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第八話 連盟武闘祭

レインがラファエルに来てから——


すでに一週間が経っていた。


王城の環境や、周辺の街並みについても、


ある程度は把握できている。


あの「公表の日」については——


二日前にすでに終わっている。


今では、王城内はもちろん、


国民たちも全員——


レインの存在を知っていた。


あの日、レインは本当に大変な目にあった。


あらゆる視線——


それも各国からの視線までもが、


すべて彼に集中していたのだ。


そのせいで——


公表が終わったこの二日間、


彼は王城の外に一歩も出ていない。


——


今朝も起きてから、


王城の中を適当に歩いていただけだった。


歩きながら、ふと思う。


「訓練場……そういえば行ったことなかったな」


すると横からすぐに声が飛んでくる。


「そりゃそうでしょ」


「毎日寝てばっかりで、起きたら食べて——」


「しかも毎回、私が起こしてるんだからね?」


「私、忙しいんだけど?」


レインは肩をすくめる。


「じゃあ起こさなくていいじゃん」


ジェナは眉をひそめる。


「陛下から“ちゃんと面倒見ろ”って言われてるの」


「……」


レインは黙り込む。


「もういい。私、今日は用事あるから」


「一人で訓練場行ってきなよ」


「ほら、行け行け」


「……なんだよそれ」


——


レインは訓練場へ向かった。


目に入った光景に、思わず固まる。


「でかっ……!?人も多すぎだろ……」


その時——


横から声がかかる。


「今日は特に人が多いのよ」


「武闘祭が近いからね」


レインが振り向く。


そこには——


細身でしなやかな体つきの女性がいた。


銀白の軽鎧を身にまとい、


その背には——


明らかに体格に見合わない巨大な剣。


「誰だ?」


「失礼しました、王子殿下」


女性は軽く一礼する。


「第三騎士団副団長——エリナ・ヴォルグです」


「お、おう……よろしく」


レインは少し照れくさそうに答える。


「さっき言ってた武闘祭って何なんだ?」


エリナは頷いた。


「正式名称は“連盟武闘祭”」


「二年に一度開催される、長い歴史を持つ大会です」


「元々は各国の関係を保つためのものですが——」


少し間を置く。


「近年は、互いの戦力を探る場になっています」


周囲を見渡す。


「これだけ人が多いのは、優勝報酬が非常に豪華だから」


「選抜戦も含めて、みんな本気なんです」


「なるほどな」


——


「ところで、殿下」


「軽く手合わせ、いかがですか?」


レインは少し考えてから頷く。


「まあ……いいか。ちょっと体動かしたかったし」


二人は訓練場の端へ移動する。


騎士たちが動きを止め、敬礼する。


「気にしなくていい。続けて」


エリナが言うと、彼らはすぐに訓練へ戻った。


レインは武器棚から木製の槍を取る。


軽く振る。


「……悪くないな」


エリナも大剣を外し、


木製の大剣を選ぶ。


向かい合う。


互いに構えを取る。


——


エリナは息を吐いた。


空気が変わる。


次の瞬間——


大剣を振り上げ、跳躍。


レインも正面から迎え撃つ。


(なんだと……!?)


(木製でこの威力かよ……!)


エリナの攻撃は止まらない。


レインは防御と回避に徹する。


しばらく打ち合い——


エリナが距離を取る。


「殿下……これは訓練ですが」


「本気で来てください」


「それが——私への敬意です」


(騎士らしいな……)


レインは構え直す。


その瞬間——


空気が変わる。


エリナの視界には、


まるで巨大な龍が立っているかのように映った。


体が震える。


だがそれは恐怖ではない。


——高揚。


目が赤く染まる。


——


レインが槍を突き出す。


ただの一突き。


だが——


風圧だけでエリナは後退した。


次の瞬間——


レインが目の前にいる。


連続突き。


防ぐのが精一杯。


周囲がざわつく。


「副団長が押されてる!?」


「“狂戦士”が……!?」


——


「すごい……!」


「殿下、強すぎる!!」


「重力魔法——十倍!」


大剣がさらに重くなる。


「魂狩り魔法——裂影手!」


地面に魔法陣。


無数の腕が飛び出す。


レインが薙ぎ払う。


だが増え続ける。


「うちの家系の魔法です」


「物理も精神も攻撃できます」


「チートすぎないか……」


「その分、魔力消費は重いですよ」


——


「ここからが本番です!」


赤い魔力が体を覆う。


「狂化……か」


レインも魔力を込める。


「雷魔法——雷鳴!」


雷光炸裂。


衝突。


煙が舞う。


——


静まると——


エリナの剣は砕けていた。


「負けました」


「強すぎます」


「いや、お前も本気じゃなかっただろ」


「殿下もですよね?」


レインは笑う。


——


エリナがふと思いつく。


「そうだ、殿下!」


「武闘祭、出ませんか!?」


「はぁ!?無理無理!」


「じゃあ訓練だけでも!」


(なんだこの国……面倒くさい奴多すぎだろ……)


「……はぁ、わかったよ」


「よし、決まり!」


エリナが振り向く。


「全員、整列!!」

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