている?」
「はて?それはどういうことでしょうか?」
なるほどこの世界ではあまり生態系を守るなどの考えはまだ浸透していないのかもしれない。歴史を見ても交易船に紛れて乗って来た害虫や家畜が野生化して立ち寄った島の生態系を破壊してしまったなどは良くある話である。まして今後この辺りをリゾートとするのであれば貴重なサンゴ礁などがあるのであれば是非とも保護しておきたい。
「そうだな地域限定の動物とか植物ってこの海にはいないかな」
「そうですね普段潜っている感じだとそういった特殊な生物が生息しているという話は聞いたことがありませんね。ただサンゴ礁でしたら私達が保管しておきましょうか?」
「そんなことできるのか?」
「はいもちろんですよ。さすがに全てとはいきませんがある程度でしたら可能です」
「じゃよろしく頼むよ。ここに魚人の皆が来た時にサンゴとかはあった方が良いと思うからさ。ベーグがここに人魚族の皆のために家を作ってくれると思うから来たらいい感じに仕上げてあげてくれないかな」
「分かりました任せてください」
「その作業はいつ頃出来るかな?」
「今すぐにでも出来ますよ。皆を呼んできます」
フロスはすぐに集落に戻って行った。そしてリザードマンの戦士の皆さんや集落の皆さんが総出で海に来てくれた。既にフロスの指示を聞いていたらしくドンドン海に潜って言ってくれている。それから30分ほどだろうかリザードマンの皆が戻ってきてくれた。
「コウキ様ある程度はサンゴをこの海域から除去してあります。元々魚などは漁場だったので住処はあまりありませんので自由にやっちゃってください」
「分かったありがとうこれで心起きなくやらせてもらうよ」
リザードマンの皆は満足しながら帰っていった。海の中がどうなっているのかは分からないがいい仕事をしてくれたようだ。
リザードマンの皆が帰っていったのと入れ替わるようにアレク達が大量の魔鉄鋼製の鉄骨を運んできてくれた。くもまるも手伝ってくれているので管理の量がある。船を作った後もベーグ達が作り続けていた事もあり倉庫にはかなりの量があるためまだまだ余裕があるだろう。
「ありがとうなアレク」
「私は何もしておりません。その言葉はくもまる殿にお伝えください」
「あぁもちろんだありがとうなくもまる」
感謝を伝えると前足を上げて答えてくれた。とてもかわいい。
さてと。頭の中で土台のイメージを組んでいく。イメージとしては海の中に小さなタワーを沢山作るイメージだ。タワーと言っても日本にいたことに当たり前のように見ていた東京タワーあのイメージで作っていく。東京タワーというのは構造的にはかなりしっかりしている。あの構造なら水の流れをあまり邪魔することなくしっかりとした土台を作る事が出来るだろう。しかも今回2000人の生活できる建物ということだが今回作るのは施設である。特殊な魔力で自分の魔力は関係ないのでドンドン作る事が出来る。
2000人一人一件というのは難しいので三人家族と考えても900世帯分だろうか他にもリゾート用の施設も作らなければいけない。確か話では人種もいるということなので半々と考えて1000人その中に人魚族がいるとしても800人から900人だろうか。
つまりひとまず300世帯分の家をとりあえず目指して作っていく。
300世帯の家ということは300本のタワーをある程度の間隔をあけて建てていく。土台にしていく鉄骨には既に色々と魔法をかけて体制を付けている。また鉄骨でタワーを組んだ周りに岩を付けて固めていった。こうすることによりこの鉄骨の周りに新しい環境が出来てくれればうれしい。
「ふぅいい感じに組めたな」
今回の事で色々と分かったのだがだいぶ自分の索敵能力と空間認識能力が上がったのではないだろうか。薄い魔力の波を飛ばす魔力レーダーだがかなり広い範囲まで認識できていた。改めて自分のレベルも上がっているのだなと感じた。
「コウキ様作業はどうなりましたか?終わりましたか」
「あぁ完璧だぞアレク。後は家を建てるだけさ。よしじゃあ帰ろうか後はラミス達が帰ってくるまでゆっくりしておこう」
コウキはいったん旅館に戻るとステラとミキの三人でもう一日港を楽しんでから村に帰って行った。
ベーグ視点
ここは火山の一角リザードマンの集落から少し離れた所。ベーグ職人達は山に集まって来ていた。
「親方どうします?」
「そうじゃなまずは海に運ぶ手段をしてスロープを作らなければいけないんじゃがな。
思ったよりも坂が無いのぅ。」
ベーグ達が立っている場所は確かに山肌であるため傾斜があるにはあるのだが造船所のように滑らせて落としていくような方法は使えないだろうと考えていた。
「ベーグよどうやって海まで運ぶんじゃ?」
「そうじゃなまずはどれほどの重さがあるのか調べてみないことには分からんのぅ
グロッテよだいたいの大きさで切り出せ」
「あいよ」
グロッテたち若い世代の職人はベーグの指示によって魔法を駆使しながら3×3メートルほどの大きさで岩を伐り出して行った。
「これくらいでいいですかい親方」
「そうじゃなまずはこれくらいでやって見るとするかのぅ」
切り出した岩にピッケルを当てるとガンガン削り出して行った。ある程度掘っていくと見事にくり抜かれ箱状の岩が出来上がって来た。
「こんなもんかのぅ中々いい出来じゃしかしこれは中々重たいぞ」
ベーグは見事に箱状の岩を掘ったのだが若い衆に持たせてみても全く持ち上がらなかった。
「これなら直接海底の岩を掘り出した方が早いぞ」
「これは中々困った物じゃな」
「例えば水中にブロックのように切り出した岩を並べて家を組むというのはどうじゃ?」
「それならば問題はないじゃろうがカンテよ。しかしどうやって組むのじゃ?」
「例えばこの岩をこうして小さくしてのぅ」
カンテは岩をレンガほどの大きさに二つ切り出すと凹凸のような形に削っていった。そしてそれを合わせて一つのブロックにしていく。
「こうすれば小さくして持って行って向こうで組んだ後海の中に落とすということが出来るじゃろしかもこの小さなものならば運ぶこともたやすいぞ」
「確かにこれであれば簡単に運ぶことが出来るのぅよしこれで行くかグロッテもっと小さく切り出すんじゃ」
「あいよ」
1つ決まると早いのがベーグ達ドワーフの職人たちだ。長年のチームワークから岩を削り出す組とブロックを作っていく組みに分かれてドンドン作業をしていった。
出来たブロックからくもまるやドワーフの村の皆が海辺運び出して行った。ある程度運んだところでベーグ達はいったん浜に戻ってブロックを組み合わせていった。そして一つの岩の家をくみ上げていった。
「中々いい仕上がりじゃのぅこれならば十分に水中の中でも耐えうるぞ」
ブロック同士で下手に圧力がかからないように均等な大きさ形を作って圧力もかからないように配慮してある。しかも箱の形ではなく丸みがあり人が生きていくうえで圧力がかからないような雰囲気が感じられる作りとなっている。
「よしこの家は沈めておいてくれこの作業をドンドンやっていくぞ」
ベーグ達はこの作業をラミス達が来るまで続けていくのだった。
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