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第44話 大会決勝戦

大会最後の試合が始まる。司会は声高らかに、課題曲を発表する。


『課題曲はぁぁぁ! これだ!』


そこに出て来た課題曲は『marvelous 』 ……聞いたことのない曲だ。まさかここに来て解禁してない曲が来たのか!?


『こちらの楽曲は本日初公開となります! どちらも初見となるので、地力が試されると思います! 体力、テクニック、リズム難などなど、暗記成分以外ごっそり詰め込んだ楽曲ですので、総合力が試されます』


なるほどな。ここに来て新曲か。面白い試合になりそうだな。


「お前と戦うのを楽しみにしていた。魔王軍幹部を打ち破った実力を見せてもらおう」


そう言ってくろのすは筐体へ向かう。決勝戦は一人ずつプレイすることになっている。後攻である俺は、必ず不利だろう。また、先行の譜面を見てしまうと、圧倒的に有利になってしまう為、闇魔法で、しばらくの間、目と耳を潰される。


真っ暗な闇の中、しばらくすると回復魔法がかけられる。どうやら、先行のくろのすは演奏を終えたらしい。得点は同時に公開されるようだ。さて、初見でくろのすはどれくらいいったのか。それはかなり重要だが、こちらの点数の方がもっと重要だ。

俺は筐体の前へ立つ。そして、曲を選曲して、落ち着いて、演奏を始める。


先ずは……ふむ、いきなり高速譜面か。まだ追えないわけではないけど……これはperfectで突破するのは厳しいな。うん。ダメだいくらかgreatが出てしまうな。

そしてその高速地帯を抜けると、今度は、連なり続いた譜面が流れてくる。その龍のような音符たちをなんとか捌いていく。ここはテクニック地帯だろうか。テクニック地帯はそこまで難しくなく、難なく突破できた。

そして、ここで曲調がガラリと変わる。それと同時に、譜面も少し不思議な配置になっている。ここがリズム難地帯だろう。

ぐっ。リズム難の初見は厳しいものがあるな……。かなりgreatを出してしまった気がするな。

そして、サビに入る。ここはまた少し早くなり、かつ譜面がぎっしり詰まっている。ここで体力を削りに来たか。それに、微妙にめんどくさい複合なんかも入っていて、きつい。

そしてそこを突破して、サビ後の譜面を叩いてフィニッシュだな。

ん? いや、この曲調はもしかしたら……。俺はタイミングよく面を叩く。すると同時に高速て赤音符が飛んで来た。

そして画面にはfull comboの文字が。それと同時に観客が沸き立つ。司会も驚きを隠せないようだ。


『ど、どういうことでしょうか!? ラストを叩ききりました! 何故わかったのでしょうか?』


「いや、このラストのリズムだと、最後に何か一発打っておきたいような感じだったので……。まあ、面か縁かは賭けでしたが、当てることができたので良かったです」


『な、なるほど。そんなことができるんですね……』


司会は動揺しつつも、進行を続ける。そして、ついに結果発表だ。これによって優勝者が決まる。結構多めにgreatを出した気がするが、どうだ?


『それでは! 結果発表っ!』


くろのす


perfect 1072

great 38

good 0

miss 1


るな!?


perfect 1053

great 58

good 0

miss 0


うっ。これは……


『優勝者は、くろのすさんです!』


……負けたのか……。例え初見でもあれだけgreatを出せば、ダメだろうな。一昔前に、大会優勝者が、初見でall perfectを達成していたのは見たけどそう考えるとあれは恐ろしいものだったんだな。あの人の初見での処理能力は凄いもんだな。


項垂れていると、くろのすが寄ってくる。


「いや、いい試合だったよ。ありがとう」


「でも、結構圧倒的でした」


「いや、そうでもないさ。ラストの高速で飛んでくる音符を叩いたのには驚いたよ。すぐに俺なんて抜かされそうだ」


「そう……ですかね?」


「そうそう。どうせなら本名を教えとこうか。俺はクロノス。まあ、本名も一緒だから、名乗らなくても良かったんだけどな」


そう言ってクロノスは軽く笑う。今までピリピリと引き締めていたから、なんだかその笑顔に拍子抜けする。


『それでは、入賞者はステージに集まってください』


司会がアナウンスをかける。と言っても、ガイアは居ないし、マルスは帰ったので、今いる入賞者は俺とクロノスだけだ。


『あ、あれ? マルスさーん?』


「マルスなら帰りましたよ」


『ええー! じゃあ、二人だけですか』


司会は少しテンションを下げながら、こちらを向く。そして、そのままクロノスにマイクを向ける。


『では、優勝者に感想を聞きましょう! どうでしたか?』


「いやー。自分は王都でプレイしているのですが、なかなかここもレベルが高かったです。特に、準決勝に残った人たちはずば抜けてましたね」


クロノスは笑顔で語る。それを見てなんだか苦しくなる。やはり負けたことが心に響いているらしい。苦しくて嗚咽が出そうになる。が、さすがにステージの上なので、堪えてぐっとクロノスを見る。

絶対に次は負けない。そう思って、眺める。


『では、優勝者のくろのすさんには、新楽曲をプレゼントしたいと思います!』


そう言って、司会が一枚のカードをクロノスに渡そうとする。どうやらあれを自分のカードと合わせると、新楽曲を手に入れることができるらしい。

クロノスは笑顔でそれを受け取ろうとした瞬間、そのカードは奪い取られた。

その場にいた全員が唖然とする。奪ったのは、観客の一人だった。


『ちょっと! それは優勝者のみが与えられる楽曲ですよ!』


司会が叫ぶ。しかしその男は死んだような目で、こちらを一瞥すると、人間業とは思えない速度で、会場から出て行く。

それを見た司会者は走って追いかける。が、司会者ごときでは追いつくことは出来ない。

そこで、俺とクロノスは全力で駆け抜ける。イリスとプシケ、さらにアドニスまでその様子をモニターで確認すると、カードを奪い去った男を追いかける。


外に出ると、日は西に沈もうとしていた。俺たちが外に出ると、その男は町から出るための門の方は向かって行っていた。

こうして俺たちは、夜を迎える町の外へと、その男を追って出て行くのであった。





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