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世界最強の観察者  作者: 十卡一
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第91話

見事別々のグループに分けられた俺、 ニルヴ、 アルフレッドさんは、 それぞれA、 B、 Cというグループ分けになった。

そして、 その後順番にバトルロイヤルが行われる形式為、 俺は2人よりも先に闘技場へと出向くことになった。

「頑張ってくるんだよ、 ゼン君」

「こんな所で負けるでないぞ!」

俺は2人から背中を叩かれ激励を受け、 歓声と拍手で包まれている会場へと足を進めた。

会場に出た瞬間、 その歓声に俺は身体全体がビリビリと震える感覚に驚いていた。

初めはただ単に、 俺が使えるスキルを増やしたいという思いで参加した闘技大会だったが、 こんなにもワクワクするものだとは思っていなかった。

思えば戦闘自体は何度か行ってはいたものの、 こういう場面での戦闘は初めてだ。

『さぁーーー! まずはAブロックでのバトルロイヤルでぇーーーす!!』

耳を劈くような大音量の声量に、 観客として集まっている人々は更に湧き上がっていた。 そして、 司会を務める人物はルーティンの如く粗方のルールを説明していく。

バトルロイヤルでのルールは至ってシンプルだ。


①制限時間無制限


②ルール違反、 無し


③あらゆる武器、 スキルの使用可能


④参加者は「リタイア」と公言することで離脱することが出来る


⑤1ブロックのバトルロイヤルが終了するのは、 残りの人数が4人になるまで


そして、 ⑥大会中の怪我()は全て自己責任


それはつまり、 ()()()()()()()()()()()()()()問題はない…という意味だと俺は捉えた。

説明が終える頃にはAブロック全員が闘技場に集まり、 入場してきた入口は固く閉ざされてしまった。

「アランの野郎…安全はどこいったんだよ」

バトルロイヤルとは名ばかりの、 単純な殺し合いの見世物なのだろう。

そう感じた俺は、 Aブロックの参加者の面々をよく見ると、 いかにも殺しを目的としている面構えの人間がチラホラいた。

こいつらの狙いは大方予想が着く。

散々弱そうな者達を殺しておき、 いざ自分が危なくなったらすぐさま「リタイア」を宣言して離脱するのだろう。

そして、 そのような人物達を探していた時、 一人のローブを着た人物を見つけた。

「…まじか」

アルフレッドさんの情報通り、 ガルヴと共に居た彼女こそが、 あの噂に名高い『ローブ』だった。

闘技場に集まっているAブロックの面々も、 彼女の存在を確認するや否や距離をとっていた。 間違いなくこの場で最も警戒すべき相手だろうな。 今までの闘技大会では1度もスキルを使用せずに優勝してきたという、 そんな噂にも信憑性が出てきてしまう。

その時、 会場中に響き渡る程の開始の合図と共に参加者達は次々の近くの相手へと攻撃を仕掛け始めた。

「悪ぃな、 ガキだからって手加減してやらねぇぞぉ?」

俺の近くにいた参加者も、 いいカモを見つけたと物語るような笑みを浮かべながらゆっくりと近付いてきていた。手に持つ鎌をわざと魅せるようにクルクルと回転させ、 俺に威圧を放っていた。

あ、 こいつ、 俺の事殺す気じゃん。

殺気が混じる威圧に、 俺はすかさず距離を取り直した。

「おや、 気付いちまったか…。 ただ、 恨むんならこの大会のルール…そしてそれに参加した自分を恨むんだなぁ!!」

男は鎌を構えて俺に突進してきた。

大きく構えた鎌は、 予想通りの動きで薙いできたが、 流石にそんな予測出来ている攻撃には当たらない。 俺は1歩後方に大きく距離を取り、 横薙ぎの攻撃を躱した。

「おじさん、 流石に舐めすぎ」

俺は『竜の血』で身体能力を大幅に強化し、 渾身の拳を男の腹部へとねじ込んだ。

攻撃が来るとは分かって腹部に力は入れていたようだが、 流石にこの威力で拳が放たれるとは予想してなかったのだろう。 男は一撃を受けた後、 白目を剥いてその場に倒れ込んでしまった。

「ふぅ、 1人目…っとと」

安堵するのはまだ早かったようで、 その隙を見逃さずに飛んできた矢を俺は何とか躱しきった。 その矢は俺の後ろの壁に衝突したが、 その瞬間、 壁をも破壊する爆発が巻き起こっていた。

「…受け止めなくて良かったわ」

飛んできた角度から推測した射撃位置に立っていたのは『ローブ』だった。 その姿を確認出来たのは一瞬で、 人で視界が遮られた瞬間には既にその場からはいなくなっていた。

普段は暗殺かその同系統のものを生業としているのか、 その動きは全く予測出来なかった。 恐らく先程の射撃位置から動かなかった事も、 自分の存在を刻ませる為の一撃だろう。

「こりゃ…うっかり殺されないようにしておかないとやばいな…」

私にはそれが出来ると言わんばかりの余裕をみせられた俺は、 再び竜の血で身体を強化させ、 俺を狙ってくる相手達に次々の腹部へ一発お見舞いしてゆく。

「そこのガキ! こっちをみろ!!」

俺は突然かけられた声の方を見ると、 そこには小太りの男が小さな女の子の首筋に刃を立てていた。

小さな女の子は今にも泣き出しそうに瞳に涙を浮かべており、 助けを懇願するかのような目で俺を見ていた。

「おめぇ、 結構つえぇみたいだなぁ。 でも、 この状況ならどうする? へっへっへ…このガキ助けたかったら今すぐリタイアしな!」

「お、 お前……バカなのか?」

俺はポーチから取り出したナイフを男の足元まで投げ、 一瞬で移動した後、 移動する前に構えていた拳を腹部にねじ込む。

「人形使い…だろ?」

男は気絶してしまい、 本人の口からは答えは聞き出せなかったが、 その答えとして小さな女の子はすぐに木製の人形へと戻りその場に崩れていった。

『人形使いスキル: 傀儡マリオネットを取得しました』

『観察者』のお陰で気付く事が出来たが、 まさかこんな作戦を立てている参加者がいるとは思っていなかった。

「あら、 意外とやるわね…貴方」

気絶した男のすぐ後ろに立っていたのは『ローブ』だった。

「なぁ、 君は一体ガルヴとどういう関係なんだ?」

俺とニルヴのように主従関係だと初めは推測しているが、 どうもそんな気がしない。

完全に感だが。

「あら、 どうしてそんな事をきくのかしら」

「何となく…としか答えられない」

こればっかりは感でしかないので、 理由なんて答えられるはずもない。

「何となく…君が向けるガルヴの視線が気になっただけだ」

その瞬間、 ローブは短剣を俺の首元目掛けて突き出してきたが、 俺はそれをナイフで既の所で受け止めた。

「いきなり攻撃たぁ、 動揺してるな?」

「だ、 黙りなさい! それ以上言うなら……殺す!!」

ローブの動揺の仕方はあからさまだった。 まさに図星を付かれてしまったという反応にしか見えない。 動揺に任せて振るうナイフは先程の射出力がまるで嘘のように遅かった。

「べ、 別にアイツの事なんて……なんとも思ってないわよ!!?」


…絶対嘘じゃん。

「…絶対嘘じゃん」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!?」

思っていた事がつい口から漏れてしまい、 その言葉にローブは赤面していた。


あ、 そういうこと?

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