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至高の孤島  作者: こっちのあっきー


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北の強奪BBQ

船上で、凛が語った衝撃の事実。

当初、西側の面々は北側の連中に歩み寄り、合同で生活することで食料効率を高めようとしていた。しかし、彼らの目的は協力ではなく「支配」だった。西側のメンバーがスキューバダイビングのライセンスを活かして命懸けで獲ってきた魚介類を、北側の男たちが暴力で奪い取る。それも、彼女たちの目の前でBBQとして見せつけながら。


「食べ終わった後、せめて火だけでも残して……と頼んだの。でも、彼らはバカにしたような目線で焚き火を完全に消し去って、女たちを引き連れて去っていったわ」


その所業はあまりに陰湿で、モラルが完全に崩壊していた。スポーツで鍛えた西側のメンバーも、暴力と数で押さえつけられ、体調不良も重なってただ耐えるしかなかったのだ。凛たちはあまりの仕打ちに、その場を離れることしかできなかった。


ミナトは静かに凛の話を聞き終えた。怒りよりも先に、相手側の異常な暴走に対する強い警戒心が湧く。

(今は極力、北側の連中とは関わらないほうがいい……)


源児もまた、同調するように頷いた。暴力で奪い合うのではなく、まずは確実な生存圏を確保し、西側の仲間を立て直すことが先決だ。


ミナトは決意を新たにした。北側との衝突は避ける。しかし、西側の仲間を保護し、自分たちの拠点に迎え入れる。それが今の自分たちにできる、最も重要なことだ。


「……今すぐ行くぞ。明るくなるのを待ってたら、連中がいつ現れるか分からない」


ミナトの言葉に、健太と源児も即座に立ち上がった。片道2時間、往復4時間の道のりだ。さらに、体力の落ちた彼女たちを連れて帰れば、もっと時間がかかる。ミナトは迷わず、飯盒にアクアパッツァの残りとパスタを詰め込んだ。道中で彼女たちに食べさせるためのものだ。


「大丈夫か、凛。体力的には……」

ミナトの問いかけに、凛は先ほど食べたアクアパッツァの温もりを噛みしめるように深く頷いた。

「さっき、あんなに美味しいご飯を食べさせてもらったおかげで、だいぶ力が湧いてきたわ。少し休憩したら、すぐに案内する」


短い休息の後、一行は夜のジャングルへと足を踏み入れた。

松明を手に、慎重に足を進める。凛の案内で森の奥深く、北側の連中が横暴を振るう「獲り場」近くの隠れ家を目指す。道中、凛は北側の惨状を語った。彼らは獲物を獲る苦労を完全に放棄し、自分たちを道具のように扱い、見せしめのように獲物を強奪していくのだと。


やがて、わずかな焚き火の跡も見当たらない、冷え切ったキャンプ跡にたどり着いた。そこには、衰弱した西側のメンバーたちが寄り添ってうずくまっていた。


「……凛!? 戻ってきたの!?」

「みんな、大丈夫! 助けに来てくれたわ!」


再会を果たした仲間たちは、凛の姿を見るなり泣き崩れた。南側の面々は駆け寄り、衰弱しきった彼女たちをそっと支える。

「無理をさせてごめん。まずはこれを食べて。帰る力をつけるんだ」


ミナトが飯盒を開けると、冷え切った森の中にアクアパッツァの芳醇な香りがふわりと広がった。温かなスープをたっぷり吸い込んだパスタを一口食べた瞬間、彼女たちの表情が劇的に変わった。


「美味しい……! 本当に、夢みたい……」

「温かい……お腹の中が、やっと温まった……」


極限の飢餓と寒さに耐えてきた彼女たちにとって、その料理はまさに命の糧だった。涙を流しながらパスタを啜る彼女たちの姿を見て、ミナトは改めて「食」が持つ力を確信した。


慎重に、しかし着実に彼女たちを支えながら、帰路につく。

夜道をゆっくりと歩く。時折、体力を使い果たした彼女たちを源児や健太が背負い、ミナトは先導しながら周囲を警戒する。北側の連中と鉢合わせるリスクを避け、月明かりを頼りに、ひたすらに拠点の船を目指した。


無事に拠点の船に帰り着いた頃には、東の空が少しだけ白み始めていた。

ようやく安堵の吐息をついた南側の面々。西側の仲間を無事に迎え入れたことで、船上の空気は、以前よりも少しだけ温かなものへと変わりつつあった。


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