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きゅうわ


「頼む、ハクノ。ほんの少しでもいいから驚きやら呆然やらと言ったモノを見せてくれ」

「それはミュウちゃんの担当だから」

「あぁ……、まあ、うむ、それもそうだな」

 そうすんなり納得しちゃうのもどうなんだろう、って。

「で、そのミュウちゃんはどうした?」

「いっぱいキスして幸せいっぱいだけど恥ずかしさもいっぱいでとにかくいっぱいいっぱいだからもう少し入ってる、って」

「全く驚かんくせにお前自身は随分とこちらを驚かせてくれるな。アトワイトの者達にとって、唇を合わせる行為は、一生を添い遂げる、と言うことだぞ」

「うん。ミュウちゃんからも聞いた。真っ赤っかになってぽしょぽしょ言っててすっごいきゅんきゅんしたから、そこからまたいっぱいちゅっちゅした。それに、ゼウス様に誓ったから。ミュウちゃんは私が幸せにする」

「おぅふ」

「ハクノ、すごい。強い」

「でも、その内欲望を抑えきれなくなるから、その時は力ずくで私を止めてね、お姉ちゃん」

「うむ。…………お姉ちゃん」

「お姉ちゃん……」

 少しだけ無音状態になって。

「いい響きだな」

「いい響きだね」

 全く同時に、ぽつり、漏らした。

「間違いなく、姉妹」


「ハクちゃんと、ノワールが、姉妹……?」

「うん」

「うむ」

「これ、二人の、魔力パターン」

 ミュウちゃんが上がってくる前に見せてもらった、螺旋状の遺伝子配列みたいなアレが、プリエちゃんの両手の上でくるくるくる。

「わ、ホントだ。完全に一致してる」

 お姉ちゃんを膝に乗せてる私の隣。ミュウちゃんは、ソレをじぃ、っと見つめる。

「わぁ……」

 お風呂上りの、良い匂い。おそろいの、白いワンピース。触れ合う肩と腰、脚から伝わってくる体温。白いうなじに、上気したほっぺと、まん丸くりりの瞳。五感が、ミュウちゃんの全てを感じようと、感じたいと鋭敏になってるのが分かる。

「ぁ、そっか。それで、二人の魔力の相性が良かった……、……ぇと、ハク、ちゃん……?」

 見ていたから、こっちを見たミュウちゃんと、当然、視線が絡む。それだけで、体温が上がって、鼓動がはやくなって、嬉しさと幸福が、じわじわ湧いてくる。

「いや、プリエが言うには、血縁であることと相性の良さは、イコールではないそうだ」

「……へっ――? あ、そ、そうなの?」

「うん」

 耳の形、きれい。かぷつきたい。外側をなぞって、耳たぶをふにふにして、好き、って直接ささやきたい。たまにしてもいいか、あとで聞こう。

「ただ、二人の場合、今回は、それが作用した、可能性は、大きい」

「えっと……」

「どういうことだ?」

「……カミュちゃん、ノワール。ハクノは、一度、死んでる」

 あぁ、うなじ、ほんときれい。おいしそう。

「ちょっと、プリエ! あんた、自分がなに言って」

「ぁむ」

「るぁあひゃあっ!?」

 ぁあ、がまん、むりだった。どうしよぉ。ミュウちゃん、ほんと、あまい。おいしい。だめ。とまんない。

「んぁ、ちょ、はくちゃ、ぁんっ!」

「ん、ふ。は……、ごめん、ごめん、ね、みゅう、ちゃん……、とめ、らんない……、んぅ、ん……」

 みゅうちゃん。みゅうちゃん、みゅうちゃん。すき。すき。ごめんね。すき。すきだよ。だいすきだよ。

「…………、すまん。私も、抑えが効かない所だった」

「ううん。……二人にとって、ハクノは、とても大切な存在、なんだね」

「そう、だな」

「んぁ、ふ、はくちゃ、ハクちゃんっ! こういうのはあと! あとでっ!」

「ふあっ――!?」

 我に返ってみれば、ミュウちゃんを押し倒した状態で、その耳をべっちゃべちゃにしてしまってた。

 お風呂入ったばかりなのに、どっちも汗かいちゃって、薄着で、それがちょっと張り付いて、紅潮したほっぺと潤んだ目のおかげで色気倍増でなんかすごいあまい匂いでくらくらする。フェロモン的なそれなのかな、コレ。

