貴音には双子のお友だちがいるのです(貴音side)後編
――おねえちゃん、許せないのです!
おねえちゃんは天ちゃん空ちゃんのおっぱいを見てとてもうれしそうにしているのです。貴音はおねえちゃんを「自慢」したかったから、お友だちの二人に会わせただけなのに……こんなはずじゃなかったのです!
おねえちゃんは貴音のことだけを見ていればいいのです! こうなったら負けていられないのです! 貴音もブラ外しておっぱい見せるのです!
貴音がブラを外すとおねえちゃんは驚いた表情をしたのです。そして貴音にもおねえちゃんのブラを着けてくれたのです♥
でも、やっぱりおねえちゃんからまじまじとおっぱい見られると恥ずかしいのです。それから……グレープフルーツが入るとメチャクチャ重いのです。こっこれはつらいのです!
このあとおねえちゃんは、貴音たちにおっぱいをイジらないで大きくする方法を教えてくれたのです。睡眠時間を取るとかバランスの良い食事をするとかいう内容の話だったのです。
特におねえちゃんは、タンパク質とかミネラルといった「栄養の話」にとても詳しいのです。まだ上半身ハダカのままだった天ちゃんはメモを取りながら、いつの間にか服を着ていた空ちゃんはうんうん頷きながら、おねえちゃんの話を熱心に聞いていたのです。
天ちゃん空ちゃんはおねえちゃんのことが気に入ったらしく、しばらく四人で話をしていたのです。でも……おねえちゃんが天ちゃん空ちゃんと楽しく話をしている姿を見ていたら、貴音はとってもイライラしてくるのです。だから……
――おねえちゃん……そろそろ貴音の部屋から出ていってほしいのです。
するとおねえちゃんは
「あっ、みんな麦茶飲んじゃったんだね! じゃあ他の飲み物持ってくるよ」
そう言うと空のグラスを持って部屋から出ていったのです。
――持ってくる? これって……
おねえちゃん、飲み物のおかわり持ってきてまだ居座るつもりなのです!
これ以上おねえちゃんを天ちゃん空ちゃんと一緒にしたくないのです。貴音はおねえちゃんが飲み物のおかわり持ってくるのを阻止するのです!
「貴音は用事を思い出したのです。二人はゲームでもして待っててほしいのです」
貴音は二人にそう言ってゲーム機を貸すとキッチンへ向かったのです。
※※※※※※※
貴音がキッチンに入ると……いたのです!
おねえちゃんはコーヒーマシンでコーヒーを淹れようとしているのです。もうこうなったら実力行使なのです! 貴音はおねえちゃんの腕を掴んだのです。
「あれ? 何でここにいるの?」
「貴音がやるのです! おねえちゃんは部屋に来なくていいのです」
「えっ何で? おねえちゃんあの双子ちゃんとお話したいもん」
――やっぱりそうなのです! おねえちゃんはあの二人が好きなのです!
「ダメなのです! おねえちゃんは会わなくていいのです」
「なんでよー、せっかく仲良くなったのに」
「おねえちゃん、天ちゃん空ちゃんのこといやらしい目で見てたのです」
その言葉を聞いておねえちゃんは怯んだのです……やっぱり! おねえちゃんは二人のおっぱいが好きなヘンタイさんなのです!!
「えっ、そっそんなことないよ! お姉ちゃん、フツーに仲良くなりた……」
「ダメなのです! 天ちゃん空ちゃんは貴音のお友だちなのです! おねえちゃんは……貴音だけを見ていればいいのです!」
すると貴音の言葉を聞いたおねえちゃんは、ニヤリと笑ってこう言ったのです。
「あれぇ? 貴音ちゃん、もしかしてヤキモチ焼いてるのぉ~!?」
――ヤッ、ヤキモチ!? ヤキモチって……何なのです!?
「やっ、ヤキモチなんて焼いていないのです! モチは正月に焼くのです」
貴音は……おねえちゃんが天ちゃん空ちゃんと仲よく話していると、なぜか淋しくなって悲しくなってイライラしてソワソワするのです!
それに何でおねえちゃんがコーヒー淹れるのです? 貴音の方がコーヒー淹れるの上手いのですよ! そもそも……
「そっそれにあの二人、コーヒーはカフェオレしか飲まないのです」
「そっか、じゃあカフェオレにしてやるよ」
「そうじゃないのです……もう! それをよこすのです!」
貴音はおねえちゃんからコーヒー粉を奪おうとしたのです。おねえちゃんも奪われないように抵抗したので二人で袋の引っ張り合いになったのです。
そうして引っ張り合っていたら……
〝ベリベリッ!〟
「うわっ!」
袋が破けて粉が飛び散り……貴音とおねえちゃんの服が粉まみれになってしまったのです。と、そこへ……
「あんたたち……何やってるの?」
ママさんがやって来たのです!
「いづみ、あんたいつまで貴音ちゃんのお友だちと遊んでんの!?」
「えっ、いや……それは……あれ? 衣装は?」
「終わったわよ……だからあの子たちにお茶出そうと思ってここに来たのよ! そしたら……何してんだお前は」
「えっ、あ……あの……」
おねえちゃんはママさんに怒られたのです。いい気味なのです♥
「貴音ちゃん!」
「はっ、はいなのです!」
「で、貴音ちゃんはお友だち放っておいて何でここにいるの?」
「そっそれは……ごっごめんなさいなのです」
――貴音も怒られてしまったのですぅううううっ!
「たく、あんたたちがそこまで『おもてなし』したいのはわかったよ! 私はコーヒー粉で服汚れちゃって行けないから、代わりに天空ちゃんへジュース出してきてちょうだい……二人で」
ママさんは意外にも、そこまで怒ってなかったのです。
「でも困ったわねぇ、あんたたちもコーヒー粉で服汚れちゃってるじゃな~い……あっそうだ! いい服があるわよ、これに着替えてから行きなさ~い♥」
というとママさんは、貴音とおねえちゃんに「ある服」を差し出したのです。
――えっ?
――えぇええええっ!?
ママさん……ものすごく怒っていたのですぅううううううううっ!!
※※※※※※※
数分後……なのです。
「えっ貴音ちゃん、それとお姉さん……どうしたんですか?」
「ですか?」
「おっ……」
「お……」
「「……おかえりなさいませお嬢様♥」……なのです」
天ちゃん空ちゃんが目をまん丸くして貴音たちを見ていたのです。そう、貴音とおねえちゃんは『メイド服』を着て二人にジュースを持ってきたのです。
おねえちゃんのお友だちが学園祭の模擬店で「メイド喫茶」をするのです。それでママさんはメイド服作るのを頼まれていたのですが、生地がたくさん余ったのでおねえちゃんと貴音の分も作ってくれたのです。
おねえちゃんは普段からスカートをはかないのでメイド服をものすごくイヤがったのです。貴音も初めて見るくらい顔を真っ赤にしていたのです。
貴音はウエイトレスさんに憧れているので、メイド服も前から一度は着てみたいと思っていた……のですが……
お友だちの前で……しかもこんな日常的な光景でコスプレするのは……
――とっても恥ずかしいのですぅううううううううっ!!
貴音なのです。結果的に全員の暴走を止めたのはママさんなのです!




