~ 地球へ ~
気を失っていたタケルは目を覚ます
あれ……ここは、俺は一体
次の瞬間、全ての流れを思い出し、焦り出す
「そうだ、みんなは?ペドスドラコの惑星はどうなった?」
タケルの寝ているベッドの脇にはマナが座っていた。
「マナさん、俺は」
「タケル君が気を失ってから三日、安心して、ペドスドラコの戦争は終わったわ」
「みんなも無事」
「良かった」
「一体あれからどうなったんっすか?」
「宇宙連合のメンバーが他の惑星から集結して、戦は終わった、他のみんなも休んで居るわ」
「ちょうど、みんな今後の話をする為に集まるところなの、タケル君の傷も完治してるから、疲れてなければ、行って来ても大丈夫」マナはにっこり笑った。
「確かに傷が全て治ってる、ありがとうマナさん」
タケルは建物の外に向かい歩き出す。
外に出て驚いたのは、あれ程迄に、自然と融合し美しかった星の至る所に、痛々しい程の傷跡が残されていた事だった。
焼け崩れた森
塵のようになった建物
焼けた苦い灰の匂い
沢山の動かなくなった肉体
本当にここで戦がついこないだまで起こっていたんだ……
一刻もはやく、みんなの無事な姿を見たくなった。
「タケルちょうど行こうと思ってたんだ」
聞き慣れた声がする、振り返るとそこに立っていたのはリタドラゴン、ペレー、ジョーだった。
「みんな無事だったんだな、ジョーも来てたのか」
「ああ、道来隊長と太一さんも来てるぜ、それにしてもタケル、見違えるほど、強くなったな」感知タイプのジョーは、タケルの霊力の変化にすぐに気付いた。
「まだまだ今回も役に立てずだったけど……みんなのおかげで強くなれた」
タケルの少し曇った表情にジョーとリタは気付く
「そうだ、これから道来隊長からみんなに、現在の宇宙の現状の報告があるみたいウキ、早速行くウキよ」
「タケルの住む惑星の話もあるみたいだよ」リタが言った。
「地球の事」心臓の鼓動が速くなる
地球には、家族も友達も居る、なにかあったのか?
すぐにタケルの脳裏に北條の顔が浮かぶ
地球には北條さんが居るじゃないか、きっと大丈夫に決まってる。
「さぁ、みんなが居るところに行くウキ」
焼け焦げた地、そこは戦場の醜さと残酷さを表しているかの様な広場の様な場所になっていた。
あれだけ美しかった惑星が……
タケルの心は痛く、やるせない気持ちが広がる
これがこの世に生を受ける存在どおしで争う戦の爪痕。
「タケル良かった、目を覚ましたか」
光堂が言った。
そこに皆は集まっていた。
みんなの無事な姿を一目見てようやく心から安堵した。
「ありがとう光堂さん、俺はまたあんたに救われた」
「タケル成長したな」その声は道来のもの。
「でも、俺また負けたんだ」
先程の曇ったタケルの表情の理由をジョーとリタは理解した。
「敗北を怖れるな、行動する者に真の敗北は無い」
道来のその言葉に少し救われた様な気がした。
その時だった、タケルの背後から刺すような視線、それは明らかに闇のエネルギーを元にした力。
すぐに構え、後ろを振り返る
そこに立つ者は骸
この人、ヤバいくらいに強ぇ……
ギロリ
「貴様はなんだ?」
えっ?なんだって?おい、なんて答えりゃ良いんだ?
タケルはすぐにこの者のかもし出す雰囲気、空気感により理解する。
この者の前で、ちょっとでもふざけた答え、心の無い答えをしたら、間違いなく殺されると。
目の前に立つ存在の力強い瞳はそれを物語っていた。
「えっと、その、おっ、俺は」
「俺のダチです」
答えたのは光堂だった。
骸は光堂を見つめた。
睨み合う様に目の合う二人
骸の無言の圧力に足がすくむタケル
うわぁぁ、超怖えぇ。
「道来、話を続けろ」
ほっ、助かった。
「まずは、皆に話す事がある、まずは現在の宇宙の状況、そして地球に起こった出来事」
えっ?タケルの心臓が止まりそうになる程震え出す
地球に何かあったのか?
「道来さん、地球がどうしたんだよ」タケルは気がついたら叫んでいた。
「そうだな、まずは地球の状況を話すべきだな。地球はペドスドラコで戦が起きていた同時刻、死神率いる軍勢に攻撃された」
なんだって?