「ハクちゃ……、ちかぃ……」

「ご、ごめん……」

 言葉だけのものなのは、自分でも分かった。

 いつの間にか手首押さえてるし、ふとももに体重かけてるし。なのに、ミュウちゃん全然抵抗しないし。

「…………い、今は、ほら」

「うん……」

「ハクちゃんの、こと、だいじな、はなし、だから」

「うん」

「ぁ、あとで、なら、すきなだけ、その、ぃい、から……」

「……うん」

 ゆっくり。ゆっくり。

 体を離す。

 ミュウちゃんも起きて、いずまいをただして。その手首に、くっきり残る手形を見て、ぞくぞく、と確かな興奮を覚えた。

「それじゃ、プリエちゃんさん、詳しくお願いします」

 それを振り払って、場を仕切り直す。

「ん、わかった。ノワール、おばさんになる日、遠くなさそう」

「お前が言うとシャレにならん」

 そして、ミュウちゃんを盗み見れば、

「ごういんなとこも、あるんだ……、ぇへへ……」

 とろけきったほほ笑みで呟いて、手形に頬スリしていた。

 求めすぎて嫌われちゃったりしないか、すごく不安。

 がんばれ、私。


「じゃあ、ちょっと、まって」

 そう言って、一回、二回、三回、深呼吸をして、

「世界がどれだけ子供っぽいか、ノワールは知ってるよね?」

 少したどたどしかった口調とは打って変わって、滑らかに言葉を紡いだ。ミュウちゃんも初めてのことなのか、目を丸くしてる。かわいい。

「ああ。危険因子でない限り、生まれたモノ全てを決して手放さず、迷い込んだモノも決して返さず我がモノとする」

「先代の魔王様の時代、魔族と他種族は、それなりに平和な関係を築くことができていた。けど、反乱分子は必ずあって……、ハクノはたぶん、魔王様を暗殺するとか、そういう事件に巻き込まれて、命を落としたんだと思う」

「シスターでもあるお前が言うのだから、ソレは確かな事実なのだろう。だが、今ここで、ハクノがハクノとして生きていることもまた、確かな事実だ」

「うん。ノワールが言った通り、世界は自分のモノを決して手放さない。死んだモノ、壊れたモノは、ゆっくり時間をかけて、自分へかえしていく」

「かえして、いく……?」

 どういうこと?

「その人とかモノを構成する魔力をね、少しずつ、吸収していくんだよ」

「へぇ……」

 そっか。世界は、そうやってみんなを愛するんだ。でも、それなら世界は、いつまでも独りぼっちなんじゃ……。


 ――――――。


「ぇ……?」

「ハクちゃん?」

「どうかしたか?」

「ぁ、ううん。なんでもない」

「続けていい?」

「うん、おねがい」

「ん」

 声だけど声じゃない……、声じゃないけど、声……? みたいな、なにかが、聞こえた。それに、女の子、みたいなシルエットが、ほんの一瞬だけ見えた。だれ、なのかな……?

「…………ハクノは死んで、そのまま終わるハズだった。でも、魔王様とカミュちゃん、そして、誰よりもノワールが、それを認められず、許せず、許さなかった。だから、他ならぬ世界と、なにかの約束か、契約か、そういったものを結んだのかも知れない」

「……そういった儀式が存在することは、法術に関わる者であれば、大抵の者は知っている。だが、行使された記録は、一切なかったぞ」

「世界の記録にアクセスした時、閲覧できない記録があった」

「へ……?」

「な――、おま、えが閲覧できない、など、それこそ、冗談だろう?」

 二人の驚きの種類は、どうも別物っぽい。

「ううん。できなかった。プリエ・アナスタシアである証を見せても、世界は、その記録の閲覧だけは、許さなかった。それで、しつこく許可申請を出したことに怒ったのかな? ザ・オンじゃなくて、ハクノの教室に飛ばされた。ロッカーの中だったことが妙に腹立たしいけど、まあ、うん。いいこともあったから、その辺は許す」

