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幻想終末の欠落者  作者: あした
【第六章】極限解放
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第七十話 ありがとう

「たのしかったなぁ」


 クアと遊び終えたミライは、そんな感想を零して笑顔。


 すると、後ろから水の跳ねる音が聞こえたので振り返ってみた。


 そこには、ミライのトモダチがいて―――


「あれぇ? みんなおそらいってたのにぃ。なんでいきてるのぉ?」


 素朴な疑問を口にして、ミライは小首を傾げた。


「今までオレたちに気づいてなかったのかよ!?」


「ミライくんは無意識だったかもしれませんが、ミライくんのおかげで、ワタシたちは生き返ったようです」


「ミライっちの≪極限解放リミットブレイク≫、スゴいねっ★」


「………(こくり)」


 復活したレン、アオイ、エルザ、サクラの体は、心臓を貫かれた形跡さえない。


 それどころか、血塗れで破けたはずの隊服まで元通りだった。


 今日の訓練が始まる前のように、キレイな身だしなみをしていた。


「へぇ。そうだったんだぁ。よかったねぇ。みんないきててぇ」


 あははぁ、とミライはトモダチが生きていることに笑うと、


「ミライ、お前の力なら他のみんなも蘇らせるんじゃねぇのか? オレたちみたいに」


「ですが、そんなこと可能でしょうか? 皆さんを復活させてないということは、ワタシたち四人だけが限界……。こうしてワタシたちが生きていること自体が奇跡ですし、それ以上高望みするのは……」


「確かに……そうだよな。ミライ、悪かった。無理言って―――」


「できるよぉ」


「できるんですか!?」

「できるのかよ!?」


 アオイとレンの叫びが重なる。


 そんな驚愕する二人に、「うん」と頷いてミライは白刀を水面鏡に突き刺す。


 そこを起点に木の枝のように光の線が広がって、それはこの固有世界の奥にあった、イッキと候補生の死体を包み込んだ。


 その時、


「あれ……?」


「なんで生きて……」


 候補生が、


「どういうことだ……」


 イッキが、全員が復活した。


 やはりレンたちと同じように、傷跡もなく、隊服も何もかもが元通りの状態で。


 どれも皆、復活したことに困惑していた。


 さっきまで死んでいて、急に生き返ったのだから当然である。


 イッキは誰が復活させたのか、その正体を探すために周囲を見回す。


 エルザ隊を見つけ、その中のミライを発見して険しい瞳を大きく見開いた。


星無ほしなし……まさか、≪極限解放リミットブレイク≫を!?)


 全身に純白のオーラを纏い、光を帯びた空色の双眸。


 以前と姿が異なるミライを見て、イッキはミライが≪極限解放リミットブレイク≫だと瞬時に理解した。


 そして、


「そうか―――星無ほしなし、お前が俺たちを救ってくれたのか」


 イッキの険しい表情が柔らかくなり、呆れたように微笑んだ。


 その一言に復活した候補生は、ミライが自分たちを復活させ、自分たちを殺したクアの軍勢を倒したのだとわかった。


 一斉にエルザ隊の元へ駆け寄ってくる。


 ミライに、お礼を言いたくて……。


 男子は「星無ほしなしさーん!!」と、女子は「星無ほしなしくーん!!」と、満面の笑みで一斉にエルザ隊の元へ駆け寄ってくる。


 ミライに、早くお礼を言いたくて……。


星無ほしなしさん、ありがとう! アイツらをぶっ倒してくれて、俺たちを救ってくれて……!」


星無ほしなしさんがいなかったら、幻滅師になれないまま、みんな死んでたよ……生き返らせてくれてありがとう!」


「私たちの英雄だよ―――本当の本当にありがとう、星無ほしなし君!!」


 候補生から、一斉に感謝の言葉がミライに降り注がれた。


 しかし―――彼らだけじゃなくて、四人のトモダチも。


「ミライ、ありがとな」


「ミライくん、ありがとうございました!」


「ありがと、ミライっちっ★」


「……ありがとう」


 みんなからの『ありがとう』を一心に受け止めたミライ。


 だから、それを元の自分で受け取りたくて、ミライは≪極限解放リミットブレイク≫を解除した。


 固有世界が徐々に崩壊を初めて、やがて現実世界へ全員で帰還する。


 その時、太陽が昇った。


 夜明けが訪れたのだ。


 長きに渡る戦闘かと思っていたが、極限の中での命のやり取りで時間が凝縮され、

そう勘違いしていたようだ。


 ミライは太陽の光を背にして、



「―――うん。どういたしましてぇ」



 あははぁ、とやはり無邪気な笑顔を見せた。


 この笑顔を見た誰もが、どんな闇をも晴らし、どんな絶望をも打ち壊す―――



『希望』だと思った。




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