〜 強者の香り 〜
鬼神、女狐、蝿王蛇は目の前に立つその者の姿に驚きを隠せずに居た。
「貴様は骸」
あの真堂丸と互角にやり合った程の化け物
あの当時の実力は我々より上だった…
「貴様はどう言う立場でそこに立っている骸よ?」鬼神は骸を睨みつけた。
骸の身体から放出される真っ黒な闇の波動
「あっはっは、妾達と同じと言う事か」
「さあ、この者達を皆殺しにして、この宇宙を闇の宇宙に」
「くだらん」
女狐は骸の斬撃を命ギリギリのところで躱していた。
一瞬反応が遅れたら真っ二つにされ死んでいた。
やはり、実力は化け物級か。
「良い事教えてやろうか」骸がほくそ笑む
「道来、今の俺の立場はなんだ?」
「宇宙連合の隊長の一人」
「なんだとっ、あの一匹狼の男が連合の隊長だと」
「肩書など、どうでもいい、俺は連合に入る事で一つ望みを叶えられる、真堂丸との再戦」ニヤリ
「真堂丸、そうだ、あの男は今何処で何をしている」叫んだのは蝿王蛇
「知らねぇから困ってるって話だろ」
蝿王蛇は真っ二つにされていた。
蝿王蛇の魂は恐ろしい事に斬られた直後、突如現れた真っ黒い霧の様なもので出来た手に包まれて消えていった。
骸は感じ取る、闇の主、封印されてる今の状態でも、魂をこの宇宙以外の次元に解放させず、捕まえている、もうこの宇宙からの脱出は何人たりとも不可能と言う事か。
「貴様、骸、連合の犬は殺す」
「笑わせる、犬とは貴様らの事だろう」
その瞬間だった、その場にいる数名は気づく
とんでもない者がこのペドスドラコに居る
それはちょうどドラが殺された同時刻の出来事であった。
短い瞬き程の時間だったが、発された霊力は凄まじいものだった、強者達はそれを察知した。
こいつは厄介だな、このレベルがここに…
誰もがそいつの異常な程高い霊力に驚いていた。
「道来、俺は先刻の者を斬りに行く」
「問題無い、ここは私が引き受ける」
「笑わせるな骸、逃がすか」
鬼神と女狐が骸に襲いかかる
その時、二人の頭上から無数の霊力の砲弾が飛んでくる
全てを躱し、頭上を見上げる鬼神、女狐
「良かった、来てくれた」太一が叫ぶ
それは、連合の隊長マッカースが率いる連合の数万程のメンバー
「この惑星の戦争を終らせる、力を貸せ」マッカースが叫んだ
同時にマッカースも考えていた。
先程感じた、一瞬放たれた霊力、間違いないあのクラスの霊力は…
この人数と、今居る隊長で果たして勝てるか……
しかし、やるしかないな。
場面は変わる
倒れていた光堂は目を覚ます
俺は一体……
そうだ、ラルフォートの手刀で気を失っていたんだ。
しまった、タケル、神井は?