それを守っていたのは、地球に住む霊能者やエネルギーを使える者達、そして宇宙連合のメンバー
「死神率いる軍勢が、最も手こずったのは北條と言う男が集めた能力者達による結界、これが大きかった、
しかし、守る事は出来ても、死神達は引く事は無かった、死神達を退け、撃退する程の攻めが無かったからだ、この時、連合の力ある者達もまた他の惑星での任務により地球に向かう事が出来ないでいた」
「それでどうなったんだよ?」
この時、もはやタケルに敬語などを使う余裕は無かった。
「結論は、北條率いる能力者達が、連合の助けが来るまで守りきり、結界死神達はこの機に地球の侵略は不可能と考え、退いた、正確に言うと他に理由があるのだが……今はお前達に説明はよしておこう」
なんっすかそれ、でも良かった、タケルの額からは汗が垂れ流れていた。
「じゃあ、地球は無事なんすね?」
「ああ、今の所は。だが直ぐに次の火種が起こりかねない」
「なんだよ、次の火種って」
この時、光堂が話に割って入る
「タケル、正直に言おう。今お前に詳しい理由を説明したところで理解出来ないだろう、お前の知らない地球の歴史が絡んでくるからだ。後に詳しく話はするが、とりあえず今言える事は地球は今、いつ大きな変化が起こってもおかしくない、それほど不安定な時期と言う事だ」
「それでだ、修行を兼ね、次の任務を任せる」
「え?」
「タケル、神井はこれから地球に戻り、地球を守って貰う必要がある」
「笑わせるな、何故俺が弱者を守る必要が」
神井が鼻で笑いながら言った。
「分かってないな神井、お前は今、誰よりも強くなりたいんだろう。それには地球が今一番適してるって事だ」
「それなら、光堂さん達とは一旦お別れになるんすか?」
「まぁそう言うことになる。だが常にテレパシーによってコンタクトは取れる、まぁタケルお前が使いこなせてるならな」光堂は笑みを浮かべる
「そんな、俺そこまでテレパシー自信ないっすよ」
「まぁ、今使えてるからなんとかなる筈だ」
「それに地球を守るって一体?」
「心配するな、地球には北條さんが居る、必ず指示がある筈だ、そこから徐々にお前たちは永い間カーテンに覆い隠された事実を直視する事になる」
「道来さん、続けて下さい」光堂が言った。
「次は闇の主についてだ、奴は一時的に封印されている様な状態に過ぎない、必ず目を覚ます。猶予は長く見積もって三年」
「そんな、たった三年」龍神が命をかけ作ってくれた時間、思った以上に短い時にリタは肩を落とす。
この短期間で本当にあんな化け物をなんとか出来るんだろうか?
「とりあえず、明日、タケルと神井には地球に帰って貰う」
「明日って、随分急過ぎっすよ光堂さん」
「それ程時間が無いって事だ」
この時、光堂は神井を見つめていた。
そして他ならぬ神井自身が誰よりも時間の無い事を悟っていたのだ。
光堂はそれを知っていた。
「明日地球に帰れば再び北條の修行が受けられるんだろうな?」
「ああ、その筈だ」光堂は言った。
皆はそれぞれ語りあった、違う星で生まれ育ち、環境も考え方も違えど、同じ生命と言う、そこには境界線などは無かった。
「リタ、白龍、青龍、色々ありがとう」
「礼には及ばぬ、こちらこそ命を救ってもらった」青龍が言う。
「龍神様の心を忘れるな」白龍はタケルの瞳を見つめる
「もちろん忘れないさ」
「タケル、正直闇の主の復活は怖いけど、みんなで力を合わせればなんとかなる気もする、タケルも居るしな」
「ありがとうリタ、必ず力を合わせて、みんなでこの危機を乗り切ろう」
「それから、ペレー、ジョー、太一さんに、道来さん
色々ありがとう、必ず近いうちに会おう」
「タケルも気をつけるウキよ」
「俺も道来さんも、次会った時の成長楽しみにしているぜ」太一が言った。
「くれぐれも無茶するなよ、また遊びに行くから」ジョーが微笑む。
時空間を超え出会った友たちは、時をすぎるのを忘れ、いつまでも笑い合い、最後の夜はあっと言う間にふけていった。
皆が寝静まった後、とある部屋で作業をするジョーの背後に何者かが立つ
気配を感じ振り返るジョーはホッと一息ついた。
「なんだ、道来隊長か」
「まだ、調べているのだな。光堂のチームを解散に追い込んだあの事件の事を」
「あっ、えーと、まぁ、そう言う訳じゃないんですが」ジョーは誤魔化そうとするが道来は見抜いていた。
「インフィニティについてだったな」
「何か知ってるんですか、道来隊長」
「私も少し調べていたが、隊長ですら知らないそのコードネーム、何者かの名前だが妙だと思わないか?
1隊員に隠すのならまだ知れず、隊長達すらその者の正体を知らない、隠されてる者は強大かつ、只者ではない、何か大きな理由がある」
「これ以上、首を突っ込むなジョー、殺されるぞ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオーー
ジョーは目の前の空間に浮び上がっていた調べていた資料の映る画面を消す。
「そうですよね」
インフィニティ………
道来はジョーの背中を見つめていた。
ペドスドラコの惑星、皆が休んでいるすぐ近くでそれは起きていた。
「よぉ」
声をかけられた、その先に立っていたのは、女狐、鬼神達と共にこの惑星に来ていた烏天狗。
「貴様は骸」
「お前達の考えそうな事だ、情報でも盗み出そうとしていたか?」
「聞いたぞ、貴様、連合の犬になったそうだな。どうだ昔の白い刃の同胞ではないか、再び共に手を組んで奴等を、この宇宙を」
烏天狗の首は転がり落ちていた。
「くだらねぇ、宇宙になんか興味は無いんだよ、俺が興味のある奴は真堂丸、唯一人」
ニヤリ
同時刻
宇宙のとある惑星
ああ、そうか ご苦労
ラルフォート・ナザレは笑っていた。
そうか、そうか
しばらくあの星はちょっと混沌と化すね。
可哀想に…
で、きっと光堂はあそこにタケルと神井を行かせる、くっくっく鬼だね。
それともそれ程までに信頼してるのかな。
ああ、特にタケル君か、果たして精神が持つかな?
あれだけ情に真っ直ぐだと、これから厳しい状況になるね。何処までも、あいつは残酷で追い詰めてくるよ くっくっく。
地球 やばいね〜
そして、私の次の向かう目的地も混沌なんだよ。
地球はレプティリアンから他の者の支配する土地に変わったのさ。
ついこないだの闇の主が封じ込められた時からね。
死神達が退散したのはその理由、支配権の移行によるものだ。
ああ 恐ろしい 本当にどうなる事かねぇ。
その言葉はこれから地球で起ころうとしてる出来事を見事に暗示している言葉であった。
これから、彼らの舞台は地球となる
~ アンブラインドワールド ~ 序章 完