 みぃちゃんすごい。世界がしたこと許させた。

「おぉ、そうか。……ふむ。つまり、ハクノがこっちでこうして生きているのは、ザ・オンが、ハクノの所有権をこちらに譲渡したから、か?」

「儀式の結果、ね。でも、向こうで確かに存在できた以上、それも少し違うかも。たぶんハクノは、好きな方で、好きなだけ存在できる」

「生きたびっくり箱かこいつは」

「あぁ、なんか、しっくりくる」

「いや~」

「ほめとらん」

 ですよね。

「では、ハクノに過去の記憶がなく、私とカミュにハクノとの記憶がないのは、捧げたから、か」

「その可能性が、一番高いと思う。ねぇ、ノワール、魔王様のこと、憶えてる?」

 問われたお姉ちゃんの雰囲気が一変して、魔力が舞った。

「いくらお前と言えど、その問いは侮辱とみなすぞ?」

 ほんとになにか始めちゃいそうな上に、プリエちゃんどころかミュウちゃんまで動けなくなってたから、しっぽを強めに掴んだ。

「ふおっふぉうっ!?」

 魔力が霧散して、二人が思い出したように何度も肩を上下させる。

「くぅ~っ……! なにをするかハクノ!?」

 ほっぺを肉球で何度もぷにぷにされる。ぷにぷに、ぷにぷに。しあわせ。

「ぐ……、こやつめ……、……さっきの今でスマン、プリエ」

「……私も、ごめん。また、配慮、足りなかった」

「も~、お姉ちゃんは~。流れで確認が必要なことだ、って分かるでしょ~? も~、まったくも~」

「ぅぐ。そう、だな。重ね重ね、スマン……」

「うん。ごめんなさいがちゃんとできたね。えらいえらい。さすが私の自慢のお姉ちゃん」

「……そ、そうか……?」

「うん」

「ホントに、自慢、か?」

「もちろん。かわいいし優しいし面倒見いいしかっこいいし。私の日常を、うんっ、と楽しくて賑やかにしてくれた、自慢も自慢のお姉ちゃんだよ。世界を超えて会いに来てくれて、ほんとうにありがとう。ぎゅう~……!」

「ぉおぉ……! ま、まあ、それは、結果論だが」

「その結果を引き寄せてくれたのはお姉ちゃんだよ。私達を繋いでくれたのも、お姉ちゃんだよ。ほんとうに、ありがとう、お姉ちゃん。だいすき」

「……うむ……」

「てれてる?」

「やかましい。もっと強く抱かんか」

「んふふ。は~い」

 ちっちゃくてもふもふであったかい。お姉ちゃん。お姉ちゃん。おねえちゃん。すき。

「ハクノ、ほんと強い」

「うん。勝てない気がする。妹感あふれる笑顔かわいすぎる」

「ぁ……、カミュちゃんを幸せにする、ってハクノ、ゼウス様に誓ったんだって」

「………………ほあっ――!?」

「あ、うん。再来年、法律が変わって、同性でも結婚できるようになるから。末永く幸せになろうね、ミュウちゃん」

「ふぁ……、はひ」

 私のお嫁さん、かわいい。


「よし。いいかげん話を進めるぞ。そして寝るぞ。眠いしハクノは明日も学校だからな」

「じゃあ、三人に情報を送る」

「うむ」

 そんなこともできるんだ。わ、すごい。ほんとに流れ込んできた。

「えっと。私が死んで。お母さんとミュウちゃんとお姉ちゃんが、私との思い出と、二度と思い出せなくなることと、会えなくなることを条件に、ザ・オンと契約して、還魂の儀をした、と」

「気がかりなのは、蘇生したハクノがこの星に送られたこと。蘇生前の記憶を失っていることだな」

「たぶんそれ、ブランちゃんだと思う」

 疑問と共に、視線が注がれる。

「私が視た、たぶん、世界の記憶だけど、それだと、お姉ちゃんとミュウちゃんと、ブランちゃんが、いつも一緒だった。でも、お姉ちゃんに見せてもらった記憶には、ブランちゃんがいなくて。二人共、お母さんも、そこになんの疑問も持ってなかったの」