辺りを見渡すと二人は倒れていた。
ふぅ〜無事だったか。
ラルフォートめ、一体何を考えていやがる
その時だった。
「そうか、こいつか」
それは異様な程、低く、まるで地獄の底から発せられた様な不気味な声。
光堂は自身の身体が凍りついた様に感じる
なんだ……こいつは………
そいつは青くストレートに長い髪をなびかせ言った。
果てしない程奥深く、底の見えない真っ黒な瞳はタケルを見つめていた。
まずいっ、助けなければ
勝手に動くな
頭に絶対的に逆らう事は許されない、まるで絶対的な宇宙の支配者からの命令の様なテレパシーが響き渡る
こいつの霊力の底が見えない
それに、こいつタケルの事を知っている
まずいっ、タケル
動くな
光堂達の周りを数万の人数の連合のメンバーが取り囲んでいた。
「ホルロ」
それは現、光堂の直の隊長ホルロであった。
「来てくれたんだな」
「悪い、遅くなった、他の惑星も大変だったんだ」
「助かったぜ、あいつは何者なんだ?」
「光堂、助かってなんかないんだ、危ないのは我々の方だ」
「何っ」
「奴を怒らせた」
「ホルロ、あいつは誰なんだ」
「ルキフェル、またの名をルシファー」
「なんだって…」
「そう、ルシ・サタンの弟であり、現、闇の王の一人」
「タケル君に用がある、この意味分かるね光堂」
「奴は知っている……」
「そう、タケル君の事を」
「何が目的なんだ」
「分からない、とにかくこのメンバーじゃ、全滅させられるのは間違いない」
「どうする?」
「まずは向こうの反応を見よう」
「連合の諸君、我の行動を邪魔しない事は、かねてから宇宙の法で決まっているはずだが」
「確かにそうだ、だがそれは、あなたが破壊をしないと言う前提での話だ、その者に手を出す事は、生命の破壊と言う事で我々は動いている」ホルロがテレパシーで伝える
「あなたは何故ここに来ている?」
「気分が良いからだ、あの兄サタンが破壊された喜びによる歓喜と言う絶望」
ルシファーは両手を天にかざす
「降り注げ、ブラックレイン」
「まずい、来るぞルシファーの攻撃が」ホルロが叫んだ
光堂の額から汗が流れ落ちる
「くそっ」なんて霊力だ。
そう思うと同時に走り出していた、タケル、神井のもとに。
「駄目だ光堂行くな、既に間に合わない」
天から落ちる黒い雨が、頭上から鋭い刃物の如き、降り注ぐ
だが、突如、ルシファーの攻撃はピタリと止まる、雨は空中でぴたりと完全静止していたのだ。
「なんだ?」
それはルシファーの心の中だけに響き渡る黒く漆黒の闇を帯びた声
なんと、そこに響き渡る声は、宇宙に君臨する、闇の王の一人
ドラキュラ伯爵のものであった。
「久しいなルシファーよ」
「これは、これは伯爵公」
「我に何か用か?」
「まずは、お前に御祝いの言葉を述べなければならないな、兄サタンの死、おめでとう」
「ハッハッハ、嬉しい、素直に嬉しいぞ、伯爵からの祝いの言葉など何十万年振りか」
「ところでルシファー、お前のその黒い雨、誰に向け放っているかご存知かな?」
ルシファーは辺りを察知し勘付く
「おお、まさか、微かに感じるこの匂い、伯爵のご子息でも居たのか?」
「その通りだルシファー、もし、お前が息子を殺す様なことが起これば、我がドラキュラの軍勢はお前を殺しに行かなければならなくなる」
「そうであったか。そうなれば我がそなたの首をもぎ取る理由が生まれるな」
ルシファーは少し考えていた
直後不気味にうっすらとほくそ笑む
「伯爵のご子息か、そういう事なら止めておこう」
ルシファーは気づく、我が見たかった少年と、伯爵の息子が近くにたおれている、つまりはなんかしらの関係性が二人にはある。
ルシファーは伯爵の意図を探る為、こう問いた。
「近くに倒れる、あの少年も伯爵のご子息の一人か?殺しては不味いのか?」
「少年?さあな知らぬ、そいつは殺して結構だ」
ああ、伯爵 貴殿はこの少年を知らぬのだな。
今の返事は知らぬ素振りをしたのではない、ルシファーは他の惑星に居るであろう伯爵の脈を打つ音、小さな呼吸音、心臓の鼓動、血液の流れ、霊気、細かい関節、神経の動きまで手に取るように把握していた。
そう、今のは嘘ではない
なるほど、今は止めておこう、これは面白い事になりそうだ、退屈な程に長い、生命の一つの余興を我は見つけたのだから、この少年と伯爵のご子息
ああ 神と言うものが存在するのなら
中々、粋な計らいをするではないか
無論そんな者は我以外に存在はしないが。
「それでは連合の諸君、余興は終わりとする」ルシファーは背を向き身体は宙に浮き始める。
伯爵の声が全く聞こえなかったその場に居た連合のメンバーは驚いていた、何故攻撃を辞めたんだ?
誰一人として理由は理解は出来ていなかった。
とにかく助かった…その場に居た多くの連合のメンバー達は安堵と共に、地面に倒れ込む。
間違いなく、ルシファーと今戦っていたら、ここにいる連合メンバーは一人残らず皆殺しにされていただろう。
こうして一つの危機はまぬがれたのだった。
〜 アンブラインドワールド 〜




