表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/65

第48話 魔王軍幹部 タルポ 3

「テュケー!どうしてここに?」


「なんだか街が騒がしくなったと思ったら、曲の盗難があったらしいわね。それを聞いてカヅキたちが向かったって言う方に向かって見たのよ。装備を整えていたから遅くなったんだけど」


どうやら先ほどのタルポの傷はテュケーがつけたものらしい。タルポは苦しそうにこちらを見る。どうやら傷はかなり深いらしい。

それを見たクロノスがさらに斬りかかりにタルポを襲う。クロノスは剣を振り上げタルポを斬りつけようとする。が、そこでタルポの周りに人が飛び出す。

数十人の農夫のような姿をした人たちがタルポを守るように立つ。見ると女の人や子供もいるようだった。


「な、なんだ? どうなってるんだ?」


クロノスは不思議そうにその様子を見る。そして、一旦こちらに戻ってきた。


「ダメか!? トドメが刺せてない!」


クロノスが叫ぶ。その様子を見たイリスが駆け寄ってくる。


「どうやら操られていたのはあの8人だけじゃないみたいですね」


「それにあいつが魔王軍幹部なら、まだあれが残ってるわ」


テュケーが指す『あれ』とは禁忌魔法のことだろう。魔王軍幹部のみが使うことができる禁断の魔法だ。


「はぁ……はぁ……行きなさい! 」


すると一人の男がこちらに向かって走り出す。走ってくるのは初めてだったのでこちらも怯んでしまう。

するとその男は大声で叫んだ。


『セルフファイアワーク』


「まずい! 離れろ!」


クロノスが叫ぶ。その声を聞いて、俺とテュケーはすぐにその場から離れる。プシケは盾を構えてイリスを庇う。クロノスも何か魔法を呟いて自分の防御を上げたようだ。

そして次の瞬間恐ろしいほどの爆音が平原に響く。既に日は落ちているはずなのに、一瞬だけその場が昼間になったようだった。

その後煙が立ち込めて、視界を遮る。煙が晴れてくると、そこにはその農夫であった灰となんとか爆発に耐えたプシケ、イリスそれにクロノスが立っていた。


「惜しいわね」


タルポが呟く。それと同時に、クロノスが叫ぶ。


「てめぇ……! クソ野郎が! どうやった!?」


恐ろしいほどの怒りをひしひしと感じる。市民を守る騎士団として許せないのだろう。その様子は、ラムス以上だ。


「別に? 簡単なことよ。操って自爆魔法を覚えさせただけ。それだけよ」


タルポは苦しげにしながらも笑う。


「けれども……美しいわよねぇ? 難易度は低めにしたんだけど、この威力。自らの命と引き換えにするだけはあるわ」


クロノスは歯をくいしばる。そして剣を壊れるくらい握りしめると、タルポに向かって斬りかかる。


「おっと。近づかない方がいいわよ? 私は全員を爆発させられるわ」


その言葉にクロノスの動きが止まる。どうやら怒りに支配されてはいないようだ。


「さてと……。私は逃げることにするわ。元気でね」


「ま、まて!」


「またないわ♪」


そう言ってタルポは二人の農夫に抱えられながら、去っていく。そして、タルポは最後に農夫たちに命令をかける。それを聞いた農夫たちはゆっくりと街の方へ歩いていく。どうやら街で自爆するように命令が入ったようだ。


「お、おい! どうするんだ!?」


「回復魔法で操るのを止めるしかないわね……」


「なら俺が街に戻って医者や神官を集めよう。幸いあいつらは走らない」


クロノスは悔しそうにそう呟く。本当はタルポを追いたいのだろう。が、騎士団として人民を守ることが最優先だ。


「君達は、タルポを追ってくれ。まだ追いつけるだろう」


そう言ってクロノスは記憶の移動を使って街に帰る。その様子を見た俺たちは急いでタルポを追いかける。


しばらく走ると、タルポの後ろ姿が見えてきた。タルポは農夫たちに担がれて、逃げている。


「へぇ……追ってくるのね」


タルポはそれに気づくと、腕を上にあげた。すると、さらに農夫たちが飛び出してくる。一体どれだけの人を操っているんだ。

するとそれを見たテュケーはすぐに農夫の元へ走ると、腹を殴る。次から次へと殴っていく。


「お、おい……」


「今は細かいことを気にしている暇はないわ! 急ぎましょう」


「は、はい」


少しテュケーに怯えながら、俺たちはタルポを追う。

しばらく走ると切り立った崖に囲まれた場所にたどり着いた。満月が高く上っている中、その光に照らされるようにタルポは立っていた。


「追い詰めたぞ! タルポ!大人しく降伏するんだ!」


タルポを殺すことはできない。人を殺してしまえば、どんな場合であっても罪となるからだ。この法律に腹がたつ。相手は、人を操り自爆までさせてくるのに、殺すことはできないのだから。


「追い詰めた? 何を勘違いしているのかしら?」


見ると、タルポの傷は回復していた。そして、タルポの周りにはタルポを運んでいたであろう農夫が倒れていた。


「追い詰められたのには変わらないだろうが! 逃げ回りやがって!」


この言葉にタルポは笑う。


「逃げ回っていたんじゃないわ。時間を稼いでいたのよ」


「時間稼ぎ? まさかここで禁忌を使うのか!?」


「禁忌? ああ、あれね?まだいらないわ。本気で戦ってもないのに使うわけにはいかないわ 」


本気で戦ってない? それってまさかまだこれ以上の力が出るってことか!?




「月は高く上った!さぁ、ここからが第二ラウンドよ!」


タルポはそう叫び、背中から漆黒の翼を生やした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