 だから、たぶん。

「ブランちゃんは、自分を差し出すことを条件にして、なにかの儀式をしたんじゃないかな?」

「ふむ……、だがそうなると、なぜそんなことをしたのか、と言う疑問が出てくるな」

「だよね」

「うん」

 ミュウちゃんとプリエちゃんが頷く。

「お姉ちゃん、私と会うまでの一週間、どんな気持ちだった?」

「む? それは――、……あぁ、なるほど。そうか。そうだな」

「その時、ブランちゃんに意識があったのかは分からないけど。大好きなお姉ちゃんと、ミュウちゃんと、お母さんにもう会えないことが、どこかで分かったんだと思う」

「じゃあ、つまり、ブランちゃんは、自分で自分を殺した、ってこと?」

「うん。大好きな、大切な人達の中から消えちゃったら、それはもう、死ぬのと同じだから」

「そうだな……。頼れるモノが何一つない状況で、右も左も分からぬ状態だった七日間。日に日に自身が死んでいくような気分だった。おい、カミュ。責めてなどおらんからな?」

「ぁ……あはは……、……うん……」

「でも、ハクノ。そうだとして、ブランがこの星に送られたのはどうして? ザ・オンのどこか、魔族の領域とは離れた所でも良かったはず」

「うん」

 それは、私自身も思ったこと。

 ――だって、なにかとんでもない偶然が起こって会えちゃったりしたら、絶対にがまんなんかできないもん。

「うん」

「ハクノ……?」

 ――わたしだけ憶えてるなんて、残酷だよ。おねえちゃんはいっつもそう。優しくて、優しすぎて。それで、だから、わたしをひとりぼっちにして!

「うん」

「おい、ハクノ?」

「ねぇ、プリエ」

「うん。ハクノの中に、誰かいる」

 ――おねえちゃんはずっとわたしのおねえちゃんなのに、わたしはもうおねえちゃんの妹じゃない! ミュウちゃんの幼馴染みでもない! ママとママの娘でもない! そんなのもうわたしじゃないもんっ! だからどこか遠い世界に、絶対におねえちゃんたちに会えないとこに連れてって、ってお願いしたのに! 世界だってちゃんと約束したのに! なのに、気付いたらハクノの中にいて、おねえちゃんがいて! ミュウちゃんがやってきて……! なんでっ!?

「だって、お姉ちゃんとミュウちゃんに会えないのはブランちゃんであって、私じゃないから」

 ――……ぇ……?

「好呂白乃が、たまたまネコさんと会った。それがカミュさんを引き寄せた。アイちゃんさんに、リヨウちゃん、プリエちゃんとの縁を引き寄せた」

「む」

「むぅ……」

「がまん」

 ――それが、なに? ハクノがおねえちゃん達と会っても、わたしは会えない! 目の前にいて、少し手を伸ばせば触れられるのに! こんな思いなんてしたくないから、わたしはわたしの全部を差し出して消えたのに! 世界はそれを代価としてちゃんと認めたのに!

「世界だって完璧じゃないもん。持ち物をつい落としちゃうことだってあるし、探しても見つからないから、もういいや、ってなることだってあるよ」

 ――そん、な……てきとう、すぎ、だよ……。儀式なんだよ? 代価を取り戻すなら、また相応の代価が必要になる。そんなの、わたしは払ってない。そもそも、こうなることなんて望んでない。

「その辺はわかんないや。だから、世界の気紛れ、ってことでいいんじゃないかな? 体は私が貸すしさ」

 ――……ぇ……?

「ネコさん達に協力してもらえば、本物同然の体をどうにかすることもできると思うし」

「むむ」

「がまん」

 ――貸す? って、なに? どういうこと?

「体の主導権を渡すよ。丸っと全部、って訳にはいかないけど。もう私の体でもあるからね~」

 ――なん、で……? そんな、危険なこと……、乗っ取らない保証とか、ない、よ……?

「好呂白乃である私にとって、ブランちゃんはお母さんみたいな存在だもん」

 ――おかっ――!?

「ブランちゃんが儀式をしてくれたから、私は生まれることができた。とても返しきれない恩をもらってる。だからこれは、ささやかにも満たないけど、その恩返し。というか押し売り。強引にでもしないとずっと私の中でうじうじいじいじしてそうだし」

 ――いきなりひどいと思う。

「でもそうでしょ?」

 ――……だって、おねえちゃんたちの中に、もうわたしは、いないし……。

「でも、ブランちゃんの中にネコさん達がいるなら、みんな一緒にザ・オンに戻れば、どこかで思い出したりするんじゃない? こうしてブランちゃんが、記憶を持ってる訳だし」

 ――そんな都合の良い展開、あるわけない。

「閉じこもってうじうじし続けるよりは、そういう希望を持ってる方が良いと思うな~」

 ――……反抗期?

「親を想う子心です」

 ――わたし、知識こそハクノと共有してるみたいだけど、実年齢は8歳だよ?

「あ~、そうなると、私の実年齢も8歳なんだよね。8歳のお母さんと8歳の娘。訳アリ親子だね」

 ――実際訳アリではあるけど、なんか、なんかだな……。

「そして衝撃の事実。私のお嫁さんはロリコン」

 ――あ。

「あ~」

「カミュ、お前……」

「待っておかしい。この流れはおかしい。そうはならなくない? そりゃハクちゃんが8歳だったことを知った上で好きになったんならそうなっちゃうかも知れないけど順番違うからね? 好きになった後に8歳だってこと知ったんだからね? ロリが好きだから好きになったんじゃないんだよ? 好きになった子がロリだったんだよ? だから私は断じてロリコンじゃない」

 すごい力説された。

「まあ、その辺はまたの機会にして。ブランちゃんがこっちに来たのは、儀式の結果、決まった行き先がここだったから。今の所、これが一番可能性が高いと思う」

「ふむ。……改めて、世界とはよくわからんな」

「だね~……」

「しゃべり、すぎて、つかれた」

「うん。なんか、イベントがつめ込まれた一日だった」

 落ち着くと、やっぱりあっという間だけど。

 反動的なものか、それからはほとんど口を開かず、寝る準備をして、みんなで布団に入った。

「三人だと暑いね」

「お姉ちゃん、換毛期まだ?」

「姿形がネコであるだけだからなぁ」

「も、むり。おやすみ……」

「一瞬で寝ちゃった。おやすみなさい、プリエちゃん。お姉ちゃん、ミュウちゃんも」

「ああ」

「うん。おやすみ」

 目を閉じると、すぐに意識が沈み始めた。

 おやすみ、ブランちゃん。

 ――……うん。おやすみなさい、ハクノ。



 夢の中で、誰かに会った気がする。

 話をして、なにか、盛り上がったような。

 でも、明確なことはなにも覚えてない。そんな気がするだけ。

「まったく……、どれだけ驚かせてくれるんだ、私の妹たちは……」

「はわ、はわわわわっ……! ハク、ハクちゃ……! ブランちゃん……!」

「ブラン……ブラン……、ノワールの妹……。どういうこと? ちゃんと、ブランを知ってる」

「もう、なにこれ。いみわかんない。にんげんがぶんれつするとか、ほんと、なに? しかも、ほんとにはっさいくらいのからだになってるし……」

「にんげんじゃないよ、ぶらんちゃん? まじんだよ?」

「おなじじゃん! ひとがたのいきものじゃん! いっとくけどあっちのにんげんもまぞくもぶんれつとかしないから!」

「まあまあ。げんにこうやってしちゃったんだから、うけいれるしかないって。でもあれだね? あたりまえなんだろうけど、かおもこえもそっくりだね」

「いまそんなことどうでもいいでしょ~! どうすんの? ねえ、どうすんの? あんたがっこうもあるんだよ?」

「おばあちゃんのおさがりがあるからだいじょうぶだよ~」

「ほんっとにあんたはもぉおおっ! ちょっとはあわてるとかとりみだすとかしなっさいよっとにもおおおおっ!」

「こうしてよしろけにあらたななかまがくわわったのであった」

「はなしきき――っていうかなんではだかなのわたしたちは!」

「あさからげんきだね~、ぶらんちゃん」

「っもおおおおっ――!!」


「ノワール、やばい、どうしよう」

「…………おい、プリエ。猛烈にイヤな予感がしているんだが?」

「私もだよ、ノワール」

「やばい。私、ヤバイ。ほんとに、私、ロリコン、だった。すごいの、はえて、きちゃった」

「そして当たっていたわけだが。だがな?」

「うん、分かる。分かるよ、ノワールが言いたいこと」

「ぅあ……、これ、こんな……、あぁ、ハクちゃん、ブランちゃん、かわいい。かわいい、かわいい、かわいい、かわいい」

「普通に受け入れそうだよね、ハクノ。ブランはともかく」

「ああ。ブランはともかくな。受け入れるだろうなぁ、ハクノはなぁ……」


「あ~、ぱんつがないや。……なくて」

「いーわけねーでしょ」




諸々ぶん投げたまま、いったん完結とします。ブクマしていただいた方。閲覧してくださった方。ちょっと覗いてくれた方。ありがとうございました。

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